誉田哲也『武士道セブンティーン』

誉田哲也_武士道セブンティーン
誉田哲也『武士道セブンティーン』 (文春文庫)

誉田哲也の『武士道セブンティーン』を読みました。『武士道シックスティーン』の続編になります。
前作の感想は → コチラ。

以下、コピペ
「強さは力」の香織と「お気楽不動心」の早苗。対照的な相手から多くを吸収したふたりだったが、早苗は、家の事情で福岡の剣道強豪校に転入。そこでの指導方法の違いに戸惑う。一方、香織は後輩の育成に精を出す。互いを思いつつも、すれ違うふたりは、目指す剣道に辿り着けるか。大人気剣道青春小説、二本目。

続編もおもしれぇぇええええ!!

こっから下ァ、「ネタバレ」しちょるけん、注意した方がよかっとーとよ。
 ↓
このシリーズ、『武士道シックスティーン』から『~エイティーン』まで3部作になっているようですが、3部作と言えば映画版の『ロード・オブ・ザ・リング』だ。「~だ」とか断言されても困るかもしれませんが、ここは強引に行かせてもらいやす。そういう流れを作りたいんでね。『~シックスティーン』が『旅の仲間』なら本作『~セブンティーン』は『二つの塔』だ。
前作のエピローグからちょい遡った時期から始まる本作ですが、磯山香織と(苗字戻って)甲本早苗がそれぞれ別の環境で自分の剣道を追い求めることになります。香織は(早苗のいなくなった)母校・東松学園高校でエースとして後輩を指導する。早苗は福岡に引っ越し、全国的な名門・福岡南高校に転入する。盟友が別々の道を歩んでゆくっていうこのストーリー展開が『ロード・オブ・ザ・リング』的かなと思いまして。

アラゴルン香織とフロド早苗。

『ロード・オブ・ザ・リング』を見てない方にはチンプンカンプンですね。まあいいや。
香織と早苗、それぞれの場所での活躍や戸惑いの描写が素晴らしい。東松学園は妖艶・河合部長と生意気な後輩・田原のキャラ立ちが冴えています。香織は個人だけでなく「チーム」のことにまで配慮するという成長した姿を読者に見せてくれます。
そして早苗が転入した福岡南には、中学時代に香織を破った黒岩レナという美少女がいるという、おいしい展開。謎めいた顧問の吉野先生も良い。早苗は、レナと福岡南の剣道に対する考え方に違和感を覚え、悩む。
前作とは反対に「吹っ切った香織」と「悩む早苗」、そして神奈川と福岡という設定が、(解説にもあるように)遠距離恋愛的効果を生み出し、堪らねぇんす。

早苗:
「戦友だった」
「同じ気持ちで、同じように前を向いて、一緒に戦ってくれた、たった一人の、同志だったの」
「ねえ、磯山さん…今度、電話、していい?」

香織:
「早苗。お前、どこにいっちゃったんだよ」
「あたし、ここまできても、お前に会えないのかよ」
「あたし、そこまでいったら、お前に会えるんだよ」

前作のクライマックス・シーンも今度は(反対に)早苗視点で描写されることにより、二人の再会をより印象付けています。泣ける。また、黒岩レナが香織と早苗の間に入って三角関係のようになる設定も上手い。もちろん恋愛的にじゃないけど。
レナ:
→早苗、あなたは仲間。香織の弱点教えてよ
→香織、アンタにはぜってー負けない

香織:
→早苗、レナと仲良くすんな
→レナよりあたしの方が強い

早苗:
→香織、好き♡でも敵だし…
→レナ、あなたの剣道は嫌い。でも味方…

もーう、じれったいなぁ。

印象的な場面の乱れうちですが、特に、二人が出会った横浜市民剣道大会に早苗を誘うために香織が電話するシーン、電話で弱音を吐いた早苗に向かって香織が叱咤するシーンは名シーン認定。そしてそこから繋がっていく早苗とレナの決闘がハイライトか。
「こい、早苗。私はあんたを、東松になんか、返さんけんね」
「……ごめん、レナ」
決闘の日の天気や果たし状の書き方を悩む早苗が可愛いな。

紆余曲折の末、香織と早苗の二人はそれぞれの居場所、剣道を見出す。
巨大な「ホップ」だった前作を確実に「ステップ」させた、これまた傑作。

わたしたちは、それぞれ別の道を歩み始めた。
でもそれは、同じ大きな道の、右端と左端なのだと思う。
その道の名は、武士道。
わたしたちが選んだ道。
わたしたちが進むべき道。
果てなく続く、真っ直ぐな道。
そしてまたいつか、共に歩むべき道  


そして、『武士道エイティーン』へ。
スポンサーサイト

COMMENT 0