B'z「DINOSAUR」


B'z「DINOSAUR」 (2017)

松本孝弘(Gt)・稲葉浩志(Vo)、それぞれのプロジェクト活動を挟んでの、20枚目のオリジナル・フルアルバム。

前作「EPIC DAY」(2015)は全体をSIDE AとSIDE Bに分けた構成にし、10曲をクリアな音作りで聞かせる、ハードロック色の強い作品でした。「ハードロック」という軸でいえば本作も確かにHRなんですが、前作よりずっとレイドバックしている印象です。制作時点では「70年代ハードロック」というキーワードもあったようですね。
豪快で大味。かっちりしたまとまりよりも、自由度高めであんまり弄ってない音です。演奏陣にはお馴染みのShane Gaalaas(Dr)やBarry Sparks(Ba)のほかにも、多くの海外ミュージシャンが起用されており、2人が(松本が?)求めている方向性に即した自由闊達でカラッとした空気を産み出しています。
アルバム一枚で収録曲のバランスをきちんと取ってくる彼らのこと、ガラッと作風が変わってしまったわけではなく、確かに懐かしさを感じるフレーズがあちこちに覗きます。ただ、昔はそれをきっちり繊細に磨き上げて、完成度高いJ-POP風に仕上げていたけど、本作ではシンプルにそのまんま、等身大の大人のロックとして提示してきた、そんな感じがしますね。音質/音作りもあまりクリアに研ぎ澄ませてはおらず、生々しさを重視したものになっています。B'zにしては珍しい音作り。

「力が抜けてる」とはいっても、ヌルくはないんですよね。演奏はかなり凝ってます。特にGtフレーズに顕著。
ただ、器楽的には面白くても、メロディ的には面白くないGtワークなんだよなぁ。楽器を演奏する人からしたらまた違うんでしょうけど。

演奏はゴリゴリ、アメリカンHRに憧憬を抱く方向性だとしても、歌メロにはJ-POP/歌謡曲を根っこにした哀愁を感じるのが今までのB'z。…ですが、そこらへんの感触も本作ではまた異なります。ロックといっても「歌謡ロック」ではなく、なんつーかその本場のロック感というか、あんまりJ-POPらしい歌メロではないのよね。あくまでメロディック(キャッチーというよりメロディックという感覚)な歌メロを求めている身としては、先行シングルとなった「声明 / Still Alive」での懸念が当たってしまった格好ではある。キツい…。稲葉の歌唱の衰えなさについては、こりゃあ鍛錬の賜物でしょうから敬意を感じるのみなんですけども。


ウチのブログでは、B'zについてはVer.違いの曲等を除いて、全ての楽曲について触れていく方針ではあるんですけど、本作はかなりキツいな…。。
 ↓

①Dinosaur
映画『ジオストーム』の日本語吹替版の主題歌だそうな。豪快なリフとカラッと明るめの歌メロを持つ、本作の作風を代表するような曲。タイトル・トラックだし。

②CHAMP
の豪快路線を、「HR的演奏にJ-POP風の歌メロを乗せる」従来路線にちょっと近づけたような曲。サビはイマイチなものの、ちょいちょいワクワクするような昂揚感を感じるパートは有り。イントロとか途中の語りとかね。

③Still Alive
両A面シングルの曲。悪くない曲だしライブで光るタイプだろうけど、アルバム内でこの曲のメロが光るようじゃ厳しいのよね。

④ハルカ
ファンキーですね。本作の中では遊び心を感じる曲。この女性賛歌っぽい歌詞には懐かしい感じがある。

⑤それでもやっぱり
正統派ピアノ・バラード。歌詞は男と女、どっち目線なんだろ? どっちともとれるところがいいですね。今までならこういうタイプの曲でストリングスがババーンとフィーチャーされるパターンですけど、ここではあくまで素朴に等身大なアレンジ。
そういえば本作、Gtを重ねたりKeyは使ってますけど、生弦って取り入れられていないですね。

⑥声明
シングル曲。こっからアルバムが折り返すような感覚も有り。

⑦Queen Of The Night
ギターのクリーン・トーンが綺麗。これは好き。砂の花びらに似たような乾いた哀愁があるのでね。

⑧SKYROCKET
手拍子とかシャラララとかフゥーとか交えた、めっちゃ明るい曲。能天気と言ってもいいくらいの突き抜け方ですわ。当然、管理人の苦手な部類(笑)

⑨ルーフトップ
と同様、これも懐かしい感じですね。ギターがメロディを追う感じが“かつて”っぽい。オリエンタルな匂いがする。

⑩弱い男
ヘンテコな曲キターッ!!ww
HEY BROTHERもうかりまっか煌めく人という三大怪曲にはやや劣る怪しさだが、これでも十二分に怪しい。本気のファンクネス。本気の遊び心。暴れ回るサックスのソロが最高です。弱ーい!弱ーい!弱ーい!は思わず吹き出すバカバカしさだし、ラストの「はぁ(溜め息)」もイカす。

⑪愛しき幽霊
アコギ主体のバラード。稲葉節全開の歌詞ですね。以上に、素朴なアレンジ。

⑫King Of The Street
シンプルで(良い意味でも悪い意味でも)古臭い音だなー。ハード・テイストなR&Rです。Gtの刻み・動き方は細かく、演奏面の充実度はなかなか。

⑬Purple Pink Orange
曲名は黄昏時の空の色合いのことでしょう。尺は5分に満たないんだけど、大作系の匂いがプンプンと香るドラマティックなバラードです。最後の最後に来ました、名曲でしょコレ。他の曲から浮くくらい、これまでのB'z節全開、王道のアレンジと哀愁のメロディです。稲葉の熱唱も、彼の最も良いところが出てるじゃないですか! エンドGtソロがまた最高で、ハモるとこがまた輪を掛けてサイコー。
はぁ…しあわせ。


歌メロが地味でシンプルということで、お気に入り度は低いアルバムになります。正直言うと、今までの最低ラインであった「MONSTER」(2006)と同等か、もしかしたら下回るんじゃないかというくらい…。厳しいですね。
怪しすぎると、アルバム最後に一気に息を吹き返すの存在に助けられてる感が。

【お気に入り】
⑬Purple Pink Orange
⑦Queen Of The Night
⑤それでもやっぱり
⑨ルーフトップ

【怪曲ありがとう】
⑩弱い男



『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』の模様を収録したライブ映像については追記で。
     ↓



Blu-ray付きの初回限定盤を買いましたのでね、茨城県ひたちなか市で毎年開催されている『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』に出演した時のライブ映像を観ることができます。

B'zはこの2017年に初出演、最も大きなGRASS STAGE(7万人!)の初日のトリだったようです。タイムテーブルによると、出番は18:30~の1時間、アンコール含めて11曲がフル収録されています。
この時間帯がいいよねぇ。前半の会場が徐々に暗くなってゆく様子から、終演後の花火ドパーンまで、ステージで繰り広げられる熱演だけでなく、観覧エリアの壮観も大きな見どころです。Wackenみたいだよこれマジで。いや、Wackenより人多いわね。

ライブはというと、鉄壁の横綱相撲ですね。必殺曲を並べながらも、決してノスタルジーには浸っていない選曲。さすがショウの組み立てが巧みですね。中盤に歌える曲を配置して、アクセルを緩めながら一体感を練り上げつつも、全体的にはリフを前面に出したハードロック剥き出しのパフォーマンスです。全く守りに入ってないどころか、めちゃくちゃエネルギッシュだわ。稲葉なんて20年前と変わらぬアグレッシヴなステージングなんじゃないのこれ。動きだけじゃなくて歌唱のキレも。

バンドメンバーは、増田隆宣(Key)、Shane Gaalaas(Dr)、Barry Sparks(Ba)、大賀好修(Gt)という、最強布陣。個々の演奏の的確さやパワフルさはもちろん、如何様にでもジャムれそうなアンサンブルの自由度があちらこちらに覗きます。Barryと大賀によるコーラスも効いてる。あと増田ちゃんをもっと映せ。

観ていて、すげぇすげぇって何度も涙したよ。
LIVE-GYMを収めた映像作品には及ばない尺と演出の派手さですけれど、B'zの強靭さをギュッと凝縮したような素晴らしい映像に仕上がっています。いやこれ、ワンマンに来るような、ある意味熱心なファンばかりが観ているわけじゃない、フェスという場での盛り上がりだからこそ、余計にジ~ンとクるのかも。
ギリギリchopで数万のタオルが一斉に回される光景だけでも観る価値ありまくりング。個人的には稲葉の歌唱の最も美味しいところを収めた、さよなら傷だらけの日々よ衝動をいっぺんに聴くことができるのがやばいですね。


01. さまよえる蒼い弾丸
02. Liar! Liar!
03. さよなら傷だらけの日々よ
04. 有頂天
05. 裸足の女神
06. イチブトゼンブ
07. Still Alive
08. 衝動
09. juice
10. ギリギリchop
11. ultra soul


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