ジェフリー・ディーヴァー『スリーピング・ドール』

ジェフリーディーヴァー_スリーピングドール
ジェフリー・ディーヴァー『スリーピング・ドール』 (池田真紀子 訳、文春文庫、上・下)

ジェフリー・ディーヴァーの『スリーピング・ドール』を読みました。ディーヴァーのリンカーン・ライム・シリーズは、現代海外ミステリで最も期待を裏切らないシリーズものと言ってもいいんじゃないかと思います。同シリーズの7作目『ウォッチメイカー』で初登場した「人間嘘発見器」とも呼ばれる尋問の天才、キャサリン・ダンスが主人公のスピンアウト作品。

カルト集団を率いていたダニエル・ペルが脱獄し、キャサリン達、カリフォルニア州捜査局が追う、という構図。ライム・シリーズの舞台、ニューヨークに対し、こちらは西海岸。

以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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ディーヴァーと言えばどんでん返し。今作もどんでん返しが次々決まります。私はミステリを読む醍醐味は“騙されること”だと思っているので、「トリックを見破ってやろう」とはまったく考えません。むしろ騙されたくて仕方がない。作者にとっては非常に良い読者なんじゃないかと。ですのでディーヴァーには騙されまくります。よくジェットコースターにたとえられるディーヴァーの作品ですが、正にアップ・ダウン・ツイスト、と翻弄されるのが楽しいのなんの。
ただ、どんでん返しの切れ味はライム・シリーズの方が一歩勝っているようにも感じます。あとペルがライム・シリーズの犯人に比べるとやや小粒。キャサリンの得意技の「尋問」を行うには、必ず犯人の関係者や目撃者が必要な訳で、ペルは手掛かりを残しまくりながら逃げる事になります。
これらの不満点もありますが、ライム・シリーズとの違った面白さが別にあり、それが本作の魅力になっています。チーム「ライム」は言わばスペシャリストの集団です。そのドリーム・チームの活躍に重きが置かれているのに対し、キャサリンは捜査官であると同時に母親でもあり、また上司もいれば部下もいるといった具合に、読者にとってより身近に感じられる事が違いとして挙げられます。
犯人は追わなきゃいけないし、息子とは上手くコミュニケーションが取れないし、上司は空気読めないし。ライム・シリーズよりも人間臭いんですね。

キャサリンの部下で軽妙なTJがお気に入り。あと空気読めない上司チャールズが終盤ワンシーンだけかっこいいのもいいね。

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