スティーヴ・キャヴァナー『弁護士の血』

スティーヴキャヴァナー_弁護士の血
スティーヴ・キャヴァナー『弁護士の血』 (横山啓明 訳、ハヤカワ文庫)

スティーヴ・キャヴァナーのデビュー作、『弁護士の血』を読みました。
「このミス」2016年版の8位。

二十四時間裁判に関わり、自らの魂をすり減らし、家庭をかえりみることができない―ニューヨークの弁護士エディー・フリンは、酒に溺れて妻から見放され、いま町をさまよい歩いていた。そんな時、ロシアン・マフィアが彼を脅迫する。要求をのまなければおまえの娘を殺害する。十歳の愛娘が拉致され、いま命の危険にさらされている。マフィアのボスは、自分に不利な証言者を殺害しろという難題を突きつけてくるが…。

クッソ面白い。
こいつただの(元)弁護士じゃないな、と思わせる冒頭からして見事に引き込まれる。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓





この世に生まれて三十六年、ふたつのまったく違う世界を生きてきた―詐欺師の世界と弁護士の世界―だが、父から教わった技術のおかげでどちらの世界でも成功することができた。というのも、実際のところ、このふたつの世界に大きなちがいはないのだ。

ということで、主人公エディー・フリンは元詐欺師かつ弁護士です。
両方の特技を、超人的なまでの集中力と体力で以って発揮しまくる物語です。法廷ドラマ+アクション。舞台もニューヨークだし、ハリウッドで映画化しようもんならぴったりとハマりそうな小説なんですけど、作者はアイルランドの人なんですね。弁護士事務所で働いた経験が本書に活かされているようです。

文庫本で460ページほどの長さですけれど、その中身では実質1日半の時間しか流れておらず、ノンストップ。ハラハラドキドキ。あまりの緊張感に胃が痛くなってきます。読んでいる最中、何度も「すげぇおもしれぇ…」と感嘆漏らしまくりングでした。
現実的に感じない描写や展開、そんなに上手くいくわけないだろーって場面もそこそこあるんですけど、主人公の技能設定もロシアン・マフィアを巡る舞台設定も突拍子もないっちゃあそうなので、この世界観の中での破綻は感じませんでした。最もビックリなのは、主人公の携帯電話への文字入力スピードなんじゃないかっていう疑惑もありますが(笑)

まぁ個人的にはそれらが細かい粗探しに思われるほど、この小説の面白さにグイグイ引き込まれましたね。キャラクター造形とミステリ的仕掛けの設定、語り口が巧みなおかげでしょう。
傑作。
すんごいよこれ。


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