綾辻行人『奇面館の殺人』

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綾辻行人『奇面館の殺人』 (講談社文庫、上・下)

綾辻行人の館シリーズの9作目、『奇面館の殺人』を読みました。
全10作構想らしいので、残りはあと1作か。

奇面館主人・影山逸史が主催する奇妙な集い。招待された客人たちは全員、館に伝わる“鍵の掛かる仮面”で顔を隠さねばならないのだ。季節外れの大雪で館が孤立する中、“奇面の間”で勃発する血みどろの惨劇。発見された死体からは何故か、頭部と両手の指が消えていた!大人気「館」シリーズ、待望の最新作。

関係者の大半が仮面を被らされ、素顔が見えない!前代未聞の異様な状況に疑心暗鬼が渦巻く中、名探偵・鹿谷門実が解き明かす「奇面館の秘密」の数々。果たして真相はどこに!?本格ミステリの醍醐味に満ちた、圧倒的迫力の推理&解決編。名手・綾辻行人が技巧の限りを尽くし、読者を未曾有の驚愕へと誘う。


パズルだな。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓


綾辻行人という作家には一定の信頼感を持っている。
『十角館の殺人』は衝撃だったし、『時計館の殺人』も『暗黒館の殺人』も面白かった。
(面白かったという記憶のみ残っていて、正直どんな作品だったか覚えていないんですけど…)

ただ綾辻氏だけではなくて、新本格で括られる作家群の作品に出てくる登場人物って、どうして誰も彼も記憶に残らない人達ばっかりなんだろうなって思うんですよね。毎回。記憶に残らないというか、アタマの中でイメージとしての像を結びにくいというか。
※この点からしても、新本格のルーツとも言うべき島田荘司だけは私の中では別格なんだが。

本書(本シリーズ)の探偵役である島田潔=鹿谷門実にしてもそうで、いくら外見を描写するシーンがあっても“ひととなり”が浮かび上がってこないというか。
つーか、こいつの語り口って勿体ぶってるというか、嫌みったらしいんだよな(笑)。一見イヤな奴そうじゃないのに、自分の推理のこととなると嫌味を感じるというか。「皆さんもう、お気づきでしょう?」じゃねーよ!
こっちは全然気づいてねーよ!ww

本格モノの登場人物って、物語の中でそれぞれの役割を振られた、ある種“記号”だからですかね。まぁ、本格モノって「型」が重要なわけでもあって、特にこの館シリーズは、型に忠実であること、本格ならではのモチーフを惜しげも無く繰り出してくること、それが主眼でもあるんでしょうけど。

そんな、あまり私があまり歓迎していない特徴を、当然のようにそのまま踏襲している本書です。
パズルです。
人物描写が物足りないのにどうしてこういうタイプの小説を読むのかっていったら、騙されたいからですわね。

で、騙されました。

自分があんまり推理しながら読むほうじゃないってのもある(←それは騙されたいから)けど、トリックが一番切れ味を見せる場面では見事に「アッ!」ってなる。綾辻行人はこのやり方がめっぽう巧いです。レイアウトとか強調点の付け方とか。
で、その最大のウェーブが来た後に、説明が続くわけですけど、ここで段々と萎えてくる(笑)

偶然。
偶然。
偶然。

『暗黒館~』もそうだったけど、偶然による設定を積み重ね過ぎて、もはやリアリティ皆無。「ンなばかな」と突っ込むのもめんどくさくなる始末です。まぁ、そういうのも織り込んだ上で楽しむ類いの小説なんでしょうけどね。

だから、パズル。

重要なのは、この瞬間風速的驚きの強さが、他の要素を凌駕するかどうかってことですよね。『十角館~』はそうだったし、『霧越邸殺人事件』も内容はまるで覚えてないけど凄かったって記憶は残ってる。

面白かったし、さすが館シリーズと思ったけど、納得できない。
そんな作品でした。

あ、誰がどの仮面を被ってるのか、こんがらがってさっぱり覚えられなかったねw

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