TEARS OF TRAGEDY「STATICE」


TEARS OF TRAGEDY「STATICE」 (2016)

日本一クサい、そして世界でも第2位のクサさを誇る名を持つ、国産女性VoすぴめろバンドTEARS OF TRAGEDY。奇しくもヴォーカル・HARUKA嬢の誕生日にリリースされた3rdアルバムです。レーベルを移籍しましたそ。

ジャケにはお馴染みの少女=人呼んで(というか勝手に名付けて)“アンフィリアちゃん”があしらわれ、これまた美しい仕上がりを見せておりますOF TRAGEDY。三代目。
2013年にリリースされた2nd「Continuation of the Dream」のアートワークを手掛けた方が再び担当していることもあり、共通したムードや連続性を感じますね。

ジャケの雰囲気もそうですけど、歌詞に溶かし込まれたテーマや言葉、音楽性に至るまで、ティアーズのことを考えると無意識にでしょうか、「連続性」という軸を以って捉えていることが多いです。前作は「夢の続き」。今作はSTATICE=スターチスの花言葉である「変わらぬ心」「途絶えぬ記憶」。いずれも時間の流れを念頭に置いたテーマでありタイトルですし。
アーティストの中にはアルバム毎に作風が大きく変わる人達がいます。その変化は内的要因(メンバーの意向等)によるものだったり外的要因(大人の事情系)によるものだったり、はたまたその両方(時代性の反映とか)だったりするんでしょうけど、Aとそれに続くBとの間に大きな差異があればそこには連続性を感じないわけです。逆にAとBが全く同じならばそれは連続ではなく同一だろう、と。
あ、哲学の概念で連続性と同一性というのがあるみたいですが、別にそういうことを言いたいわけじゃないんです。言えないし。

変わらないところと、前とは違うところ。
二つの配分が件の連続性を生み出しますが、ティアーズにとって変わらないところというのは、何を置いてもHARUKA嬢の歌声に宿る魅力と個性であると思います。インタビューでTORU(Gt)が「彼女以外には、ウチらの曲は歌えないと思う」と言っているように、ティアーズをティアーズたらしめているもので最も大きいのは、彼女のVo。
また、音楽性については、海外メロスピへの憧憬が強く出た1stはまた感触が違うんですけど、2ndとこの3rdの間には似たものを感じます。

では「STATICE」「Continuation of the Dream」の双子の姉妹のようなアルバムなのか?
いや、似てはいるけど、私の中では、双子というよりはやっぱり「続き」という感覚なんですよね。ライブでの披露のタイミングを考えると、本作の中でも割と早い時期に完成していたと思しき⑪Pastel Colorの歌詞にもこうあります。
「夢の続きも越えてゆこう」「夢の続きのその先へも」

「Continuation of the Dream」の先にある「STATICE」

「進化」という言葉が相応しいかどうかは分かりませんし、前作との音楽的な違いを述べるのに、私は何故ここまで回りくどい文章を連ねているのかはもっと分かりませんが(苦笑)、やはり2作は同じ流れの中にあると捉えつつも、少し異なる感じ方をする部分があります。

TORUが在籍するもう一つのバンド、THOUSAND EYES「ENDLESS NIGHTMARE」(2015)と同様、STUDIO PRISONERのHiro氏がエンジニアを務めています。クレジットを見る限り、ミックスやマスタリングのみならず、プロデュースの深いところまで関わっているようです。というか、新しいレーベル・OYSTER BROTHERS RECORDSがコレ、Hiro氏のレーベルっぽいですよね。その第一弾作品がこのティアーズの3rdで、2月に出るSERENITY IN MURDERの新譜が第二弾っぽい…。
まぁそんなわけで本作、STUDIO PRISONERで仕上げられただけあって、理想的な音作りになっています。Drサウンドに定評のある(と思っている)スタジオだけに、特にHIDEYUKIのプレイに関してはティアーズ史上最高!って感じに仕上がっていますね。YOHEIのBaも締まってる。
そんな音響面での違いが一点。

もう一点はHARUKA嬢のパフォーマンス。
先ほど、変わらないものの代表として彼女のVoのことを挙げましたが、その強みや個性はそのままに、本作でさらに表現の幅を広げてきたことが分かります。一口に言うと生々しくなった。得意とする高音域でのパフォーマンス(彼女の場合、それはハイトーンと表現するものとはちと感触が違うんだけど)の凄みは勿論、低音域での歌唱や息遣いまで、曲の登場人物の感情を代弁するかのような説得力を増したVoを聴くことができます。赤い彗星ばりに「さらにできるようになったな、はるたそッ!」とシャウトせざるを得ません。
1曲の中でも色んな表情を自由自在に行き来できているわけで、アコースティック・ライブでの彼女の歌唱を聴いている身としては、その良さがティアーズの音源にもようやっと収められたんだな、という思いが強かったりします。低音での色気や気怠さ、諦念の表現にはもうTake off the hatするしかない。※脱帽
まだまだ譜割りやア行の発音での違和感等、気になるところはありますけどね。

前作の私の評価は、
( ゚∀゚)o彡゚ HAYATO!HAYATO!
( ゚∀゚)o彡゚ HARUKA!HARUKA!

だったわけですけど、
それがさらに本作でも推し進められているとは思いませんでした。

HAYATO(Key)の曲提供は3曲に留まっていますが、その分演奏面での活躍っぷりはもんの凄いことになっており、ライブでどのくらい同期音源に頼るか分かりませんが、新譜の曲は相当忙しいと思いますよ。ステージ上で弱音を吐いている彼の様子がアリアリと思い浮かんだりして…ww
また、HARUKA嬢がどれほど生々しいVoパフォーマンスをしようとも、最終的にはハヤトインティライミ氏のKeyが楽曲全体を包み込むから、ティアーズの持ち味であるどこか並行世界を感じる(感じてるのはオイラだけかもしれんけど)ファンタジックな雰囲気はいささかも失われないし、聴き手にそれほど大きな違和感を感じさせずに、切迫感や緊張感、親密さを伝えられるんだと思いますね。

本作を聴く前は、もっと一気にポップな路線に進んでくると予想していました。
しかし、実際に出てきた音はそれほど前作のイメージと変わらず。それでも典型的なメロスピというよりは、「J-POPをティアーズの流儀で以って加速させた」という感じの音像になっており、HR/HM度はもしかしたら後退しているかもしれません。ただ音質の良さのおかげか、ザクザクしたGtやリズム隊の貢献がきちんと伝わってくるので、メタリックさを感じるっちゃあ感じる。
硬質でメタリックな音像(Gtとリズム隊由来)と、柔らかで煌びやかな表現(VoとKey由来)の同居がさらに高次元で実現されています。先述の音質の良さのおかげもありますが、音のレイヤーが美しい。

しかし、アルバムの大半の曲を纏め上げ、メンバーを纏め上げ、プロデュースに至るまで作品のほぼ全ての工程に携わったであろうTORUは、ほんと踏ん張りましたね。しかも千眼での活動と並行しながらですからね。マイペースなバンドなだけに、正直言って2016年中に新作が届けられるとは思ってもいませんでした。しかもこんな力作が。彼のGtプレイの自由自在っぷりに関しては言わずもがな。


…と、ここまではオマエ褒め過ぎじゃないか!?って記事になっており、じゃあこの3rdが一番好きなのかというと、実はそんなこともなかったりします。
私は前作の方が好きだ。

1曲1曲をピックアップして聴くと、個性といいメロディの冴えといいメンバーのパフォーマンスといい、高品質で申し分ありません。もうちょっと音を整理してほしい気もするけど、私の好みにも合っている。しかしアルバム全体の構成を考えると、速めのテンポの曲が多く、最初から順番に聴いてくとどうも起伏に乏しくて、前作より平坦に感じてしまうんですよね。どの曲も1曲丸ごとアタマからケツまでファストってわけじゃないんだけど、連続して聴くとその個性やありがたみが希釈されて薄まるというかね。
そうなってくると、ティアーズの場合、聴いていて気持ち良いんだけど、その気持ち良いと感じる感じ方の演出方法がどの曲も似ているというか、要はアレンジの引き出しの少なさを露呈してしまった感があるように思うのよね。ポップだったりメタリックだったり、感触や明暗の違いでちょいちょい色合いは変えてはきているんだけど、それでもね。
比較的ファストな曲が続き、終盤にクラシカルな大作とバラードが固まるというこの曲順はなんとかならなかったのかな? 2つのバラードの配置も近すぎて、各々のキャラがぼやけちゃうし。そう考えると、前作のアルバム中盤、It Like Snow...Spring Memoryの配置と役割は大きかったのだと痛感します。
その点がとても残念。

あと、ツッコんでおかなきゃイカンような気がするのは、やはり⑨Curse Brideですね。
HAYATO作のこの大作曲、クラシカルなフレーズのぶっ込み具合、デスVoとソプラノVoのゲスト参加(THOUSAND EYESのDOUGENとElupiAのNene)に物語を感じさせる構成と、どう考えても前作のPrison Of Abyssと比較される運命にある、二番煎じと言われてもしょうがない曲です。実際にインタビューで“二匹目のドジョウ”だと詳らかにしちゃってるのが彼(HAYATO)らしいですが(笑)。
Prison Of Abyssは前作で私が一番好きだった曲で(というかティアーズで一番好きだ)、その年の年間ベスト記事でも選びましたが、哀しいかな二番煎じは本家を超えることはできません。は展開がとっちらかっていますし、DOUGENの使い方にあまり必然性を感じませんし、クライマックスの演出方法も一緒。ただ、そのクライマックスにまんまとヤラれちゃう点も、これまた一緒なんですけどね(笑)。登場人物を演じるVoの表現力は増しているし、Neneの本格的ソプラノの響きはやはり強力です。

因みに、曲の仮タイトルに戦国武将や時代小説をモチーフにしたものを付けるHAYATO先生ですが、TwitterでのHARUKA助手のバラしによると、今回は以下の通りです。
・always → 『家康DX』
・Curse Bride → 『第四時川中島の血戦』
・雫 → 『Rikyu~茶の湯に魅せられて~』

※呪いの花嫁の「第四時」ってぜってー「第四次」の間違いじゃないのかと思うんだけどww


聴いていて胸を締め付けられるのは、何もネガティヴな感情ばかりではないことを、ティアーズは気づかせてくれます。また、このバンドの立ち位置の面白さと希少種としての尊さを再確認し、それと同時に、やっぱり自分はある程度のバラエティの豊かさや多彩なアレンジ、楽器間の押し引きや立体的なアンサンブルを求めているんだなぁ…、と。
私は比較的メタリックな色が濃いめな②Void Act⑥Blue Lotus⑧Accept Yourselfあたりを特に気に入っていますが、このバンドのファンで、私のようにアルバムを曲順通りに聴くことが常であるリスナーじゃなければ、他にも佳曲良曲がザックザク見つかるでしょうし、紛うことなき傑作との評価を下すんじゃないかと思います。
いや、文句や注文を垂れ流しつつも、私自身、傑作だと思っていますけど。

【お気に入り】
⑧Accept Yourself
②Void Act MVは→コチラ。 Void Actressさんがクネクネしまくっててマジたまんねーんですけど(笑) すき。
⑥Blue Lotus
⑪Pastel Color ねぇ?の破壊力に戦慄せよ。
④always
⑤Statice
③Be Inconsistent
あと、⑨Curse Brideの終盤。


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