RONDONRATS。「FEVER」


RONDONRATS。「FEVER」 (2016)

広島出身の女性Voロック・バンドRONDONRATS。、活動拠点を東京に移しての第1弾。
通算6枚目のミニアルバムです。

作詞/作曲のクレジットが(個々のメンバーじゃなくて)バンドになってます。それが直接関係しているかどうか分かりませんが、変化を感じさせる作風ですね。それは「AからBへ」という方向のものではなく、「今まではAだったけどBもね」という拡大だったり、「従来からのAに別方向から光を当てた」という風に感じるものです。

「変わってる」と感じたポイントは、作り込みと複雑なリズムへの言葉の嵌め込みの巧さ。
この「作り込み」の部分は、Plastic Treeのナカヤマアキラがプロデュースしているからでしょうか。なんか空間系の処理が上手いというか、GtやKeyのフレ-ズが細かく飛び交っているのが目立ったりとか、音作りも従来と比べてかなり印象が異なるのよね。どっちがいいとか悪いとかじゃなくて、違う。ただ、人によっては「忙し過ぎる」と感じるかもしれません。
脱退したTAISHI(Dr)の後任としてYUKIが加入しましたが、本作制作時にはサポート・ドラマーを迎えており、ELLEGARDENの高橋宏貴が叩いています。その点も「変わってる」と感じる点かも。ゴツゴツ生々し過ぎるDrが全体に馴染んでないな、と感じるところもあるんですけど、フレーズは以前にも増して複雑だったり…。


いつものようにイントロSE的役割を果たす小曲①Laser Paradeから始まりますが、ラッツ加入後、これが初音源となるKJのパーカッシヴなBaにドキッとする②雷蝶、これがなかなか驚かせてくれます。ファンキーなリフに、ファルセットを絡めた細かな譜割りの歌メロ。ギターの弄りまくった歪んだトーンも特徴で、生々しいリズム隊との対比も面白いです。
それぞれの要素に目新しさがあるかって言ったら、それほど無いのかもしれませんけど、なんか新しいラッツを感じるのよね。組み合わせの妙かしら。あとはやっぱ、音作りかな。
①②で始まり、ラップ調のVoが小気味良い⑧NORAWAYでアルバムを締めるっていう構成も、聴き手に新鮮な感覚をもたらすような気がします。

KOUTAとTETSUのGtワークがより緻密で複雑になっている、もしくはそう感じるのも本作の特徴で、①②もそうだけど、リードトラックの④Rainはその最たるところ。
細かく複雑に交錯するツインGtにシリアス系の暗いメロディ。ガッツンガツンくるリズムと、流麗なリードプレイ。とても好みの曲ですね。この曲の「メタリック」と言ってもよいGtソロは、ラッツの(TETSUの)ベスト・ワークではないですかね。鳥肌モノですわ。
MVは → コチラ。


それら新機軸/新要素/新感触が、このバンドの持ち味であるスピード感と噛み合い、新たな風が吹いてるにも関わらず、美点を一切失っていないのが嬉しいですね。
③Doooda!!⑥MONSTERでの絶妙なラインをなぞる切ない歌メロなんて、巧みに高音域を行き来するMAMIKO(Vo)の持ち味がしっかり発揮されてる王道のラッツ節だし、⑦ドーラのロマンティックさと力強さの共存も◎。ドーラって『天空の城ラピュタ』のあのおばちゃんね。この曲もGtソロが泣けるんだよなー。
ラッツらしいといえば⑤蜃気楼。鍵盤の響きと素直でまっすぐなメロディが印象的なこの曲が、アルバムの中にホッとする安心感を届けてくれます。超絶胸キュンよ。徐々に切なさを増してゆく、自然なメロディ展開にセンスを感じます。

歌詞の言葉選びのセンスや英詞の分量や配置が絶妙な点も、変わらぬ“ラッツらしさ”でしょう。聴いていると印象的な単語や表現がスルッと脳内に入って来る。例えば「左団扇が諭吉に化けりゃ」とか、「スモークサーモン」とか(笑)。なんて「蝉時雨」という一語が楽曲のイメージを決定づけてるし、これしかないというほどのハマりっぷりです。


一部楽曲の出来が突出しているというより、「平均点」が異様に高いアルバムですね。バンドの作曲能力の高さが順当に音に現れた、そんな風にも感じます。言うのは簡単、実現するのは難しいことですが、さすがラッツ、ということで。
やはりこのバンドは信頼できる。

【お気に入り】
ほとんど全部良いので、特に好きな3曲を挙げておきます。
④Rain
⑤蜃気楼
⑦ドーラ

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