高田大介『図書館の魔女 烏の伝言』

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高田大介『図書館の魔女 烏の伝言(つてこと)』 (講談社文庫、上・下)

高田大介のファンタジー小説、「図書館の魔女」シリーズの2作目、『図書館の魔女 烏の伝言(つてこと)』を読みました。
1作目『図書館の魔女』の感想は → コチラ。

道案内の剛力たちに導かれ、山の尾根を行く逃避行の果てに、目指す港町に辿り着いたニザマ高級官僚の姫君と近衛兵の一行。しかし、休息の地と頼ったそこは、陰謀渦巻き、売国奴の跋扈する裏切り者の街と化していた。姫は廓に囚われ、兵士たちの多くは命を落とす……。喝采を浴びた前作に比肩する稀なる続篇。

姫を救出せんとする近衛兵と剛力たち。地下に張り巡らされた暗渠に棲む孤児集団の力を借り、廓筋との全面抗争に突入する。一方、剛力衆の中に、まともに喋れない鳥飼の男がいた。男は一行から離れ、カラスを供に単独行動を始めるが……。果たして姫君の奪還はなるか? 裏切りの売国奴は誰なのか? 傑作再臨!


1作目からして全4巻(文庫本)という超大ボリュームでしたが、こちらは上下巻。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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「図書館の魔女」シリーズを冠しているにもかかわらず、図書館の魔女ことマツリカを中心とした一ノ谷陣営はなかなか姿を現しません。登場するのは下巻を半分以上過ぎてから。キリヒトにいたっては名前がちらりと口に上るのみで、登場しません。群像形式である本作の主要登場人物は、ニザマから落ち延びようとする姫と彼女を守る近衛隊、それを助ける剛力陣。そして「鼠」と呼ばれる街の孤児集団になります。
二作目にしてこの変化球。作者がこのシリーズで、相当大きなサーガを描こうとしていることをうかがわせます。別の言い方をすると、風呂敷を広げ過ぎてる感もあり。

うーむ、時間の無駄でしたね。
前作を読んだ際に自分とは合わないと感じていた点、それが改善されているどころか、より強まっている気がして、これはもうとことん相性の悪い作家だと確信しました。シリーズ物を途中で断念するのは業腹ではあるんですけど、しょうがない。まぁ前作も今作も、終盤はダレにダレて流し読みしてしまいましたし。これだけ「解決編」部分にページを割く作家も珍しいです。
物語の世界観や登場人物はとっても好きな方向性なんだけどなー。アウトプットの仕方が苦手。実に惜しい。

作品全体を通して、起伏やリズム感に乏しいのが致命的です。
自動車で例えると、まっすぐな道をずっと制限速度を守って安全運転しているような文章です。道筋は時折なだらかにカーブする程度。どのセクションでも情景描写や背景の説明をしつこく丹念に加えるから、ストーリーがまるで加速しません。物語には起伏があるのに、それを伝える文章にメリハリがないから、伝わるもんも伝わらん。おまけに、人物の書き分けが不十分なうえに似たようなカタカナ名前ばかりなので、誰が誰だか全く分からん(苦笑)。
少ない文章量で伝えることのできない作家だと感じますし、そこまでページを割く必然性も感じない。おまけに句点が少ないから読みにくいのなんの。文章は自分の好みと全く合わないのに、物語の雰囲気は好きだから…と手を出したことを後悔する羽目に…、、、、


さらば図書館の魔女。
今後のキリヒトの活躍を読んでみたかった気もしますが、タイム・イズ・マネー。読むべき本、読みたい本は、他に山ほどあるのだ。


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