バリー・ライガ『さよなら、シリアルキラー』

バリーライガ_さよなら、シリアルキラー
バリー・ライガ『さよなら、シリアルキラー』 (満園真木 訳、創元推理文庫)

バリー・ライガの『さよなら、シリアルキラー』を読みました。
シリーズ三部作の1作目です。

ジャズは高校三年生。町ではちょっとした有名人だ。ある日、指を切りとられた女性の死体が発見され、ジャズは連続殺人だと保安官に訴える。なぜジャズには確信があったのか―彼が連続殺人犯の息子で、父から殺人鬼としての英才教育を受けてきたからだ。親友を大切にし恋人を愛するジャズは、内なる怪物に苦悩しつつも、自ら犯人を捕えようとする。全米で評判の青春ミステリ。

本書、まずタイトルに魅かれたよね。
あと、ジャケにも。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓




読み終わったら、まずタイトルに騙されたって思ったよね。
そしてジャケにも騙されたって思ったよね。

全然「シリアルキラー」に「さよなら」しません。響きの良さで採用したとしか思えないタイトル。それに騙された自分がなんて口惜しいんだ(笑)
あとカバーイラストと「青春ミステリ」という紹介文句の複合効果ね。なんかこう、もっと軽いタッチの作品かと思っていましたよ。扱っているテーマはともかく、それを軽口で吹き飛ばすようなポジティヴさと力強さに満ちた作品なんじゃないかと…。。。

まるで違います。
良い意味でも悪い意味でも。

学校生活を描いているから青春小説になるわけじゃないでしょう。こりゃあモラトリアムの中で成長する少年少女を描いた物語ではないよ。呪いから抜け出そうと、もがき苦しむ少年の姿を描いた話よ。めちゃくちゃ暗くて重くて哀しい。だから胸を打つ。

主人公ジャズが、連続殺人鬼である自身の父親に向ける視線、その微妙な距離感を上手く描いています。徹頭徹尾憎むことができないゆえに生まれる葛藤。根底にあるジャズの心優しさと思慮深さ、それが自分自身を苛んでいるのが読み手に伝わるから、本書は厳しい。また、自分と自分以外の世界(≒街の人々)との関わり方を描いている点も読みどころでしょう。

ミステリ的な謎解きはありますけど、それよりは「この先どうなるんだろう?」というサスペンス色の方を強く感じます。
因みに2作目にそのまま繋がるような終わり方をします。
さて、次の『殺人者たちの王』でこの世界をどう深めてくるのか。


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