LOVEBITES「THE LOVEBITES EP」


LOVEBITES「THE LOVEBITES EP」 (2017)

ビクターエンタテインメントの洋楽部門からいきなりメジャー・デビューした、国産ガールズ・メタル・バンドのデビュー・ミニアルバム。紙ジャケ仕様なんですけど、プログレ系のCDでよくあるタイプのものと比べると、造りがちゃっちいのが残念ですね。
収録されているのは4曲なので、ミニアルバムというよりはシングルみたいな捉え方の方が、現状には即しているかもしれません。当初3,000枚限定生産ということで売り出しましたが、結局増産が決まったんだそうです。なんだそりゃ、凄いけどなんかズルくねぇすか?(笑)

バンド名は、BAND-MAIDDon't let me downのパクリ元曲として名高い(?笑)、HALESTORMLove Bites (So Do I)から取ったみたいですね。ビクター所属の様々な海外メタル・ミュージシャンから集めたと思しきコメントや広告への露出等、レーベル側の猛プッシュがなかなか強烈ではありますが、インディーズのガールズ・メタル界隈の情報を追いかけている人からすれば、そのメンバー構成や来歴からそこそこの期待をしていたバンドだと思います。
「以前も別バンドでリズム・セクションを組んでいた」なんてぼやかした表現になっていますけど、miho(Ba)とharuna(Dr)は元DESTROSE。Gtのmidoriは元激情★めたりっちぇ、サポートGt&Keyのmi-yaは現21g/元a DROP OF JOKERのメンバーですね。
ヴォーカルのasamiだけちょっと畑が違うというか、有名アーティストのバックでコーラスしてたりと、彼女が一番「メジャー」の領域で活動していた人のようです。

ミックスとマスタリングは、Mikko KarmilaとMika JussilaによってフィンランドのFinnvox Studioで行われるという、破格の待遇です。プロデュースを手掛けているSteve Jacobsは、Mary's Blood「Countdown to Evolution」(2014)と「Bloody Palace」(2015)に関わっている人。メアリーもコロンビアの時から制作周りはビクター人脈だったっぽいですしね。
そして管理人的には、Fuki CommuneLIGHT BRINGERのMao(Key)がバックアップ(作曲&アレンジ)してるというのが熱い!


そんな話題性豊かなバンド・スタートではあるんですが、真にビックリなのはその音。
衝撃のデビューと言い切っちまっていいでしょう。散々高く設定されたハードルを、あっさり超えてきた感があります。

作風は割とオールド志向なメロディックHM。技巧や音作りの面からすると、現代的に仕上げられている部分もありますが、ドラマの演出方法が分かり易く、王道を踏まえている感じ。バラードはありません。かなりメタル度数(なにそれ)は高く、スリリングな音です。
ざっくり言うと、正統派歌モノHM①Don't Bite The Dustに、テクニカルかつ激しめのスピードメタル②The Apocalypse、リズミックな小気味良さが光る③Scream For MeX JAPANっぽさのあるドラマティックな疾走曲④Bravehearted。どの曲もフックがあり、メロディと攻撃性のバランスが素晴らしいです。
haruna作詞作曲によるDESTROSE時代から演奏していた曲だそうですが、この曲のみ歌詞が日本語で、あと3曲は英詞です。

さて、日本人アーティストによる英詞曲に対して極度のビビりである管理人です(笑)。LIVEBITESにしても前情報では英詞中心になるとのことだったので、オイオイ勘弁してくださいよーって思ってたんですけど、実際聴いてみたらその心配は杞憂だった、…とまではいかないけれど、なかなか上手くやってんじゃんという謎の上から目線に落ち着きました。asamiには海外留学経験があるようですけど、その点が奏功したんでしょうか。②③、特にサビメロへの英詞のハマり具合は秀逸だと思います。
別に英語ができるわけでもない管理人は、聴いていて違和感があるかどうか、歌詞が聞き取れるか否かで判断しています。何を「判断」してるかって言ったら、自分の好みの音かどうかってことですけどね。asamiさん、発音はとても良いんじゃないですかね。ただ、歌メロの作り方に無理があるのか、不自然に聞こえる箇所がそこそこある。
勿体無いなと思うのが、リードトラックであるの歌詞の乗せ方が最も不自然なこと。言葉を詰め込み過ぎでゴチャッとしてるから、彼女のVoが上手く活きてないように感じます。あと、この曲が一番隙間があって、かつ“ふつー”の曲なので、イヤでも歌唱に意識が行ってしまうってのもあります。

ただ、日本語でやった方が良いんじゃないかと言えるかというと、そこまでは判断つかないってのが現状ですかね。何故かというと、唯一の日本語曲であるに、他の曲よりも歌謡曲的なクサみを感じたから。聞き慣れている音だから安心感がある反面、「ベタ」だな、と。すげー強力な曲で私の好みでもあるんですけど、このバンドの音楽性や目指すヴィジョンの中で、この曲がどういう位置を占めるのかが分かりません。あんまり歌謡曲的な方向に行きたくないなら、英詞で行くのも手かもしれませんし。その場合には、歌詞の乗せ方や言葉のチョイスに関して、もっと厳しくジャッジした方が良いと思いますけどね。


触れる順番は逆になってしまったような気もしますが、LOVEBITESの「衝撃」の最も大きな部分を担っているのは、asamiのヴォーカルでしょう。それほど太さがある声じゃないですけど、それが聴き易さを担保してますし、どの音域でも声量は均一で衰えないし、抜群の伸びがある。めちゃくちゃ巧いわ。
表現はどうかと思いますが、ジャパメタねーちゃんっぽくないんですよね。HR/HMの流儀に則った歌唱をしつつも、声にメジャー感というか、気品や華やかさがあります。また、突き抜ける歌唱だけじゃなくて、気だるげな歌い回しも披露しており、表現の幅を感じます。
あと、もしかしたらこれが最も大きいのかもしれないけど、リズミックなパートの歌唱がかなり板に付いているんですよね。は1曲丸ごとリズム感の良さが問われる歌い回しだし、のブリッジもしかり。その点からもメジャー的な洗練を感じます。
バンド全体的にはヘヴィな音像なんだけど、彼女のフットワークの軽い歌唱のおかげでべたつきません。軽快&爽快、開放感がある音に仕上がっています。こりゃあ逸材でしょ。

Vo面でもビックリだったけど、器楽的面白さも期待以上でした。特にギター・プレイね。リフもソロもハーモニーも、ゾクゾクするところがあちこちにある。ソロイスト・タイプが2人いるって感じのプレイではなくて、チーム・プレイであることも管理人好みです。2人のギタリスト、どこがどちらのプレイか分かりませんが、midoriがこんなに弾ける人だとはなぁ…(驚)。激情★めたりっちぇは完全にノーマークでした(というか苦手だった)から。
サポートのmi-yaの貢献の大きさも特筆すべきところでしょうね。①②に関わっているMaoが果たした役割も大きいんでしょうけれど、プレイヤーとしても作編曲者としても(は彼女の曲)、サポートとは思えないほどの八面六臂っぷり。


たった4曲なので諸々判断しにくい部分もありますし、バンドとしては正に「これから」ってところでしょうけど、これはすんごい。
ライブを観てみたいですね。また、それ以上に制作中であるというアルバムに期待しています。

【お気に入り】
②The Apocalypse
③Scream For Me
④Bravehearted

3曲とも同率って感じで。肩入れしたい(?)のはだけど、面白さを感じるのは②③、みたいな。


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