デーモン閣下「EXISTENCE」

デーモン閣下_existence
デーモン閣下「EXISTENCE」 (2017)

地球デビュー30周年記念期間限定聖飢魔Ⅱでの活動が、約2年間(準備期間を入れたら、もしかしたら足掛け3年かも)続いた影響もあるんでしょうか、2000年以降では最も前作からの期間が空いてのソロ・アルバムです。
私が買ったのはDVD付きの初回限定盤で、そのDVDには、リードトラックである②ゴールはみえたのMVと、本作収録曲1つ1つについてのデーモン閣下からのコメント映像が収められています。このコメントがめちゃくちゃ興味深いし、面白い内容になっているので、悪魔教信者であればマストっす。

前作「MYTHOLOGY」(2012)と同様、スウェーデンのメロディアス・HRバンド=GRAND ILLUSIONのAnders Rydholmが閣下の右腕となり、演奏から編曲、プロデュースまで諸々を手掛けています。
Drは全て、Gregg Bissonette。あとはGRAND ILLUSIONのPer Svenssonだったり、名前から予想してAnders親方のスウェーデン人脈だったり、GIのアルバムに参加してる人達を起用した体制ですね。そう言えばGreggはGI繋がりでもあります。
例外なのは、シングルとしてリリース済みの③Forest Of Rocks(記事は→コチラ)と、和楽器をフィーチャーした①深山幻想記 序曲⑨深山幻想記 -能Rock-で、全体としては北欧色、というかAnders色の強い一枚になりました。
力作。


「MYTHOLOGY」は、曲毎に異なるゲストVoと閣下とのデュエットが、大きな“売り”の作品でした。で、本作の“売り”といえば、作詞の外部委託、でしょうか。その「発注」が行われたのは12曲中3曲ですが、全員が聖飢魔Ⅱデーモン閣下の信者である著名な作家、というのが面白いところ。
聖飢魔Ⅱが主題歌を提供した、『テラフォーマーズ』シリーズの原作者である貴家悠が、重厚なオペラ調合唱をフィーチャーした⑥地球へ道づれ!を、
芥川賞を受賞した作家の長嶋有が、ブルボン小林名義で⑧方舟の名はNoirを、
同じく芥川賞作家の羽田圭介が、シャッフル調の説教チューン⑪Stolen Faceを担当、というふうになっています。
羽田氏は、記憶に新しい又吉氏とのW受賞でしたが、その受賞の連絡をカラオケボックスで待っている時のメイクがデーモン閣下のものだった、というのがやたら強烈なエピソードでしたね。で、その席に一緒にいたのが、長嶋氏だという。
三者三様、バラバラな作風(?)のこの3曲ですが、私はが一番好きですね。シンフォ強めの曲調も良いし、閣下の喋るような歌い方も新鮮。そして何より、聖飢魔Ⅱリスペクト全開の歌詞に愛を感じるのだ。

曲毎に向いている方向がバラバラにも感じる幅広さは前作譲りの部分で、その雑多な楽曲群が、Anders親方のアレンジと閣下のVoと今までのキャリアの中で獲得してきた世界観とで以って、不思議と説得力のある形にまとめ上がっちゃうのも同様。
ただ今回、ロック色は強めであるものの、あんまりバンドらしさを感じないのは、Andersが1人でまとめた範囲があまりにも広いであろうことと無縁ではない気がします。ロック・バンドのアルバムというよりは、Anders1人による作り込みキラキラ・ハードポップって感じ。で、フィーチャリング・デーモン閣下って感じ。
あと、閣下の書いた歌詞に、やたらまっすぐな言葉や表現が多いように思いました。「EXISTENCE」というタイトルの基になったという④Just Being -ここにいる そこにいる-なんてその最たる曲で、個人的にはその驚異的なダサさ…、、いや、赤面モノのストレートさが受け付けなかったのも事実。あと、Andersのメロディと閣下の歌詞の乗り方が噛み合っていないと感じるところもちらほらありましたね。

コメントDVDによると、「EXISTENCE」と並んでタイトルの候補だったのが、「渋谷」、もしくは5曲目の「Shibuya Scrambled Crossing」だったそうで、ナンダソリャとは思いましたが(笑)、とりあえずはなかなか良い曲です。とってつけたようにアタマとケツに挿入される雑踏のSEが白々しいんですが、気品ある大仰な歌メロを持つシンフォ・チューンで、終盤にかけてグイグイ盛り上がってゆく展開が美味しいです。もそうですけど、やや高めの中音域でのシリアスめな歌唱が、閣下の声が最も映えるところだと思っているんですよね。でもやっぱりShibuyaって歌詞に違和感があるな(笑)。
因みに、ブックレットやのMVに挿入されている写真(シーン)は、実際に渋谷の街中でゲリラ的に撮影したものが使われています。突如として渋谷に降り立つ悪魔。想像するだに、なかなかシュールな光景です。

一番のお気に入りは⑦てふのやうにまひですね。メタルです。気高さを感じるスピードチューン。GreggのDrの抜けがとても良いです。間奏後の展開も劇的。最も聖飢魔Ⅱのイメージに近い楽曲でしょうね。本作の中では異色かもしれません。まぁ全曲バラバラな作風みたいなものなので、異色もクソもないんですけど。

ウチのブログ的に猛烈プッシュしておかなきゃならんのが、ラストの⑫Heavy Metal Strikes Back -血まみれの救世主たち-。この曲、KAMEN RIDER GIRLS(仮面ライダーGIRLS)の1stアルバム「alteration」(2013)のボーナス・トラックとして、閣下が曲提供した正統派HMチューンですが、それを今回、閣下Ver.として録りなおして収録したものです。KRGS Ver.の演奏は、Marty Friedman(Gt)+Billy Sheehan(Ba)+Brian Tichy(Dr)というものすごいメンツによるもので、何を隠そう、私がKAMEN RIDER GIRLSを聴くようになったのはこの曲がきっかけです。
閣下版の方がヘヴィ、というかどっしりとしていますかね。KRGS版はMartyのGtがかなり華やかでフラッシーに録音されているのよね。あとリズム隊が跳ねまくってるから派手に聞こえる。女性Vo、しかも多声だから華やかに感じるってのもありますけどね。私はKRGS版の方がずっと好きですけど、勿論こちらも悪くない。そりゃあ自分で書いた曲だし。サビは落ち着き過ぎで、疾走感が失われているというか、昂揚感があまり感じられない気もするけど、ラストのうわっ被せるハイトーンは興奮する。これ、コメントで聖飢魔ⅡHEAVY METAL IS DEADのハイトーン・シャウトへのアンサーみたいなものだと仰ってましたね。燃える。
しかし、GIRLSファンでかつ悪魔教信者としては、ブックレットの「Gokuro to:」のクレジットに「KAMEN RIDER GIRLS & Their Staff」とあるのが嬉しいし、コメントDVDで何度も閣下の口から「仮面ライダーGIRLS」って出るのがもっと嬉しい。つーか、デーモン閣下のファン、KAMEN RIDER GIRLS聴こうぜ!(笑)

しかし、といい、この曲といい、やっぱりHR/HM色強めの曲を求めてしまうってのは、私自身、聖飢魔Ⅱが好き、聖飢魔Ⅱの影を追いかけてるってことなんでしょう。コメントで仰ってたように、「こういう曲待ってたんでしょ!?」ってタイプです私(笑)。閣下の本意じゃないタイプの曲チョイスだw
10分半にも及ぶ和楽器・プログレ・チューン⑨深山幻想記 -能Rock-も聴き応え抜群ですけどね。

【お気に入り】
⑦てふのやうにまひ
⑫Heavy Metal Strikes Back -血まみれの救世主たち-
⑤Shibuya Scrambled Crossing
⑨深山幻想記 -能Rock-
②ゴールはみえた
⑧方舟の名はNoir


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