今野敏『潮流 東京湾臨海署安積班』

今野敏_潮流
今野敏『潮流 東京湾臨海署安積班』 (ハルキ文庫)

今野敏の警察小説、安積班シリーズの『潮流 東京湾臨海署安積班』を読みました。
前作『捜査組曲』は短編集でしたが(感想は→コチラ)、こちらは長編。

東京湾臨海署管内で救急搬送の知らせが三件立て続けに入り、同じ毒物で全員が死亡した。彼らにつながりはなく、共通点も見つからない。テロの可能性も考えられるなか、犯人らしい人物から臨海署宛に犯行を重ねることを示唆するメールが届く――。強行犯第一係長・安積警部補は過去に臨海署で扱った事件を調べることになり、四年半前に起きた宮間事件に注目する。拘留中の宮間は、いまだ無罪を主張しているという。安積は再捜査を始めようとするが……。

むをおおおおお!
なんて胸熱な展開なんだ!


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓




冒頭2ページ目にこうくる。
「彼は、刑事としては明らかに太りすぎかもしれない」
キタ━━━(゚∀゚).━━━!!!
勿論、須田のことだ。しかし、「明らかに」~「かもしれない」って表現は、正直どうなのよって思いますけど。須田の“紹介”に続くのが、「引き締まった、豹のような体格」の黒木だっていうところも様式美。さすがの導入部である。安積班シリーズはこうじゃなきゃいけない。

東京湾臨海署管内でテロの可能性を示唆する事件が発生。犯人から臨海署宛てに犯行声明メールが届き、どうやら過去に安積班が扱った事件に関係があるのでは…との筋読みの話です。
このシリーズの場合、事件の結末は落ち着くべきところに落ち着く傾向が強いので、トリックがキマってうぉぉぉおおお!!っていう読み応えはほとんどありません。要はその“落ち着かせ方”であって、そこに向けて安積班メンバーを中心とした登場居人物達がどう考え、どう行動するのか、その過程を楽しむ小説でしょう。

先に挙げた「胸熱な展開」というのはいくつかあって、須田がテロの餌食になってしまうことや、本庁捜査一課との軋轢の中で見せた黒木の行動、それに対する野村臨海署長や相楽強行犯第二係長の発言、「冤罪」に対する安積のスタンス等々です。そういった登場人物の感情的な起伏がシリーズの中でも大きい作品だと思います。そこに魅かれる。

あとですね、臨海署主要人物総動員!!ですよ。お台場に舞台が移ってからのこのシリ-ズの総集編的な趣もあります。
終盤の展開と結末の大甘な治まり方は、もはや警察小説ではなく(昔の)特撮戦隊モノにすら思われてきますけどね。ま、元々時代劇のようなシリーズだからいいんでしょうけど、この“軽さ”を受け付けない人っていうのはいるでしょうねー。私はニヤニヤしながら楽しめますけども。

傑作。


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