誉田哲也『武士道エイティーン』

誉田哲也_武士道エイティーン
誉田哲也『武士道エイティーン』 (文春文庫)

誉田哲也の『武士道エイティーン』を読みました。
『~シックスティーン』の感想は → コチラ。
『~セブンティーン』の感想は → コチラ。

以下、コピペ。
宮本武蔵を心の師と仰ぐ香織と、日舞から剣道に転進した早苗。早苗が福岡に転校して離れた後も、良きライバルであり続けた2人。3年生になり、卒業後の進路が気になりだすが……。最後のインターハイで、決戦での対戦を目指す2人のゆくえ。剣道少女たちの青春エンターテインメント、堂々のクライマックス!

シリーズ全部おもしれぇぇええええ!!
も、もう、好きにしてッ!


以下、「ネタバレ」一本してますので、蹲踞してお互いに礼ッ!
 ↓
甲本(西荻)早苗と磯山香織という登場人物を生み出し、二人が呼吸をし始めた段階で、本シリーズの勝利は決定したようなもんです。最も偉大なシリーズもの小説と言ったら、スティーヴン・キングの『ダークタワー』シリーズなわけだが(断言)、国内にも京極夏彦の『妖怪』シリーズや大沢在昌『新宿鮫』シリーズ、原尞『沢崎』シリーズ、島田荘司『御手洗』シリーズ…etc…と、私の大好きなシリーズものは割とたくさんあります。本『武士道』シリーズはそんな名シリーズものに並び、あわよくば追い抜かさんばかりのお気に入りの作品群と相成りました。登場人物への好みを勘案すると一番かも。

ストーリーとしても、高校3年になった早苗と香織が遂にインターハイで対決するという、物語の佳境を迎えます。その対決にもっていく過程からしてめっぽう面白い。怪我をした早苗は個人戦に出られなくなるが、団体戦で東松学園の香織とぶつけるために策略をめぐらす吉野先生。そして実現する団体戦、東松vs福岡南での大将戦が早苗vs香織。

大きな拍手を浴びながら、互いに構え、剣先を向け合う。
この場所で再びめぐり合い、この相手と戦う、喜び。
最高の舞台で迎えた、最高の相手。
この時代を共に生きる、二人といない、好敵手。
さあ、始めよう。
わたしたちの戦いを。わたしたちの時代を。


もう一つの山場は個人戦での香織vs黒岩レナ。

「……磯山。この借りは、私が必ず、決勝で返すけん」
望むところだ。
「ああ……頂で、待つ」


なんてかっこいいんだろ。ハードボイルドだ。「イタダキで待つ」っすよ。痺れる。
その戦いの様子の緊迫感はどうなのよ、これ。『北斗の拳』で言ったらケンシロウとラオウの対決みたいなもんですからね!
そして、戦いを収めた二人の爽やかなやりとりも白眉。


また、本書には4つのサイドストーリーが収められています。
①売れっ子ファッションモデルで早苗の姉、緑子の恋と仕事
②香織の師匠、桐谷玄明の過去
③福岡南高校剣道部顧問、吉野正治の武勇伝
④早苗と香織の後輩、田原美緒の剣道

これがどれもこれも面白いのなんの。4つのエピソードが適所に挿入されることによって、「早苗と香織の物語」という統一感は少々損ねますが、希薄だったミステリ的要素が補充され満足度は格段にアップしました。特に②と③のエピソードが繋がり、それが本編へと回帰していく構造からは正にミステリ的カタルシスを得ることができます。①では、香織から「チャラチャラしてる女」と評された緑子が妹想いの姉であること、誰もがそれぞれの立場で戦っていることを描いて、作品に深みを与えていますし、②ではシリーズのテーマともいえる「武道とは戦いを収めること」が描かれる。酔っ払い顧問・吉野先生の過去③は涙なしには読めませんし、ラスト直前に据えられた④の爽やかな読後感はそのまま作品全体の結末のトーンを決定づけています。

そして、早苗と香織の物語はまだ終わらないのだ。


わたしたちは、もう迷わない。
この道をゆくと、決めたのだから。
急な上り坂も、下り坂もあるだろう。
枝分かれも、曲がり角もあるだろう。
でも、そんなときは思い出そう。
あの人も、きっと同じように、険しい道を歩み続けているのだと。
そう。すべての道は、この武士道に通じている  


B'z、Brotherhood的歌詞のようで泣ける。

こりゃ、続編あるよ、多分。いつになるか分からんけど。超楽しみ。
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COMMENT 2

藍色  2013, 05. 17 [Fri] 17:15

こんにちは。同じ本の感想記事を
トラックバックさせていただきました。
この記事にトラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2013, 05. 17 [Fri] 20:47

藍色さん、

はじめまして。コメント&TB、ありがとうございます。
藍色さんのブログはかなり沢山の書評がアップされているのですね。

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