GALNERYUS「ULTIMATE SACRIFICE」


GALNERYUS「ULTIMATE SACRIFICE」 (2017)

国産テクニカル・メロディック・メタル・バンド、11枚目のオリジナル・アルバム。

主人公の家族が「労働奴隷」から解放されて一般市民の称号を得られたのかどうか、気になって気になって、眠れません(笑)
と書いた前作「UNDER THE FORCE OF COURAGE」(2015)の続き物だという。つまり2作続けてストーリー・アルバムです。

前作に伴うツアーをもってDrのJun-ichiが脱退、後任としてTHOUSAND EYESUnlucky MorpheusのFUMIYAが加入しました。その新生ガルネリとしては1作目。
VAPからワーナーミュージックへと移籍しての1作目でもあり、
Syu(Gt)が全部大文字表記の「SYU」になっての1作目でもある。
大文字表記、違和感ありますね。
CRYING STARじゃないSYUにも違和感ありますね。
そしてジャケ画にも違和感ありますね。

あれ、、ダサくない…ぞ? ガルネリなのに…

いや、モチーフとしてはダサいけど、絵のタッチがダサくない。むしろカッコイイ。
ジャケットとブックレットのイラストを手掛けたのは、漫画家の高橋ツトム。
前作はジャパメタ史に、いやHR/HM史に残る恥ずかしジャケの逸品でしたけど、「戦い」というテーマこそ共通しているようではあるものの、シリーズ物なのにこんなにタッチの異なるジャケでいいのか、と心配になってしまいますわな。
因みに管理人、高橋ツトム氏の描く絵/漫画が好きなんですよ。CDの感想から脱線して、氏の漫画について延々と書き散らしてもいいんですけど、ここでは自重します。


歌詞は、SYU作のストーリー?小説?と一緒になり、そこそこのページ数の別冊ブックレットになっています。物語をより詳細に聴き手へと伝えようとする努力が為されていますね。内容としては前作の一世代後、前作の主人公の息子の話。
ただこの物語の語り口がなかなか酷く、登場人物に固有名詞を当てはめなかったことの弊害が、今作でストレートに出てしまっています。何ですか「前主人公」って。稚拙にもほどがあるでしょう。これでオッケーとする感性はちょっと理解しがたいな。

めんどくさいのでストーリーをいちいち説明しませんが、物語の各シーンへの楽曲のハマり方は、前作よりさらに緻密になっているように感じます。小説部分の稚拙さが感情移入の没入度合いをなんとなく阻害し歯がゆく感じるのですが、メンバーの歌唱&演奏がドラマの、感情の昂りを雄弁に伝えてくれます。

メロディック。
テクニカル。
ドラマティック。
と、箇条書きすると陳腐に聞こえかねないところですが、メロの悲哀度は過去最高に達していますし、ガルネリがガルネリにしかできない、自分達の得意なことを思う存分発揮しているという点においては、前作と同じ。それゆえに本作も傑作と断じてしまいます。
強いて、本作での音楽的な特徴を挙げるとすると、漢臭いコーラスと民族音楽風のメロディの増量によってヴァイキング・メタル風味が増していることですかね。戦い度高し。勇壮な作風であるがゆえに、ラストの組曲形式の大作2つでの悲哀っぷりがより際立つ。
こりゃ凄い作品だわ。

クライマックスが幾度も襲ってくるような作りです。
前作の冒頭から畳み掛ける流れを継承した②HEAVENLY PUNISHMENT③WINGS OF JUSTICEで一気にガルネリック・ワールド(?)に引き込み、プログレメタル度数高めのYUHKI(Key)曲で揺さぶり、SHO=小野正利(Vo)の魅力全開なバラード⑥WHEREVER YOU AREで涙腺ぶっ壊し、前述の2つの組曲(⑧BRUTAL SPIRAL OF EMOTIONS⑨ULTIMATE SACRIFICE)で何度もとどめを刺してくるっていう。

哀メロの波状攻撃ですわ。
は前作のリードトラックRAISE MY SWORDより好みだし、はバンド史上最強バラードなんじゃないの!?って感じ(ちょい歌謡曲テイスト強めですけど、それがいいの)。
また組曲2連続ときいて恐れるなかれ。「組曲」といっても物語上、便宜的にシーンを分けているようなもんです。曲調の異なる短い曲が並んでいて、曲が変わるごとに感情移入が妨げられるようなことはありません。実際は自然な曲展開の中で繰り広げられる大作1曲(×2)みたいになってますから。

前作は、終曲であるTHE FORCE OF COURAGEのラストの大サビを頂点とし、その1点へ向けて感情の高まりが集約してゆくようなつくりでした。というか、そういうふうに感じてます。ドラマの演出方法としてはそっちの方が好きなんですよね。瞬間風速値が異様に高かったという感じで。あたしゃあ一瞬に凝縮された美が好きなのでね。
ただ今作の方がオォッ!ってなる場面は多いかもしれません。反面、印象に残るGtソロは前作の方があったかな…?

残念だったのは、ふーみんことFUMIYAの実力がいまいち伝わってこない音作りですね。音の輪郭がボンヤリしてて、あまりソリッドに聞こえないんですよね。あんきも(Unlucky Morpheus)のCDの方がよっぽど彼の凄みが伝わってきます。まぁあんまりシャープに仕上げ過ぎても、もしかしたら聴き疲れしちゃうのかもしれないので、これがデメリットであるとは即断できないんですけども。
メロディへの歌詞の乗せ方の不自然さ、特にTAKA(&SHO)曲での細かい英詞の無理矢理感は、もはやガルネリの特徴とも言える気がするのでここでは触れません。(触れてる)


「前作ありきの本作」ではありますけど、より広く高い評価を得られる(得られた)のはこちらかも。私は同じくらいのお気に入り度かな。いずれにせよ、2作続けてこのレベルの作品をブチかましてくるバンドの創造力は凄まじいです。
傑作。

【お気に入り】
⑨ULTIMATE SACRIFICE
⑧BRUTAL SPIRAL OF EMOTIONS
⑥WHEREVER YOU ARE
②HEAVENLY PUNISHMENT


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COMMENT 2

かつ丼  2018, 04. 14 [Sat] 12:18

今作も良いですね
ガルネリの中では上位に入る満足度
ハイライトが何度も来るのでお気に入りの曲が
良い意味で決まりません
歌詞の横にあるストーリーが説明口調と
同じく作中で固有名詞を使わないのが
コンセプトアルバムの強みを弱くしているような
ストーリーにのめり込む込まないの差もあると思いますが

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ヒゲ・スカイウォーカー  2018, 04. 17 [Tue] 20:55

かつ丼さん、

ガルネリに限らず、HR/HMを中心に聴いているリスナーの中にストーリーや歌詞を気にする人がどれだけいるかっていうのは、いつもそこそこ気になっていることです。
彼らの場合、器楽面での充実やミュージシャンシップの高さがあまりに印象強いので、歌詞やコンセプトにまで意識がさほど行かない。そんなマジックが働いているようにすら思えますね(笑)
いずれにせよ、小野さんのVoがイケる人なら本作も傑作なのでは?と考えます。

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