THE UNCROWNED「REVIVE」


THE UNCROWNED「REVIVE」 (2016)

無期限活動休止中の国産メロディック・ロック・バンド(ユニット)、ACTROID。その中心人物であるTakeshi(Gt&Key)が始動させたニュー・バンドのデビュー作です。メンバーは、Takeshiの弟であるNaoki(Ba)と、今までヴォーカリストとしての経験がない新人のSHAL(Vo)の3人。Drはサポート。

「THE UNCROWNED」といえば、スウェーデンのテクニカル系メロパワ・バンド、LAST TRIBEの3rdアルバム(2003)のタイトルですけど、これが偶然じゃないだろってくらい、このバンドの音楽性はラストトライブってる。オフィシャルHP(→コチラ)のプロフィールを見ると、兄弟がそれぞれLAST TRIBEとMagnus Karlsson(LTのギタリスト、現PRIMAL FEAR)の名前をフェイヴァリットに挙げているので、偶々ってことはないでしょう。
Voが女性だという違いこそあれ、THE UNCROWNEDの基本路線がメロハー・テイストの強いHR/HMで、かつ弦楽器隊の技巧が目立っていることは、LAST TRIBEとの共通点と言ってもよいでしょう。メロディを大事にしたスリリングなGtプレイは、Magnus Karlssonを想起させる部分が大きいように思いますし。泣きとテクを絶妙に織り込みながら“歌い”まくるプレイがたまんねー。

つまり、めっちゃオイラの好みの方向性なはずだ。

ACTROIDはVoの声質が自分の好みにハマらなくてCDを買うまでは至らなかったんですけど、メロディックHRにJ-POP/アニソン的な歌メロとハードロッキンなGtを乗せたスタイル自体は、嗜好に合うはずでした。特にビーイング色が濃いメロディ使いに関しては、パメラー(PAMELAH好き)な俺が気に入らないわけはない!と思って何度も(トレーラーを試聴して)トライしたんです。結果ハマらなかったんですけど(笑)
THE UNCROWNEDの母体になったのは、そんなACTROID用に書かれた楽曲を形にするためのプロジェクトですし、おまけにACTROIDよりさらにメタリックな方向性を志向していると耳にしていました。

つまり、さらにオイラの好みの方向性なはずだ。


そして、正に期待した通りの音に仕上がっており、嬉しい限りです。
唐突とさえいえる転調とキメッキメな曲展開からはプログレ・メタル的な緊張感も感じますが、同時にアニソンや小室(哲哉)系ミュージックだってある意味そうだよな、とか考えられるわけで、J-POP/歌謡曲に通じる歌メロの存在も合わせると、これは実に日本人らしい組み合わせの音楽だな、というところに落ち着きます。OctaviagraceLIGHT BRINGERに通じるところも大いにあるでしょうね。メロディックなBaプレイが目立つ点もそうだし。
スピードチューンでは笑っちゃうほど露骨にキメまくりますので、人によっては無駄に忙しくしているように聞こえるかもしれません。私はこういうタイプの音が大好きだし、メロディの強力さに意識を持っていかれることもあって、技巧のひけらかし一辺倒には感じませんけどね。
また、曲のまとめ方が巧いからか、素直にメロディの良さを活かすパートと技巧で攻め立てるパート、この2つのメリハリ/押し引きが効いているというのもあります。このバンドの強みであろう双方の要素が、聴き手へと無駄なくスムーズに伝わるというのは大きいでしょうね。

予想よりビーイング色は濃く、アルバム中盤はもはや織田哲郎や栗林誠一郎が書いた楽曲でMagnus Karlssonがギター弾いてる趣すらありますね。(言い過ぎ?笑) あと、アレンジャーに葉山たけしと明石昌夫の名前を見つけても驚かないレベル。(驚く) ZARDっぽさが濃いし。ACTROIDも当時、B'zっぽいとこがあるとか言われてましたけど、THE UNCROWNEDはそれ以上にビーイングってるような気がします。哀愁全開、ビーイング・メタルだ。


さて、注目のSHAL嬢のVoですが、未経験&初めての録音という点を鑑みると、これは見事なパフォーマンスと言っていいんじゃないでしょうか。
正直、少しクセのある声質だと思います。芯の強さとほんのちょっとのハスキーさがあって、うわずり気味な点を個性と捉えるか固さと捉えるかで評価は変わってくるところかもしれません。Takeshiが彼女の声に惚れ込んだということですが、彼はある程度クセ(≒個性)のある声質の歌い手が好きなのかな? ACTROIDもそうだったし。
ただSHAL嬢の場合、そのクセにも関わらず聴き易さもあるのが不思議なところで、凛とした意志の強さを感じるところは正統的なジャパメタ・クィーンの系譜にあるような気もするし、そこはかとなく昭和を感じる歌い回しはJ-POP/歌謡曲の歌い手だなぁ…と感じます。両者の折衷と言えばよいですかね。

“ハキハキ歌のお姉さん”風、とまではいかないけど、はっきりと単語を発音する人ですね。それは歌詞を伝えるという点では長所であり、私の好みとも合致するところです。THE UNCROWNEDの歌詞はほぼ全編日本語詞で構成されていますので、彼女のその特質がしっかりと活かされているとも言えそう。
反面、流れるような歌メロの場合にはその利点が失われがちだったり、メロディの切れ目に単語がまたがると、そこがヘンに目立ったりもします。実際やや不自然な譜割りも散見するしね。
メロディとそれに乗る歌詞に合わせて、歌い方や発声を上手くコントロールできれば、もっと良くなるように思います。

アルバム全体から立ち上る歌謡曲テイストの濃さは、楽曲やメロディがそういう方向を向いて書かれているということもありますが、彼女のVoに依るところも大きいです。同時に、この声質にも関わらず、ジャパメタ特有の野暮ったさ(と敢えて言わせてもらう)が薄いことはポイントかつこのバンドの強みで、これはソング・ライティングとアレンジ(特にKey周り)の勝利なんじゃないでしょうか。

Takeshiが練り上げてきた楽曲はどれも強力。
私は特に気に入ってるのは、インパクト絶大なオープニング・チューン①SHIVER、技巧と哀メロが手と手を取り合ってキャッキャウフフなスピード・メタル③INFINITE、Naoki作の『火曜サスペンス劇場』エンディング・テーマ的哀愁曲⑦TOWARD YOU(兄貴だけじゃなくて弟もビーイングの手の者だったのかッ!?)、難易度の高そうなプレイが連続するキメキメ曲⑧DUELLO、透明感のある爽やかさでアルバムを締めくくるメロスピ⑨UNWAVERINGあたり。④BLUE MOONの昭和っぽさ(笑)も好き♡
⑤RELUMEのジャジーな小気味良さが、アルバムの中でアクセントになっている点もポイントですかね。


いやー、期待はしていましたけどここまでとは。
凄いわ。メロディの充実度が半端ない。
歌メロがJ-POP調であることを許容できる哀メロ派メタラーならば、刺さるものがあるのでは。
傑作。

しかも既に伸びしろの存在を感じられることが頼もしいのです。

②REVIVEのMV → コチラ。
Naoki、この手のベーシストにしては珍しく4弦使いなんですね。リードトラックのコレより良い曲がざくざくありますわ。

【お気に入り】
③INFINITE
⑦TOWARD YOU ←こういう曲でのSHAL嬢のハマり具合は凄いね。
①SHIVER
⑧DUELLO
④BLUE MOON


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