GAMMA RAY「HEADING FOR TOMORROW」


GAMMA RAY「HEADING FOR TOMORROW」 (1990)

HELLOWEENを脱退したKai Hansen(Gt&Vo)が、元TYRAN' PACEのRalf Scheepers(Vo/現PRIMAL FEAR)と組んでスタートさせたバンド、GAMMA RAYのデビュー・アルバム。

ベーシストとドラマーのクレジットはされており、一応バンドとしての形態は整ってはいるのですが、後にメンバーとなるDirk Schlachter(Ba)やプロデューサーとして有名なTommy Newton(Gt)にヘルプしてもらったりと、この時点ではプロジェクトのようなものかもしれません。ジャケもKaiとRalf、2人の写真ですし。

南瓜から脱退したKaiが期待されていた音楽性はメロディック・パワー・メタルでしょうし、GAMMA RAY自体もメロパワ・バンドと言ってよいでしょう。でも本作に関して言えば、「メロパワ・アルバム」ではないというのが私の捉え方です。メロパワ曲はあるけど、アルバム一枚としてはメロディック・パワー・メタル然とした作品ではない、というか。もっと突っ込んで言うと、Ralf時代のGAMMA RAYに徹頭徹尾メロパワしてるアルバムは無いと考えています。
ウチのブログの捉え方としては、このバンド最初のメロパワ・アルバムは「LAND OF THE FREE」(1995)になりますけど、同作から感じる南瓜時代との連続性や同種の空気感は、そんな音楽性にも依っています。
まぁ私はRalf期のGAMMA RAYは後追いなので、リアルタイムで“Kaiの帰還”に接した人とはまた意見が違うのかもしれませんけどね。

イントロSE①Welcome②Lust For Lifeの必殺の流れこそ王道ですが、このが本作唯一のパワーメタル曲じゃないですかね?(⑦Hold Your Groundもそうかな)
南瓜のI'm Aliveにも通じる、この自己肯定型スピード・チューンのインパクトは当時から大きかったと推察しますが、この記事を書くにあたって改めて聴いたら、間奏の長さも同曲譲りなところがあって、「おぉ、間奏がやたら長く凝ってるのもI'm Aliveっぽい!」って驚きました。因みに私はこの曲でRalfのVoを始めて聴いた時、上手いとか下手以前に「ヘンな声だなぁ…」って思いましたね(笑)。ま、めっちゃ巧いんですけど。

続く③Heaven Can WaitもKaiのポジティヴ&ポップなセンスを活かした秀曲ですが、アルバム全体的には、自身に期待されているメロパワというより、自らの音楽ルーツからの影響を素直に反映させたものと映ります。
2000年代以降のGAMMA RAYは80年代HR/HMへの回帰路線が鮮明で、そこからの影響を露骨に出してきていますが、本作の場合はもっと古い時代、それこそ70年代HRの要素がチラホラ見受けられます。なんというか、あんまり「様式美」を感じる瞬間が少ないんですよね。それよりは、ミュージシャンの大好きな言葉で言うところの「スポンテニアス」なノリが支配的。カッチリとした型というよりは、自由で奔放な空気。RalfとKaiによる掛け合いVoが演劇っぽい⑤MoneyQUEENっぽさ全開の劇的さが特徴の⑥The Silenceはその最たる楽曲。穿ち過ぎかもしれないですけど、70年代路線はURIAH HEEP⑩Look At Yourselfをカヴァーしていることにも現れているような気がします。
また、大作⑨Heading For Tomorrowの曲調や構成を、南瓜時代のHalloween(これも大作)と比べてみると、かなり異なることに気づきますし。は意外なほどプログレッシヴ・ロックっぽいし、サイケに通じるところすらある。けっこうマニアックよ、この曲は。


メロパワじゃないからという理由ではなく、楽曲の出来にバラつきがあるので、それほど好きな作品ではありません。
ただ下に挙げたお気に入り曲は、Kaiの才能がはっきりと現れたものとして愛聴しております。

【お気に入り】
⑥The Silence
③Heaven Can Wait
②Lust For Life
⑨Heading For Tomorrow



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