ジャック・カーリイ『イン・ザ・ブラッド』

ジャックカーリイ_インザブラッド
ジャック・カーリイ『イン・ザ・ブラッド』 (三浦和代 訳、文春文庫)

ジャック・カーリイのカーソン・ライダー・シリーズの5作目『イン・ザ・ブラッド』を読みました。
3作目『毒蛇の園』の感想は → コチラ。
4作目『ブラッド・ブラザー』の感想は → コチラ。

刑事カーソンが漂流するボートから救い出した赤ん坊は、謎の勢力に狙われていた。収容先の病院には怪しい男たちによる襲撃が相次いだ。一方で続発する怪事件―銛で腹を刺された男の死体、倒錯プレイの最中に変死した極右の説教師…。すべてをつなぐ衝撃の真相とは? 緻密な伏線とあざやかなドンデン返しを仕掛けたシリーズ第五弾。

うぉーさすがカーリイ!
今回も面白れぇ!


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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主人公カーソンとその兄ジェレミーの関係に、一応の区切りが付けられたのが前作『ブラッド・ブラザー』でしたが、本作から“新章”とも言うべき作風の変化を感じますね。良い意味でも悪い意味でも、緊張感は薄らいだ。エンディングにも爽やかな風が吹きますしね。

追い込まれるようなサスペンス性は乏しくなりましたが、ユーモアに富んだ語り口と、適宜盛り込まれる鮮やかな場面展開のおかげで、読んでいて飽きません。代わって強く出ている特徴が、複数の筋を同時進行させながら物語を進め、最後に収斂させるという構成。作者の伏線の張り方の巧さがよく分かるやり方でもありますし、刑事モノ・ミステリとしての面白さも存分に味わえます。カーソンだけの物語に偏らず、ハリーとのコンビ・プレイを楽しめる点でも良いですね。

作者とよく一緒に引き合いに出されるのがジェフリー・ディーヴァーですけど、(ディーヴァー)のリンカーン・ライム・シリーズとそのスピンオフ・シリーズは個人的にはちょっとマンネリを感じていて、多分読んだら面白いんでしょうけど、文庫化されたのに買ってないのが数作溜まってます。以前は、文庫派の自分としては発売されたらすぐに新刊で購入してたんだけどなぁ。
でもこちらのカーソン・シリーズはまだまだイケる。ディーヴァーは最初に大きな「敵」の存在をはっきりさせ、それを追いかけるというサスペンス的手法だけど、カーリイは誰が「敵」なのか分からせないまま徐々に物語を解きほぐしてゆくという本格ミステリ仕立てでもある(本作は特にそう)からですかね。カーリイの方が即効性に欠ける分、飽きない。前作の感想でも似たようなこと書きましたけどね。
また、管理人の好きな海外翻訳モノ、その中でも相棒モノと言えば、デニス・ルヘインのパトリック&アンジー・シリーズがありますけど、あちらがシリーズ終了してしまっている今、ジャック・カーリイへの期待は大きいのです。
翻訳順では次作にあたる『髑髏の檻』も購入済みなので、楽しみ。


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