lynch.「SINNERS-EP」 (2017) ヴィジュアル系ラウドロック・バンド、
lynch. のミニアルバム。
イントロSE含む6曲入り。
2016年末に明徳(Ba)が大麻取締法違反で起訴され、契約解除のうえ脱退、バンドは活動休止となりました。本作はその活動休止期間明けの第1作になります。休止期間はどのくらいならば妥当なのかといった議論は無意味な気もしますが、個人的にはそんなに間が空いた印象はありませんね。「もう?」というくらいの感覚。
しかしこのタイミングでこのイミシンなタイトルですよ。そしてジャケがカッコ良過ぎる。
Baパート不在の為、サポートを入れての制作となりました。その参加ベーシスト陣が豪華。
LUNA SEA のJに、
黒夢 の人時に、元
Pay money To my Pain のT$UYO$HIに、
OUTRAGE の安井義博に、
MUCC のYUKKE。それぞれの曲名に「feat.~」と付け、敬意を払いつつ話題性を高め、復活へのストーリーを描き出す。バンドとレーベルのしたたかさを感じますね。
転んでもただでは起きないといいましょうか、素晴らしい作品に仕上げてきました。個人的には
「GALLOWS」 (2014)以来の手応えかな。
激烈さを前面に出す一方、メロディの煽情力は今一歩だと感じたのが
前作「AVANTGARDE」 (2016)でした。そこからの揺り戻しも感じる作風ですね。葉月(Vo)がよく“歌って”います。
らしいシーケンスに妖艶な女性コーラスが乗る
①SIN の幕開け、それに続くリードトラック
②TRIGGER が勢いで押してゆく曲ではなかったことが意外でした。ある意味淡々としている、スムーズなメロディ展開を持つ曲なんですが、この漂う大物オーラと余裕は何でしょ。葉月の歌唱の最も美味しいところが収められている気がします。このバンドは限られた音域の中での情感演出が巧く、派手な曲じゃないけど実に沁みます。意外なほど長尺なGtソロもしっかりと聴きどころになっていますし。
大雑把に言って、メロディックな曲と激しめの曲が交互に登場します。このアルバム構成の明快さは好印象です。前曲との落差が新鮮さを生み、それぞれのキャラが際立ちますから。曲数の多いアルバムでそれをやるとチグハグな流れになってしまう場合も多いですけど、ミニの尺ならば効果的でしょう。
② ↓
彼ららしい言葉遊びが特徴の激烈モダンチューン
③BLACK OUT DESTROY (途中のキラキラパートがスパイスに)
↓
キラキラV系曲
④KALEIDO ↓
重くメタリック、パートによってはドゥーミィとさえ言える
⑤DIES IRAE ↓
悠介(Gt)らしい切なバラード大作
⑥SORROW (ドラマティック!)
そんなに芸風が幅広いバンドでもないですし、基本路線は変わってないし、かつ新機軸があるわけじゃないですけど、どの曲にもそれぞれの面白さが設定されています。曲調に対するゲスト・ベーシストの選択も合っている。
また、メロディック・サイドの
②④⑥ が
lynch. にしては長尺だというのも特徴でしょうか。曲が長くなったら必ずしもドラマティックになるわけじゃないですけど、彼らの場合(このアルバムの場合)はそれが吉と出ているんじゃないでしょうか。全曲そういう曲ではないけど、メロディとドラマ性が前面にくる作品。
吼える葉月も好きだけど歌う葉月の方が好き。ということで、管理人的には快哉を叫びたくなる復活作でした。
いいよとっても。
【お気に入り】
④KALEIDO ②TRIGGER MVは→
コチラ。 間奏にて降臨するJの雄姿に震えろ。 ⑥SORROW 5曲全て良いけど、選ぶとしたらこの3つ。葉月が“歌って”るやつ。
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