陰陽座@パシフィコ横浜 国立大ホール

陰陽座 ツアー2016 『 絶巓の迦陵頻伽 』 パシフィコ横浜 国立大ホール (2016/12/23)

onmyoza_tour2016_karyobinga.jpg

妖怪重金属・陰陽座13thアルバム「迦陵頻伽」に伴うホール・ツアーの千秋楽、パシフィコ横浜 国立大ホールに行ってきました。
国立大ホールに来るのはJUDAS PRIEST「ANGEL OF RETRIBUTION」(2005)のツアー以来かしら? プリースト大好きな瞬火(Vo&Ba)がそれに絡めて「同じステージに立つことができてウンヌン…」みたいなMCをするかと思いきや、ありませんでしたね(笑)

式神先行で獲ったチケットは10番台中ほどの列でした。でも、いざ入場してみると、前方の列(多分、1~8列)はセットに潰されていたようで、かなりステージに近い。ここ最近の陰陽座ライブはTOKYO DOME CITY HALLのバルコニー席で観ることが多かったため、その距離感に戸惑っちまいましたね(TDCHもそれほど距離を感じる会場ではないが)。いつぶりだろうこの近さ、と。横位置は上手寄りで、ステージが見切れるわけではないものの、狩姦(Gt)の立ち位置よりさらに右寄り。この位置だとサポートKeyの阿部雅宏が見えないかと思いきや、今回は土橋誠(サポートDr)の真横にKey台がありました。

セットリストは、「迦陵頻伽」の曲が半分、それ以外のお馴染みの曲が半分、という構成。今回、久しぶりのライブということもあってか、お馴染みの曲のお馴染み度合いがハンパなくお馴染みで、選曲に意外性や新鮮味は皆無。いや、はちと久しぶりだったかな?? でもまぁレア曲ってわけじゃないしな。
新譜が出たらそこに入ってる曲は全部やるという「馬鹿者」(by兄上)ですから、会場がじっくり聴き入るモードになるであろう新曲群に対して、(ライブにおける)代表曲の乱れ打ちで盛り上げようという意図でしょうか。事実、それら“いつもの”曲はセットの後半に固まっていましたし。意図したとおりでしょう、ライブ終盤に向けてグワーッと急上昇気味に会場の熱気は増していったと思います。

しかしですねぇ、
「迦陵頻伽」の曲は切ねぇ!

曲の明度や速度や激しさに関係なく、聴いてると何故か胸がキュンとなる。めっちゃ切ないの。なんだオマエ気持ち悪いなとか言われてもしょうがない、オッサンだってキューン♡となるんだよこれが。誰が悪いって言ったら、そんな曲を作る瞬火が悪い。正に悪路王ですよ。
聴いてると曲の登場人物(妖怪)の心情や場面イメージが浮かび上がってくるってのは他のアルバムの曲でもそうですけどね、なんだろな、メロディの陰影が私の好みにピッタリ合うんですかね。

それと黒猫(Vo)の表現力がさらに研ぎ澄まされてきたから、っていうのはあるでしょうね。特に、ダイナミックな歌唱より、微妙で繊細な表現の冴え渡りっぷりの方がすんごいことになってるわ。
彼女は何も考えずに聴いててもとても巧いヴォーカリストですけどね、歌詞や扱っているテーマに注目すると一気に声の使い分けへの理解や味わいが深まる。どれだけ曲に込められた機微を掬い取れるのか、黒猫の凄さはここに尽きると思うんですよ。そして、その「凄さ」を支えているのが、“どの音域でも歌詞がはっきりと聞き取れる歌唱”という技術。
人魚の檻のヴィジュアル喚起力、氷牙忍法帖の凛々しさ、絡新婦の表現力、愛する者よ、死に候えでの瞬火とのコンビネーション(サビ裏のファルセットの絶妙さに鳥肌!)。そして、御前の瞳に羞いの砂の砂かけアクションと轆轤首での動きがキュート過ぎかよ!っていう。
「凄さはここに尽きる」とか言っといてなんですけどね、一番凄いのは、どういう風にカットされてるのか全く分かんない髪型だったりもするんだけど(笑)


キャリア最初のホール公演だった中野サンプラザではスクリーンに映像を映し出す演出を大々的にフィーチャーしていましたが、今回は冒頭の迦陵頻伽で1曲丸々使ったのみ。舞台と客席との間に薄く透けるスクリーンを配し、そこにCGを投影する方法ですね。で、2曲目のでそれが落とされるという。
視覚演出は控えめだったかわりに、照明は豪華でした。まぁホールとはいえ、いつもの陰陽座と変わらない光景でしたし、あくまで今回も「曲が主役」といったところでしょうか。

音響は良かったです。私の座席だと、聞こえてくるほぼ全てがステージ脇にあるスピーカーからの音でしたが、下手側の招鬼(Gt)も音もそこからちゃんと出ていましたし、各楽器のバランスや音量も良好。多少ヴォーカルを前に出した音像には感じましたが、どの楽器もクリアに聞こえる。Drもうるさくないし。
狩姦のGtトーンは絶品でしたね。特にソロにおける美しさ。あと、髪を短く切ってパッツンじゃなくなった彼のカッコ良さたるや! 喋らなければね!(笑) まぁ、危うげなテンションで捲し立て気味に喋ってこそ狩姦ですけど。あと、彼、ギターを替えるタイミングで、小さく会釈したり一言二言言葉を交わしてローディ(?)からギターを受け取っていたのが、実に“らしい”なぁと。

狩姦の長身に重なり気味であんまり見えなかったけど、阿部さん、動きからちょっとチャラさが無くなったかな?(笑) 勿論、定位置からは動けないものの、拳振り上げて煽る様子がだいぶメタル者のそれになってきたような気がするw
座席位置の関係からか、自然と“迦陵頻伽”猫さんと狩姦選手を中心に観ていました。でもショウの後半の定番曲になると、瞬火と招鬼も(勿論猫さんと狩姦も)上手側まで来てくれましたね。すっげー嬉しそうに弾いてるその様子を観ると、なんだかこの人達って昔っから何も変わってないな、と。距離の関係もあるかもしれないけど、バンドを、そしてメンバーを身近に感じました。

キャパ5000のパシフィコ横浜。
今までのキャリアの中で一番大きな会場。
3階はお客さん入れてなかったような気もするけど、こんなに多くのファンが集まるバンドになったんだなぁ…としみじみ感じました。だって私が最初に観たの、目黒鹿鳴館ですからね。
いや、別に式神歴が長いとかそんなの自慢したいわけじゃないんです。長く観てるってのはそれだけオッサンだっていうだけですから。それよりも、この日自分が感じた感慨を表すのに時間の流れという要素は欠くことのできないものだし、同時に、やっぱり初めて生で目にした光景ってのは忘れがたいな、と。それが衝撃を伴った場合は特に。初めての陰陽座のライブ、なんせゲストKeyは三柴理ですから。その編成で陰陽師ですから。今思い起こしてもやべー。
「迦陵頻伽」の曲が今のバンドを、“いつもの”曲が今に至るまでのこれまでの道程を感じさせてくれた、そのことも大きいかもしれない。

表現力に秀でた男女のツインVoに、
タイプの異なる2人のギタリスト。
美しいメロディに綺麗な(日本語)詞。
人間の心模様の機微を巧みに掬い上げるテーマ設定に、
器楽的聴き処の多い楽曲。
自ら拠って立つところのルーツへの敬意、
そしてルーツへのオマージュに留まらない実験性と個性。


それら、私がHR/HMに求める要素のほとんどをこのバンドが包括していることに気づいた瞬間、涙した。ライブのほんの序盤、熾天の隻翼あたりで、だけどw

「歩み続ける」
その言葉がこれほど似合うバンドもあるまい。
「迦陵頻伽」という作品は、瞬火にとってそれを超えてゆけるかどうか現時点では(((;゚Д゚)))ガクガクブルブルなアルバムだそうですが、まぁ「超える」というのは人それぞれの嗜好に左右されますからね。私にとって超えようが超えまいが、歩み続けてくれることが重要ですし、陰陽座はまだまだそうしてくれるでしょう。そういうバンドが存在することは、ファンにとって貴重であり幸せなことだろう、と。

いつも通りの陰陽座だったけど、その「いつも通り」が既に最高なんだから今回も最高だし、その「いつも」をさらに研ぎ澄ませてきてるんだから信頼できる。瞬火はMCで「共に歩んでくださったのが皆さんでなければ、僕はとっくに(ミュージシャンであることを)やめてましたね」みたいなことを言っていましたが、そりゃあこっちも一緒。陰陽座陰陽座じゃなかったら、式神やめてましたわ。

<セットリスト>
01.迦陵頻伽
02.鸞
03.熾天の隻翼
04.御前の瞳に羞いの砂
05.廿弐匹目は毒蝮
06.百の鬼が夜を行く
07.煌
08.轆轤首
09.人魚の檻
10.氷牙忍法帖
11.刃
12.愛する者よ、死に候え
13.素戔嗚
14.絡新婦
15.蒼き独眼
16.甲賀忍法帖
17.組曲「義経」~悪忌判官
18.羅刹
19.風人を憐れむ歌

ENCORE1
20.鬼斬忍法帖
21.卍
22.雷舞

ENCORE2
23.喰らいあう
24.悪路王

ENCORE3
25.生きることとみつけたり


クレーンカメラが左右に1基ずつ、ステージ上に1基の合計3つありました。この公演もいずれ映像化されるでしょう。今回はあまり面白みのない既存曲チョイスでしたが、来年上半期に予定されているいうツアーでは幅広い選曲が為されることを期待します。

あ、MCで「魂」って言葉が何回登場するか、数え忘れたw


スポンサーサイト

COMMENT 2

kazz-asai  2016, 12. 30 [Fri] 22:53

私も行きました。
屋上屋を架すようですが「迦陵頻伽」自体が傑作なので、実に充足感のあるライヴでしたね。
個人的にも、やはり「御前の瞳に羞いの砂」のニャンニャンニャンがハイライト!(笑)

Edit | Reply | 

ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 12. 31 [Sat] 20:35

kazz_asaiさん、

お疲れ様でした。
陰陽座は裏切られることがないです。正に安定。
黒猫の芸風(?)の広さ、女性も憧れるようなキュートさを失っていない点は驚異的ですね。

Edit | Reply |