Octaviagrace「Outward Resonance」


Octaviagrace「Outward Resonance」 (2016)

2015年のバンド結成から同年中にミニアルバムを2枚リリース(コチラコチラ)、そしてハイペースながら予定通りといったスケジュール感で届けられた、Octaviagraceの1stフルアルバムです。
1stミニも2ndミニもコンセプトや拘りを感じさせるジャケットでしたが、本作のジャケはそれに輪を掛けて素晴らしい。西尾維新の『化物語』シリーズでお馴染みのVOFAN氏(この人、台湾の方なんですね)による画が最高に美しいです。色調といい構図といいモチーフといい、完璧やんけ。今までのヲクタ子ちゃんの中ではキュート度合いが図抜けてますわ。別に少女趣味は無いし、本来アニメ調のジャケも好きではないが、このバンドのセンスはやはり良いなぁ。

デビュー作に収録されていた代表曲Dramatic Quietの再録を含む全11曲。
より堅固にまとまり急成長してゆく、そんな過程にあるバンドの一瞬の姿を収めた傑作だと思いますね。メンバー全員の貢献がしっかり音に詰め込まれていて、とても良いです。

実稀(Vo)とhanako(Gt)、女性メンバー2人の成長がそのままバンドの成長に直結するんじゃないかというのは以前にも書いたと思いますが、正にそれ。それぞれの実力が大幅に向上したというより、バンド・サウンドの中で彼女達の魅力をどう生かしどう押し出してゆくのか、そこらへんの塩梅が上手くなっている気はしますね。バンドの総合プロデュース能力が上がったというか。
例えば、件の⑪Dramatic Quiet(Resonance Ver.)ですが、実稀の歌唱力・安定感が増し、オリジナルVer.とは随分と印象が異なって聞こえます。ただそれでもなお感じるのは、本作収録の他の曲の方が彼女のキーに合った曲作りが為されているんじゃないかということ。彼女、不安定さが魅力にも変わり得る稀有な人で(笑)、Hardenbergiaなんてその最たる楽曲だったと思いますが、本作の多くの曲で聴くことの出来る自然な歌唱の流れと声の響きは、今までより多くの聴き手を魅了できそうな出来栄え。まだまだ譜割りに違和感を感じるところはあるけどね。②Mr. vivid painterとか。
あと、ギターの音が変わってるな、と。レコーディングにALHAMBRAの梶原稔広(Gt)が関わっていることが影響しているんでしょうか、また「Guitar Reamp Engineer」というクレジットの人もいます。hanakoのGtプレイの美しさ・スリリングさはこのバンドの大きな武器の一つでしょうし、本作でもそれは同様ですが、良くも悪くもGtだけ目立つ場面が無くなったかな。以前よりバンドと、特にKeyと自然に馴染んでいるように思います。音作りだけじゃなくて楽曲のアレンジ面での作用も大きいのかもしれませんが。


大まかな音楽的方向性は不変であると言ってよいでしょう。デビュー・ライブの頃から存在する楽曲も収録されていますし。
技巧的で緊張感高めな楽器隊のアンサンブル、キラキラと躍動するメロディ、ファンタジックな心象風景を浮かび上がらせる歌詞と歌唱。J-POP/メタル/アニソンあたりを中心に、ある意味「何でもあり」「ごちゃ混ぜ」な要素をOctaviagraceの名の下にまとめあげる。というか、自然とまとめあがっちゃうという感覚か。
Youske(Ba)の曲が基礎となりOvtaviagraceの音楽的な重心を決める。そこにReanne(Key)曲が最大幅を設定し、実稀曲&hanako曲が彩を添える。4人のソングライターの、それぞれの役割というか特徴を大まかに挙げるとこんな感じでしょうかね。Youske曲であるドラクエを除くと、内訳はYouske・Reanne共に4曲ずつ、実稀・hanakoが1曲ずつ。Youskeの曲がなけりゃあOvtaviagraceがバンドとして成り立たないし、Reanneの曲がなけりゃあバラエティに乏しくなる。2人のブレーンは良いバランスを保っていると思います。

既にライブで聴いたことのある楽曲が多いんですけど、当時それらを聴きながら思ったことは「良い曲多いな。きっと素晴らしいアルバムになるだろう。でも、曲毎の色分けが難しいんじゃないかな?」ってことだったんですよね。味付けは様々であれ、要は「キャッチーなメロディを持つ技巧的な楽曲」という大雑把な切り口は一緒ですから。アルバム一枚を通すと平坦な印象にならないか、心配だった。
それがどうだこりゃ。得意なパターンで畳み掛ける序盤、手を変え品を変え揺さぶる中盤、スピード感をもって纏め上げる終盤と、実に良い流れが作れています。特に中盤の曲順が良いね。見事に起伏が生まれていますから。
本作最長、最もメタル度の高いキラー・チューン⑤リベリオンをド真ん中に配置し、それをシャッフル調の跳ねるリズムと目まぐるしい鍵盤ワークがお洒落な都会の景色を描き出す④Cope of midnightと、ジャジーなピアノが映えるバラード調の⑥俄雨で挟み込む。この曲順がそれぞれの個性を際立たせているのが分かるし、聴き手の注意を逸らさない。そこからシンフォ厚めの哀メロチューン⑦Naked birdでキメにかかってきたかと思いきや、民族音楽色の濃い手拍子曲⑧Spiritual danceでダメ押しの揺さぶり(歌メロが陰陽座っぽいかも)。

⑤リベリオンについてちょっと補足しておきましょうか。
シンフォニック・スピード・メタルといってよい曲調を持つ、彼らにしては珍しく凛々しさが前面に出ている曲です。これが悶絶モノのカッチョ良さ。この「凛々しさ」を支えているのは、勿論Reanneの作ったメロディがあるんですけど、実稀の歌詞の存在が大きい。おっきい。アルバム全編に渡って彼女の言葉選びのセンスは冴え渡っていますが、この曲における気品のあるそれはまた格別です。「いま刃を抜くその手を支える確かな理由を 見定める目に狂いはないか」とか「数多の涙をその胸の奥に湛えて」とか「幾千億の夜を越え 何度もめぐり逢う」だなんて、コレ男の子が歌ったら完全に厨二病の世界ですよ。サビの終わりを「運命さえも一陣の風となれ」で締めるなんて正にその極致。でもひとたび透明感のある女性Voで歌われると、どうしてここまで切なく響いてくるんだろう。この曲調で一人称を排除したのは正解でしょうね。
また、先述したように、この曲の前後をちょっと主軸を外した楽曲で挟んだことで、またこの曲のキラーっぷりを際立たせています。サビだけ強力ってパターンじゃなくて、ヴァース~ブリッジ、そして間奏まで含めて自然な流れの中にフックが息衝いているのが凄ぇんだよなぁ。
ただ、この曲のやや直線的なDrは、Ko-ichiの良さを引き出しているとは言い難いかな。彼のプレイは、のような複雑でシャープな叩き分けを要求する曲でこそより映えると思います。


今までの2枚でバンドの核となりそうな曲はいくつか生まれてきていますが、作品単体で考えると、本作の充実っぷりはレベルが一段上がったように思えます。末永く楽しめそうな一枚。素晴らしい。

③white graffitiのMV → コチラ。
考えてみりゃあ、アルバムの中でも一番J-POP寄りの楽曲をMVにしたんですな。こんなにBaがブインブインいってるJ-POPもあんまりないかもしれないけど。ラスト・シーンのコルサント感なw

【お気に入り】
⑤リベリオン
⑦Naked bird
④Cope of midnight
⑩Emerging oath マジンゴー! 何か永井豪的匂いするよね(それはマジンガー)
⑥俄雨
⑨starlit ending


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