ETERNITY'S END「THE FIRE WITHIN」


ETERNITY'S END「THE FIRE WITHIN」 (2016)

OBSCURAALKALOIDSPAWN OF POSSESSEIONといった、テクニカル/プログレッシヴ・デスメタル界隈のバンドを経てきた演奏陣と、ベテラン英国人ヴォーカリストのIan Parryが合流したバンド、ETERNITY'S ENDのデビュー作。

このバンド結成のニュースを聞いた時、こりゃ凄いのがキタな、と思いましたね。
界隈随一のテクニカル・ギタリストであるChristian Muenznerと、超絶シンガーIan Parryの合体なんて…、むをおおおおお!!

Ian Parryって、私の個人的なイメージでは、「実力は最高峰なのに作品に恵まれていないヴォーカリスト」なんですよね。勿論これは、私が聴いてきた範囲内での判断ですし、イアン目線で追っかけて聴いてきたわけでもないので、彼の歌った全音源なんて到底網羅はしていません。一番有名なのはELEGYでのキャリアでしょうけど、あそこでも曲によって当たり外れが大きいしなぁ。自分自身で良曲を次々と生み出すことのできる、メロディ・メイカーでもないような気もしますし。

でもね、ここで遂にIanは桃源郷に辿り着いた!
…と大袈裟に言い切ってしまいたいほど、ETERNITY'S ENDへの御大のマッチングっぷりは見事。
新境地、と言ってもよいかもしれません。

あ、このバンドの音楽性のことに触れていませんでしたね。
ネオクラシカル風味強めの、パワーメタルです。Ianオジサマの類まれな歌唱力&表現力と、演奏陣の技巧を生かしたパワーメタル。KeyのJimmy Pittsはアメリカ人ですけど、あとのテクデス系演奏陣はドイツ出身で、だからでしょうか、お国柄が出ちゃったのか、先輩バンドであるジャーマン系(と括られる)バンド特有の分かりやすく明るいムードもある。その分、ウェットな叙情は控えめかもしれません。

一般的に、ネオクラ系のHMってどこか中世への憧憬みたいなものがあるじゃないですか? それがここにはあんまり無い。もっと現代的で、無機質。冷徹でマシーナリー。そんな感じです。ここらへんの感触はテクデス由来なんでしょうかね。ヘヴィなギターがひたすら刻み倒し、派手なソロと円熟してるのにまったくもってロートル感のないアグレッシヴなVoが暴れ回る。これはものすごい快感度数の高さですよ。
とすると、近い音楽性のバンドは今のSYMPHONY Xでしょうか。ただ同時に、Keyワークがより神秘的だったり、スペーシーだったり、浮遊感があったりと、かなり目立った活躍をしており、(そのKeyと)他の楽器との組み合わせの妙によって新しい音に感じられるところが面白いですね。ところどころ厚めに重ねられたコーラスも特徴で、Ianオジサマ単独でも熱く太い声してるのに、そこにさらにプラスしてくるからこりゃあ迫力あります。

いきなりこれでもかというほどの間奏の展開美を見せつける①The Fire Within、飛翔感に満ちたスピードメタル④Eagle Divine、ピロピロ&シュレッドの嵐⑥Twilight Warrior、最も古典的なネオクラ路線に近い⑨Moonstruckあたりのインパクトがデカいです。速いの大好き。

速度に頼っていない曲の中では、⑧The Dark Towerが白眉。曲名を見て「オッ!」ってなりましたが、予想通りこの歌詞、スティーヴン・キングの『ダーク・タワー』シリーズをモチーフにしてますね(私が買ったのは輸入盤なので対訳無し)。『ダーク・タワー』をテーマにしたメタル曲と言えば、ブラガのSomewhere Far Beyondが有名ですが、そちらへのオマージュも強烈に感じます。だってサビメロの歌詞、「Time marches on~」だし。どっしりエピカルなアルバム最長曲(8分超え)で、その構成力が光っていますが、なによりIanオジサマの歌唱力が凄まじいのなんの。ビビりますよこれ。


いやー、傑作ですわ。
伝統の上に成り立っているジャンルの音楽でありながら、自分達の出自をストレートに表現した結果、かなり興味深い音に仕上がっているのではないかと。
バンドでありながら、同時に、メンバーの経歴や顔ぶれからプロジェクト臭がしてしまうのが不安ですが…。。継続的なバンドとして2ndアルバム出してね。

【お気に入り】
④Eagle Divine
①The Fire Within
⑧The Dark Tower
⑥Twilight Warrior
⑨Moonstruck
⑩The Fall Of The House Of Usher


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