METALLICA「HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT」


METALLICA「HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT」 (2016)

METALLICAの新譜が出るってのは大事件なんだなぁ。
自分にとってはまた1枚買うべき新譜が出るっていうくらいで、ことさら大きな気持ちの盛り上がりはなかったんですけど、SNSにおける話題沸騰っぷりを見るにつけて、改めてそんな風に感じました。2012年に「BEYOND MAGNETIC」という未発表曲集がありましたが、前作「DEATH MAGNETIC」のリリースが2008年ですからね。まだまだ日本でのTwitterのサービスが始まったばかりの頃かな??

METALLICAは大好きなバンドではありますが、「ことさら大きな気持ちの盛り上がりはなかった」というのは、思い入れに塗りたくられた過去作を(自分の中で)超えてくるか懐疑的だったからだし、2枚組というヴォリュームがその思いに拍車を掛けていたからです。「DEATH MAGNETIC」はとても良い作品だったと思っていますけど、大作志向が強かったですから、それをCD2枚分の尺を以って繰り広げるのかよ!?冗談だろ?ってなりましたし。

結果、2枚合わせて77分半と、CD1枚に収まるギリギリのランニング・タイムになりましたが、2枚に分けたのは正解でしょうね。曲数を絞って1枚に凝縮した方がもっと良かったけど(笑)
正直、Disc2がやや弱いと思います。デスマグほどの大作主義ではないですけど6分台はざらですし、それより長い曲も3つある。この曲、こんなに尺無くてもいいんじゃね?、みたいに感じるところはあります。順番に聴いてるとDisc2でダレるし、じゃあ逆にDisc2から先に聴けばいいのかっていったらそうでもない。やっぱり「2」は弱いかなぁ。②ManUNkindのGtソロ前後の歌メロなんてフックになっているし、ラストを飾るちょっぱやスラッシュ・チューン⑥Spit Out The Boneはサイコーですけど。まぁ作品全体のまとまりを重視したっていうよりも、今あるアイデアを全部ぶっ込んでみたって感覚の方が強い作風ではあります。
「Disc1+Spit Out The Bone」って構成が個人的には良かったりか。


曲数や構成のことを抜きにすると、これが正にMETALLICAらしさ爆発の作風で嬉しくなってしまうってのも事実なんですよね。「メタリカらしい」というよりも、もしかしたらJamesとLarsらしいと言った方が良いかもしれません。あぁこの曲展開こそがメタリカだよなぁって思う場面が多いし、JamesとLarsならこういうアイデアを出してきそうだよなと納得する瞬間も多々。Lars Ulrichの特徴的なDr(ノリ、タイム感、フレーズ…)や、今にも空耳が発生しそうなJames Hetfieldの歌い回し(笑)がしっかりと収まってる。
正に膝を打つ感じ。

勢いはあるけど、あんまり初期っぽさは感じませんね。単語を矢継ぎ早に繰り出して忙しなさを演出する場面が多いので疾っているように感じはしますが、実際あまりスピードで押す曲は無いので、そのせいかもしれません。先述のDisc2は例外的な楽曲でしょう。全体的にはデスマグからの延長線上で、展開をややすっきりさせたような楽曲が並ぶ感じかなぁ。ブラックアルバムから「LOAD」「RELOAD」に至るグルーヴ感も大いにあり。
敢えてデスマグより初期に近い要素を挙げるとしたら、生々しい&荒々しい音作りがそれでしょうか。本作の音はとても好きですね。プロデュース/ミックスはGreg Fidelman。Lou Reedとのコラボ作である「LULU」(2011)やデスマグのミックス/録音、APOCALYPTICASLAYER、レッチリを手掛けた人ですね。オーガニックと評される類いの音作りだと思います。どの楽器も、ヴォーカルも目の前でライブ演奏されているかのような録音。Larsがすんげー頑張ってる様子が伝わってくる!w


1枚目はほとんど隙無しじゃないかしら。
ひねくれたリフをコンパクトにまとめた①Hardwiredは今のMETALLICAとしては理想的なオープニングだし、続く②Atlas, Rise!思わずバケツリレーしそうな(つまりBlackenedを想起させる)聴き応えのある佳曲。間奏の展開美は鳥肌モノ!

Jamesの“歌”が好きな自分からしたら、「メタリカらしい演奏が収められたアルバムだってのは分かった。じゃあメロディアスな歌メロはあるのか?」と思いながら聴いていましたが、③Now That We're Deadはそのタイプかな。ただ、メロディアスかつグルーヴィではあれどメランコリーな感じではないのよね、この曲に限らずアルバム全体。90年代の彼らの作品にあった叙情的なバラード、またはそれに近い系統の曲が無いことが残念な点だったりします。

“らしい”曲と言えば、④Moth Into Flameは思いっきりそうですね。なぜか思わず笑っちゃいそうになる歌い回しはこれぞJames。本作の歌詞の言葉選びは実にキャッチーですよね。この「今にも空耳が発生しそうな歌い回し」、ネイティブの人にどういう風に聞こえてるんだろ?って昔から思ってるんですよね。(例えば)方言みたいに聞こえないのかしら?

間奏のGtハモリが印象に残るグルーヴィ・ヘヴィ・ロック路線の⑤Dream No Moreを経て、1枚目の締めは最長曲の⑥Halo On Fire。静寂とキメをダイナミックに行き来しつつ、緊張感を練り上げてゆき、爆発する終盤で昇華させる展開はこのバンドの得意パターンのはず。エンドGt・セクションのリード・プレイがもっと丁寧だと良いのだけれど…。
あ、この曲にはメランコリーな感じがちょっとあるかな?


感動するまではいかないけど、なかなか面白い作品に仕上がってるし、守りに入ってる感じやロートル感は皆無。若々しいですね。子供っぽいと感じるところすらある(笑)。「メタリカ」というブランドに依っている音だけど、同時にチャレンジ精神に溢れてると思います。あと、James流語尾が炸裂しまくっているのも最高。「…ッツァ!」「…ンナァ!」
キメ曲があるかないかでいったら、前作に分がある気はします。けど本作の方がワクワクする。特にDisc1は◎。

【お気に入り】
Disc1②Atlas, Rise!
Disc2⑥Spit Out The Bone
Disc1⑥Halo On Fire
Disc1④Moth Into Flame
Disc1①Hardwired


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