HEAVEN SHALL BURN「WANDERER」


HEAVEN SHALL BURN「WANDERER」 (2016)

ドイツのメタルコア・バンドの8thアルバム。

メタルコア系の音はそれほど熱心に追いかけているわけではないし、クリーンVoで歌われるサビメロ(よくあるパターンのやつ)がのっぺりしてて受け付けないバンドも多いんですが、このバンドは初めて聴いた前作「VETO」(2013)が素晴らしい出来だったので、本作も発売前から楽しみにしていました。まぁこの2作しか持っていないし、コレも手元に届いたらそれで安心しちゃって、しばらくの間積んだままだったんですけどね。

メロディックな作風だけど屈強なバンドの地力を感じさせるサウンドは不変。この硬軟のバランスと、どちらの面も疎かにされていない点はHEAVEN SHALL BURNの強みですね。このバンドの演奏を聴いていると、見せかけだけマッチョなわけじゃない、実戦によって鍛えられたアスリートの筋肉が思い浮かぶんですよね。つよい。そして、しなやか。そんな音。

そういうバンドの力強い面もさりながら、メロディ派のワタクシとしてはメロメロ&クッサクサなツインリードGtのフレーズに強く魅かれていますが、本作では北欧メロディック・デスメタル色を思わせる色合いがさらに強まっているように感じます。メタルコア成分を感じるのはMarcus BischoffのVoだけなんじゃないのか?っていうと大袈裟&言い過ぎでしょうけど、勢いでそう口走っちゃいそうなほど、本作はメロデスしてる。実際には②Bring The War Homeのヴァースの跳ねるようなリズムとか、⑤Downshifterの曲調とか、しっかりメタルコアしてるんですけどね。
ただ、にしても、や他の曲にしても、サビ裏のフレーズがものすご~くメロディックだったり、曲展開にドラマ性がたっぷりあって、その点が私の嗜好にピッタリ合います。だから聴ける。

2本のギターのコンビネーションの多彩さは折り紙付き。今回も冴え渡っています。Gtワークはリフ主導で、ソロらしいソロが無いバンドですけど、今作ではソロの分量も多くなってるかな??
…と思っただけで、やっぱり間奏はソロというよりリックの延長という感じかな。そんなに長々と弾きまくってるわけではないし。悲哀が吹き出すような⑫A River Of Crimsonの間奏は曲のハイライトになっていますし、メロデスの流儀に則った⑩Corium③Passage Of The Craneも堪らん。

多分にメロディックな音楽性を志向しているバンドですが、それでいて軟弱さを感じさせないのはMarcusのVoのおかげでしょうね。安易にクリーンVoを使わない姿勢を貫き、徹底的にシャウト/グロゥルで押してゆくスタイル。やや狭い範囲内ではあれど、そのスタイルの中で表現豊かに歌って(吼えて)います。あと、なにより声が良いですね。聴き手の注意をこちらへと向かせる芯の強さや華やかさがある声だと思います。


このバンド、アルバムの中にカヴァー曲をよく収録しているようなんですが、本作でもSODOM⑦Agent OrangeMY DYING BRIDE⑬The Cry Of Mankindという2曲を収録しています。どちらもカッコイイ仕上がりになっており、他の曲と同じ流れの中で違和感なく聴くことができます。特にはアルバムのクロージング・ナンバーという役割をきちっと果たしている良カヴァーではないかと。
また、私が購入した2枚組仕様だと、今までにカヴァーした楽曲を「TOO GOOD TO STEAL FROM」というタイトルのディスク2としてまとめてあります。
曲目と元アーティスト(括弧内)は以下の通り。

 01.Whatever That Hurts (TIAMAT)
 02.Valhalla (BLIND GUARDIAN)
 03.Black Tears (EDGE OF SANITY)
 04.European Super State (KILLING JOKE)
 05.Strassenkampf (DIE SKEPTIKER)
 06.Nowhere (THERAPY?)
 07.True Belief (PARADISE LOST)
 08.Not My God (HATE SQUAD)
 09.Destroy Fascism (ENDSTAND)
 10.Dislocation (DISEMBODIED)
 11.Auge Um Auge (DRITTE WAHL)
 12.Downfall Of Christ (MERAUDER)
 13.River Runs Red (LIFE OF AGONY)


メロパワからハードコア、ディスコ・チューンまで。90年代の楽曲がほとんどで、彼らの雑食性を表すようなバンド群ですね。名前すら聞いたことないバンドもありますし。楽曲をセンスよく自分達のモノとしており、こちらも単なるオマケ以上に楽しめます。


正直言って楽曲の幅はそんなに広くないバンドですけど、メロディの強力さとドラマティックさ、あとはなんとなく伝わってくる頼もしさに釣られて好評価せざるを得ない。
傑作。

【お気に入り】
⑫A River Of Crimson
②Bring The War Home
⑩Corium
③Passage Of The Crane
⑤Downshifter
④They Shall Not Pass


前作の時から感じていたことですけど、アートワークに現れているこのバンドの美的センスはとても好みですね。本作のジャケにしてもブックレットにしても、美しい自然の写真を載せて、そこに短い詩を散りばめているところが、亡きSENTENCEDを彷彿とさせます。音楽性は全然違いますけどね。


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