SABATON「THE LAST STAND」


SABATON「THE LAST STAND」 (2016)

LOUD PARK 15への出演とそこでの熱いパフォーマンスを以って、前作「HEROES」(2014)発売時と比べて我が国での注目度が何倍もアップしているであろう、スウェーデンのパワーメタル・バンド、8枚目のスタジオ・アルバム。

海外、特に欧州では、フェスのヘッドライナーを務めたり、自身主宰のフェスを開催する等、既に押しも押されぬ人気バンドであるSABATON映像作品「HEROES ON TOUR」の感想でも書きましたが、このバンド、ライブの強力さもさることながら、一緒に歌えるメロディがあって、曲が分かり易いってのが大きな武器ですね。そして重要なのは、そういう曲を量産できること。要は作曲能力に秀でているってことですけど、メイン・ソングライターであるJoakim Broden(Vo)がミリタリーパンツ履いてパソコンの前に座ってる図がどうも想像できないんですよね(笑)

音楽的方向性は変わっていません。世界各地の戦争や歴史に題をとった歌詞もいつも通り。

ウッ!ハー!ウッ!ハー!①Spartaの冒頭から笑っちゃうほどの既視感。いや、既聴感。耳デジャヴ。具体的にどの曲に似ているということじゃなくて、バンドが発する雰囲気が全く変わっていません。漢臭くて豪快で、でも同時に装飾部分は丁寧に作られていたりして、キャッチーで親しみやすさ全開のパワーメタル。安心印。「スパルタァ!」の言い切り口調も眩しい。

サビでKeyのオケがヒットするというお得意のパターンが炸裂する②Last Dying Breath、分厚いコーラスがサビメロを後押しする⑤The Lost Battalionと、主軸であるミドルテンポの曲でのメロディの際立たせ方がほんと上手いですね。最終曲である⑪The Last Battleなんてマジ堪らん…。
因みにのイントロとして機能する④Diary Of An Unknown Soldierは1分弱の語りなんですが、渋い声でそのナレーションを担当しているのがなんと!…というか何故か、ICED EARTHのJon Schaffer(Gt&Vo)だったりします。
ストームライダー!
ストームライダー!


民族音楽的旋律の導入で、明るく勇壮なムードを出すのも得意技よね。本作で言うと③Blood Of Bannockburn⑦The Last Stand⑩Winged Hussarsあたりの曲。

日本人としてスルー出来ないのが⑨Shiroyamaです。アルバム発売前から話題になってた、西南戦争の城山の戦いをモチーフにした曲ですね。
欧米のバンドによる日本を題材にした曲って、期待できないことが多いんですよね。日本への気持ちの強さゆえでしょうか、ヘンな解釈だったり無理矢理和風のメロディ導入したりと…。なのでこの曲に関しても、正直期待はしていませんでした。
でもね、これはいい。
良かった。
テーマとして「日本」を取り上げつつも、あくまでSABATON流のHMから逸脱していなくて、サビに「samurai」って歌詞が無かったら、それとは分からないくらいいつも通りの路線。題材のみ日本の歴史からとったところが、功を奏していますね。
こういう、日本をテーマにした曲がアルバムに入ると、なんだか嬉しくて勘違いしがちなんですけど、バンドにとって別に日本が特別ってわけではないですよね。他の曲で取り上げてる題材を見れば分かるし。嬉しいのはそういうとこじゃなくて、この曲のメロディの殺傷能力が本作随一じゃないかってくらい強力だから。シロヤマすげぇいいよ、シロヤマ♡


バンドの美点を保ったまま、コンパクトにまとめた力作です。楽曲の平均点は前作以上と言えそう。
個人的には、Soldier Of 3 ArmiesNight Witchesという2曲が強力だったので、前作の方がちょい高い評価ですけど。

【お気に入り】
⑨Shiroyama
⑪The Last Battle
⑥Rorke's Drift ファスト!
⑧Hill 3234 硬派でファスト!Gtソロがすげぇ良いのよ。
②Last Dying Breath


本作発表後、オーセンティックなプレイを得意とするThobbe Englund(Gt)が脱退し、後任としてREIN XEEDGOLDEN RESURRECTIONのTommy Johanssonが加入することが発表されました。
これにはちょっと驚かされましたね。Tommyはどちらかというと、Thobbeよりはもう1人のギタリスト・Chris Rorlandに近いタイプと言えそうで、バンドはよりメカニカルでテクニカルな現代的なギター・チームを手に入れたと言えそう。そのことがストレートに作品に反映されるかどうかは分からないですけどね。


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COMMENT 4

DD  2016, 10. 08 [Sat] 17:20

SABATONの良さは出てますが、いくつか疑問に感じた点があるので、気になる点2,3点ほど。

 ⓵ アルバムのテーマが19~20世紀の曲が半分近く書かれてる点。逆に10~13世紀にも代表的な戦いがあるのに、それが少ない。世界史をとった身として、なぜ?と思いました。

 ⓶ 長めの曲があってもよかったのでは?・・
 戦争をテーマにするなら、5分以上の曲が2,3あった方が、聞きごたえが増したかな、と感じるのも。(ゲストの人材で使ったI.EARTHなんか、4分ぐらいと、大作がきちんと書かれてるし、バランスも絶妙。本作はたまたまそうなっただけかも)

 以上の点を除けば結構いい作品なので、聞きあきないのも本作は傑作まではいかかなくても名作には入るでしょうね。

 お気に入り・・1,5,9,10

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背毛  2016, 10. 08 [Sat] 22:36

傑作よりも名作のほうが上じゃね?

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 10. 14 [Fri] 23:35

DDさん、

本作はコンパクトですよね。私自身の好みから言っても、大作があった方が嬉しかったですし、評価はもっと上がったと思います。まぁ、それに伴うソングライティング/アレンジ能力が求められるわけですけど。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 10. 14 [Fri] 23:37

背毛さん、

年月による風化に耐え、歴史的評価を得たものが「名作」という感覚でしょうかね。

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