INSOMNIUM「WINTER'S GATE」


INSOMNIUM「WINTER'S GATE」 (2016)

フィンランドのメロディック・デスメタル・バンドの7thアルバム。
切り絵のようなアートワークがシンプルながら美しいですね。

前作「SHADOWS OF THE DYING SUN」(2014)は過去最高にメロディックな傑作でしたが、次の一手としてリリースされた本作は、なんと①Winter's Gateという40分の曲が1曲だけ収録されているというビックリ・アルバムでした。INSOMNIUMがそういう大作主義、というかプログレッシヴ・ロックのような手法を取ってくるバンドだとは思いもしませんでしたねー。

Niilo Sevanen(Ba&Vo)が書いた小説を基にした本作、Wikipediaでの記述を見ると全7部構成になっているようですが、ブックレットの歌詞を見るとこちらは6部構成。というかダウンロード用に7つに分けて配信してるってだけですかね。整理すると下記のようになっている気がします。仮に間違っていたとしても、ウチのブログ的にはこう理解するものとする(笑)。どうせ聴き始めたら40分間一気に聴くんだし。

 1 : Slaughter Moon
 2 : The Golden Wolf
 3 :    〃
 4 : At the Gates of Winter
 5 : The Gate Opens
 6 :    〃
 7 : The Final Stand ~ Into the Sleep



こいつぁ、ものすごい作品を作ってきたな、という感想ですね。

有史以来!
こんなに短い四十分があったかッ!?

(反語)(大袈裟)

メロディック・デスメタルを下敷きにしたサウンドであることは勿論ですが、ドゥームやブラック・メタルの領域への拡大がみられ、また、テーマとも密接に関わっているヴァイキング・メタルの風味も濃いです。ずっと疾走しているわけにもいかないでしょうし、メロデス要素だけで40分を聴かせるのも平坦になってしまうでしょうから、注入される音楽的要素が(以前より)幅広くなるのは自然だと思いますが、それら様々な要素が自然な楽曲展開の中に同居し、違和感をまるで感じさせないところが素晴らしいですね。ブラックメタル風トレモロ・リフに、民族音楽的旋律に、クリーンVoに、スポークン・ワード…etc…。アコースティック楽器の導入の仕方も実に巧みです。
そう、色んな要素を導入している割には、とっ散らかることなく、“徹頭徹尾・北欧”という方向性でビシッと芯が通っているんですよね。アレンジ能力に秀でているから可能なことなんでしょう。1曲丸々、悲哀に満ちたムードに覆われている点も最高にMy好みです。

満ち引きを繰り返しつつ、徐々に悲哀の度合いを増し、泣きのメロディック・ドゥームへと変化。そしてメロブラちっくにクッサクサな疾走を聴かせ、最後はピアノとウィスパーで厳かに締めくくられる。。。。。
…風の音、、、、



大作志向であるこの手のバンドとしてMOONSORROWがありますけど、彼らがただひたすらに自然風景を描写するような音であるのに対して、このアルバムの場合、情景描写を感じさせる場面は勿論あちこちにあるんですけど、同時に物語を感じさせる音なんですよね。まぁMOONSORROWはもっとフォークメタル寄りですから一概に比較はできないのかもしれませんし、本作にしても実際下敷きにした小説=物語があるわけなので、当たり前ッちゃあ当たり前なんですけど。
要は何が言いたいかと言うと、そのストーリーの内容が分からずとも、①Winter's Gateを聴いてると「景色」だけじゃなくて、「人」が見えるってことなんだよね。自然の猛威に翻弄される「人」の姿が、その希望と怒りと慟哭と諦念が、ありありと思い浮かぶ。このヴィジュアル喚起性こそが本作の最も凄いところかもしれません。メロディやアレンジだけでなく、歌詞の言葉選びとリズム、つまり「“詩”であること」がもたらす効果は大きいんだなぁと痛感させられます。
う~~~む、日本語訳のある国内盤を買うべきだったか…?


メロディック・デスメタル・バンドの大作というと、思い浮かぶのはEDGE OF SANITY「CROMSON」(1996)で、これもタイトル・トラック1曲だけ収録というアルバムです。その元EoSのDan Swanoが本作のミックスとマスタリングを手掛けているのは偶然ではないでしょうね。
Danによる粒子荒めの音の仕上げや、キレよりも量感を感じるタイプのデスVoも、この物語を語る上ではプラスに働いているような気がします。個人的にはもっと歌詞が聴き取り易いデスVoがいいですけど。


個人的には最高作。
完敗です。


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