BON JOVI「THIS HOUSE IS NOT FOR SALE」


BON JOVI「THIS HOUSE IS NOT FOR SALE」 (2016)

BON JOVIの13枚目のスタジオ作。
マーキュリーとの契約満了の為の“消化作”である「BURNING BRIDGES」(2015)は、未発表曲集という位置付けからか、オリジナル作とは数えないようですね。

「ファン・アルバム」という謎のキーワードを以って押し出された駄作、「燃える橋」とは比べものにならないくらい良いアルバムだと思います。まぁ前作は彼らのカタログの中でも最弱といってもよい出来だったと思いますから、当然と言えば当然でもありますし、安心したと言えばその通りでもあります。
Richie Sambora(Gt)がいなくなり(脱退というよりも、ただ「いなくなった」という方が近いようなニュアンス/苦笑)、制作上のイニシアチブは完全にJon Bon Jovi(と共作ライター)に移行しているわけですけど、それでもJonのソロ・アルバムのようだった「BURNING BRIDGES」に比べると大いにバンドらしい作品ですね。
「ソロ」じゃなくて「バンド」。

今のBON JOVIの楽曲は、音楽性の変化ゆえか、Jonの喉の調子(というか劣化)に合わせてか、強力なテーマ・メロディ一発で牽引してゆくわけじゃなくて、細かい譜割りの歌メロを重ねて重ねて構築してゆくタイプが多いように捉えています。ボクシング的に言うと、強烈なストレートではなくて、細かいジャブの応酬という感じ。そこに時折フックを織り交ぜるというか(ナンノコッチャ)。Jonの声それ自体の魅力で引っ張っていってる曲も多い。大雑把に捉えると「CRUSH」(2000)から後はそんな感じだし、「LOST HIGHWAY」(2007)以降はその傾向が加速しているんじゃないかと感じます。
この作曲法だと、メロディが間延びしやすいバラードでは特に、一瞬にして引き込まれるようなキラー・チューンが生まれてきにくい気はします。穏やかでピースフルなタイプのものは量産できているけど、狂おしいまでの熱唱型叙情タイプは望むべくもないというか。

というか、そういう熱唱型叙情バラードが生まれてくるような暗い路線ではないんですね、今のこのバンドは。
ということで、本作でもそんな近年の「俺たちがアメリカの良心!」的ポジティヴ路線は堅治してます。ハードロックというよりハードポップ。または広義のロック。
本作の発売時期がちょうどエポック・メイキングな出来事と重なるタイミングでしたが、Jonは今回の大統領選挙の結果とこのアルバムに込めた(であろう)メッセージについてどう考えているんだろうか…?

まぁそれはともかく、BON JOVIらしい、そしてJonらしい、さすがの出来栄えではないでしょうか。
快活な①This House Is Not For Sale,⑤Born Again Tomorrow,⑦New Year's Day、Gtの細かい刻みがキャッチーな②Living With The Ghost、今のバンドの路線を象徴するような“ジャブの応酬”的楽曲③Knockout、タイトルから想像される曲調とは異なりメロウでポップな⑥Roller Coaster等々佳曲はありますし、全体的にはとても良いアルバムだと思います。絶賛とまではいかないけど。
贅沢を言えばこれぞ!って曲が無いよなー、とも感じたり。

【お気に入り】
③Knockout
⑤Born Again Tomorrow
⑥Roller Coaster
①This House Is Not For Sale
⑦New Year's Day
②Living With The Ghost


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COMMENT 4

グラハムボネ太郎  2016, 12. 11 [Sun] 07:13

一撃必殺

そういう曲はないですね(笑)
おっしゃる通り、ジャブの応酬にたまにフックです。うまい例えです!
でも、それさえも出来ないバンドが多い中で、この出来栄えはさすがボン ジョヴィだと思います。
車で聴いてます

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DD  2016, 12. 11 [Sun] 12:28

 どちらがいいかで比べて外したアルバムであまり言うことはないですが、どうふんでも前のを聞いたほうが健全、ということになりますね。(両方のシングル曲聞いても)

 いくら聞いても、曲のクオリティが下がってるし、Richieいない今となっては、「Jon's project with the band」という感じがしてならないのですが。(何かというと、後世に与えるインパクト弱し、もしこれを前面に出したsetを組もうものなら、客の大半去るでしょう、彼らのききたいのは優れた過去のhit listであって、いまではないはず)。

 これでliveアルバム出すんですか、もし全盛期知ってる人ならこういうでしょう、「できるだけ削ってminiアルバムにすべき」と。

 こんな感じです。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 12. 13 [Tue] 21:27

グラハムボネ太郎さん、

(例えについて)お褒めいただき、ありがとうございますm(__)m

あまり構えずに聴くことの出来る良質な作品だと思いますが、名曲の不在に少々寂しさを覚える感じです。BON JOVIなだけにハードルは元々高め設定ではあるんですけどね。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 12. 13 [Tue] 21:32

DDさん、

(本国での)チャート・アクションは良いようですね。自信作なんでしょう、あまりにも短いスパンで(本作の)ライブ・アルバムを出すようですから。
日本とアメリカでは、BON JOVIという「バンド」に対する捉え方や求めるものが大きく違うのかもしれません。

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