BAND-MAID「Just Bring it」


BAND-MAID「Just Bring it」 (2017)

お帰りなさいませ、ご主人様&お嬢様!!

家庭内労働型女性使用人的ロックバンド・BAND-MAIDのメジャー1stフルアルバム。しゃれこうべを模したジャケがイカすっぽ。
因みにメジャー1stミニは「Brand New MAID」(2016)。
メジャー1stシングルは「YOLO」(2016)。
ややこしいっぽ。

まず音が最高ね。ライブを意識したような荒々しい音作りで、ヘンに綺麗綺麗に仕上げられていないところがいい。メイドさん達、個々の技量の高さがどうこうと言うより、バンドとして合わさった時のガツンとくるパワーがかなり強力だから、その強みがストレートに伝わってくるこういった音像はとても良いと思います。リズム隊の高い技量と活躍っぷりが手に取るように分かりますし、Gtトーンも◎。フィードバックとかフレットの金属音も生々しい。

(メジャー)ミニ→シングルと、メイドさん自身の作詞作曲による“お手製曲”が増えてゆくように思えた路線ですが、本作は当たらずとも遠からず。
元々は、ビーイング陣営のライターの参加とその楽曲に魅かれて「お帰りなさいませ」した管理人ですから、「YOLO」の出来にも満足していませんでしたし、完全に“独り立ち”して外部ライターを切ってしまうのは勿体ないなぁ…等と思っていました。その点からすると、全13曲のうち、3分の1ほどの楽曲で“外部の血”を取り入れている本作のバランスは、「なんとか踏み止まった」という感があります。

メンバーが書いた曲の方が明らかにモダンですね。歌メロにエモ系のそれを思わせる曲もチラホラあります。リードトラックの①Don't you tell MEが勢いのあるオープナーで分かり易い例になってますけど、彩姫(Vo)の捲し立てるような歌唱や細かいGtの刻みがどこか洋楽っぽいんですよね。外部ライター陣では、後藤康二が書いた⑧So,What?がそれに近いというか寄せてるというか、同じ雰囲気があります。それは前作以前も同様でした。このは、(同じく後藤のペンによる)前作収録のLOOK AT MEBrand-New Roadよりは気に入ってます。

対して、邦楽っぽさというか歌謡曲を思わせるのがそのほかのビーイング・ライター陣の曲で、メンバー曲との色合いの違いがバラエティの豊かさに繋がっていて飽きないし、思ったより双方のバランスは良好。シングルではピンとこなかった④YOLOもアルバムの中に馴染んでおり、印象が上向きました。
今までのバンド(というかメンバー)の志向/嗜好からしてもっとどっしり系でくるんじゃないかと思って(恐れて)ましたけど、キャッチーさやストレートなノリ易さもあって一安心。、、、…どころかガッツポーズものでした。先述した洋楽っぽさと歌謡曲っぽさの割合もそうですけど、重さと軽快さのコントロール具合が絶妙ですし、各曲に聴きどころを設定してるのはさすがだな、と。

ゴリゴリでトリッキーなリフを持つ②Puzzleや、MISAのBaがバキンバキンと主張する⑦Take me higher!!は得意とするパターン。徐々に躍動感が増してゆく⑪Awkward⑫decided by myselfでの明暗の使い分けは成長と言ってもよいでしょう。③モラトリアムはなんとスラッシュ・メタル! まぁ丸ごとスラッシュってわけじゃなくて、そういうパートがあるっていうだけだけど、それでもなかなか衝撃でしたね。HMというよりはHRって感触のバンドだったから。最終曲⑬secret My lipsのラスト、パッと視界が開けるようなアンセミックなコーラスの分厚さもちょっと意外でした。この曲の展開のマニアックさは引き出しの多彩さを物語るところでしょうけど、それが付け焼刃っぽくなくて、既にこなれてるからこそ恐るべし。

日本人の好きなタイプの速い曲ばかり揃っているアルバムではありません。でもここのリズム隊は強力だから、実際のテンポ以上のスピード感やキレを感じるんですよね。⑩you.の小気味良いドライブ感はその最たるところ。また、この曲以外でも感じることですし、前作のFREEDOMでも思ったことですけど、小鳩ミク(Gt&Vo)はメロディへの歌詞のハメ方がめっちゃ上手いんじゃなかろうか。

ビーイング曲は高いレベルで安定してますね。
NORA(ってどなた?)作曲の⑤CROSSはアリーナロック風のコーラスを持つアニソン風疾走曲(「風」って2回言っちゃった)、同じくNORA作の⑥OOPARTSは爽やかさと哀愁が交錯するJ-POP。どちらもともすれば大人しく着地しそうな曲調ですけど、低音部ゴリゴリ&ダイナミックなバンドの演奏、それとヒリヒリする彩姫の歌い回しがそれを拒否してる感があってサイコー。特に「みなぎゴリラ」こと廣瀬茜(Dr)のプレイはサイコー。後者はendcape(ってどなた?)による遊び心溢れる歌詞も聴きどころです。

ウチのブログ的ハイライトは、小鳩がメインVo(だよね?)の⑨TIME。作曲は元GARNET CROWの岡本仁志、作詞は小鳩。岡本は前作でもBefore Yesterdayという哀メロ・チューンを提供してくれましたが、今回も切ねぇ! さすがや! 「遠く連れてってよ call out」のcall↓out↑のラインが堪らんッ! あと、「心切り裂いて」のぎりぎりファルセットにならないところに潜む切なさな。キラー!!


引き続き、録音環境はビーイング関係の下で行われているようで、安定の品質を提供してくれています。そんな周りのスタッフや外部ライターの手を借りつつも、前作リリースの後、海外公演も含めてずっとお給仕してて、その合間にレコーディングしてというスケジュールの中で、よくぞここまでの作品を出してきたものだなぁと驚きます。勢いのあるバンドってのはこういうものなのか、と。
自らの美点を一切失わずに成長の跡を刻んだ、驚きの傑作。
最高ですっぽ。

【お気に入り】
⑨TIME
⑥OOPARTS
⑤CROSS
⑩you.
⑬secret My lips
①Don't you tell ME MVは→コチラ。
②Puzzle


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COMMENT 2

かつ丼  2017, 03. 04 [Sat] 21:05

一昨日、漸く購入することができました。
ヒゲさんのレビューでこのバンドの存在を知った気がします。
カラッとしたメロディーではありますが
意外と耳に残るのが良いですね
お気に入りは現時点で①〜⑤です。
まだ聴き込みが足りないのでこんな感じです。
チケットが取れれば5月か6月のワンマンに行くと思います。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2017, 03. 06 [Mon] 10:33

かつ丼さん、

もしウチのブログ経由での出会いであれば嬉しいですね。

アメリカ的な部分と日本的な部分のバランスが、上手く取られているのが本作だと思います。

最初観た時には、終演後にメンバーがフロアを普通に行ったり来たりしてたものですが、いつの間にかチケットの取りにくいバンドになりました。LIQUIDROOMではちと小さいような気がします。

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