TYTAN「ROUGH JUSTICE」


TYTAN「ROUGH JUSTICE」 (1985)

もうすぐ32年ぶりの新作(=2ndフル)が出るということで、TYTANです。
1981年に結成されたこのイギリスのハードロック・バンドは、NWOBHMの文脈で語られることが多いようですが、1stアルバムである本作のリリースは少し遅れた1985年なんですよね。NWOBHMのムーヴメントは1979年に始まって1983年くらいまでとも言われていますから、時期としてはちょっとズレてる。なんでも制作自体は1982年に行われたものの、その後しばらくお蔵入りになってしまったということです。おまけに、ずっとCD化もされておらずに伝説化、…という経緯。

私自身、この1stの存在は、ジャケのジャスティスくんの雄々しい姿とともに把握していましたが、なんせCDで手に入らないから如何ともしがたく、ずっとタイたぁんのことだけを想って暮らす日々が続いていたわけです。めでたくCD化されたのは2004年でしょうか。私が持ってるCDには「2004 Majestic Rock Records」って記載されてるから多分そうなんでしょう。

半ば伝説化した作品っていうのは、その内容で判断されることもあれば、(内容というよりも)入手しにくさがイコール出来の良さと捉えられて流布されてる、みたいなパターンも多く見受けられます。特にプログレッシヴ・ロックだとそういうのが多いような気がする。あとNWOBHMで括られる作品の中には、「この1曲が入ってるから」という点のみが評価されてるんじゃないかと疑われるようなものもチラホラ。

だが安心したまへ。
本作について、そんな心配は杞憂。
…だと思う。
全編隙無しとは言わんけど、かなり聴きどころの多い作品だと思います。年間ベストにランクインさせたのは伊達じゃない。

当時のメンバーには、後にLION(これまた音源が手に入らないバンド!)とBAD MOON RISINGに在籍するKal Swan(Vo)、そして元JUDAS PRIESTのLes Binks(Dr)がいます。バンドの中心人物はおそらく元ANGEL WITCHのKevin“Skids”Riddles(Ba, Key&Vo)なんでしょうね。収録曲は彼とKalの共作のものが多いです。
NWOBHMらしい早回しのリフで走り抜けるカラッとした曲から、湿り気多めの英国HRまで、ともすれば散漫にも取れそうな作風ですが、歌メロがキャッチーなこと、あとは何より、Kalの素晴らしい歌唱が上手く全体を纏め上げています。ポップで明るめの曲でも彼のVoのおかげで浮つかないのはポイントでしょう。

本作の何が好きかって言ったら、「湿り気のある英国HRをKal Swanが歌う」っていう1点に絞られてくるくらい、このVoが良いのです。
熱い。無駄に喚き散らすわけではなくて、うるさくない熱さとでも言いましょうか、押しつけがましさがあまりない声なんですよね。でも熱い。胸を焦がすというかね。かつイケメソ声。戦隊モノで譬えればレッドみたいな分かりやすい熱血漢じゃなくて、実はブラックはその胸の裡に秘めた熱さを持っていたのだ!系。最高ですわ。
同じKalが歌ってるバンドでも、BMRはまるで好みじゃないんだけどさ(笑)

NWOBHM繋がりで哀愁のある音といえば、プレマンことPRAYING MANTISがあります。Voの資質もあり、こちらはプレマンよりも温度高め・清涼感少なめ。シングル・ギター編成なので派手なツインリードはありませんが、Steve GibbsのGtはなかなか弾きまくっており、要所々々で耳を引きます。
極めつけは1曲目の①Blind Men & Foolsでしょうね。もうこの1曲だけでも元が取れる名曲。バッキングVoの使い方も巧みで、後追いコーラスのダサさすら愛おしいです。ラストの⑫Far Side Of Destinyもいいね。本作の中でも最もドラマティックな2曲が、アルバムの最初と最後を飾るので、全体の印象も底上げされますし。


時代に取り残された名盤。
ウチのブログ的にはKalの存在が大きいですが、その実、リズム隊の実力やリフ・メイク、曲展開の巧さ等々、バランスの取れた良いバンドだったことが分かります。

【お気に入り】
①Blind Men & Fools
⑫Far Side Of Destiny
⑩Forever Gone
④Cold Bitch
⑥Rude Awakening


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COMMENT 2

グラハムボネ太郎  2017, 04. 24 [Mon] 11:52

幻の名盤扱いだった

レコード時代はそんなアルバムがたくさんありましたね!
私もこのアルバムをどこかの中古屋で見つけた時は、嬉かったけど、期待が大きすぎて、聴いた後はなんだかなぁって思いました。
幻は幻だからよいこともあるわけで

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ヒゲ・スカイウォーカー  2017, 04. 24 [Mon] 21:14

グラハムボネ太郎さん、

「なんだかなぁ」でしたか(笑)
私はNWOBHM群の一発屋(一曲屋?)アルバムをいくつも体験した後だったので、より湿り気があって自分の感性に合う本作を諸手を挙げて歓迎したものです。そりゃまぁ、リリースされた時代が時代なんで、現役バンドの新作とは全く異なったスタンスでの期待ではあったんですけどね。

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