佐藤青南『白バイガール』

佐藤青南_白バイガール
佐藤青南『白バイガール』 (実業之日本社文庫)

佐藤青南の『白バイガール』を読みました。シリーズ物の1作目。
初めて読む作家です。Wikipediってみると、「元ミュージシャン」とありましたが、多分…、いや、間違いなくHR/HM好き。御本人のTwitterアカウントを覗いたらそんな感じだったので(笑)。

新米女性白バイ隊員が暴走事故の謎を追う!
神奈川県警の白バイ隊員になったばかりの本田木乃美は、違反ドライバーからの罵詈雑言に泣かされる日々。同僚の女性隊員・川崎潤ともぎくしゃくしている。そんな中、不可解なバイク暴走死亡事故が発生。木乃美たちが背景を調べ始めると、思いがけない事件との接点が――。隊員同志の友情、迫力満点の追走劇、加速度的に深まる謎、三拍子揃った青春お仕事小説の誕生!


こりゃあ読みやすい。
そして面白い。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓




正反対の性格であるように思える、2人の女性白バイ隊員が登場します(正確には「交通機動隊に所属する警察官」となるのか)。本田と川崎。バイク・メーカーから名前を取ったんですな。それぞれが悩みを抱え、衝突して、友情を育んで、成長してゆく過程が描かれますが、この構図が何を思い出させたかといったら、誉田哲也の武士道シリーズですな。同シリーズを青春小説の最高峰と信じて疑わない私なんぞは、もうそれだけで嬉しくなってしまいます。

ただ本田&川崎だけが物語の軸となるわけではなく、この2人が所属する神奈川県警第一交通機動隊A分隊のメンバーの活躍を描く「チームプレイ物」であるというところがポイントでしょうか。この個々のメンバーのキャラに魅かれるのよねぇ。

会話のテンポが良いことや言葉選びが巧みであるおかげで、読んでいると登場人物の姿が脳内に生き生きと浮かび上がってきます。ミステリ作家が書く会話って、こういう場面ではこういう会話をするもんだという、ステレオ・タイプにハマってしまってるものも多いんですよね。特に本格物にありがち。読者に伝えたいことを会話に盛り込むことに終始して、「実際の会話ではそんな言葉使いしないわな」という現実離れしたやりとりになっているパターン。でもそういうのに慣れ切っているから、読めてしまう自分が居たりするんですけど。
だから、本作のような自然な会話が繰り広げられる作品に触れると、嬉しくなります。オッサン臭くない軽妙な言葉選びでありながら、ライトノベルっぽい軽薄さ(と敢えて言う)をギリギリ感じさせないバランス。本田や川崎がボソッと心情を吐露するような地の文も巧いですね。思わずニヤニヤしてしまう場面には事欠かないし、何度か涙腺にキました。

後半、ミステリ&アクション色を増してゆくところでは、「ンなばかな!?」と言いたくなる展開やツッコミどころが多くなってきますが、まぁ許容範囲でしょう。「自然な会話」が強みの作品だとは思いますが、リアリティやディティールを追求したお話ではありませんし。

ズシリと心に重く残る作品ではありません。でもこのサクサク読めるリズムは気持ち良いし、キャラ萌え度数も高く、かなり楽しめました。個人的にはミステリ色はもっと薄くてもいいかな。登場人物の魅力だけで十分面白く読めるから。


P.S.
途中、バーの客として登場する女性2名は、作者の消防女子!!シリーズの登場人物っぽいですね。こういう繋がりや仕掛けはとても好き。2作目&他シリーズも読まねば。


スポンサーサイト

COMMENT 0