PURSON「DESIRE'S MAGIC THEATRE」


PURSON「DESIRE'S MAGIC THEATRE」 (2016)

時代錯誤系マニアック女子・Rosalie Cunningham(Vo他色々)率いる70年代風ブリティッシュHRバンド、PURSONの2ndアルバム。
なんとフィンランドのSPINEFARM RECORDSに移ってますね。バンド・イメージと全然そぐわない!(笑)

…ってことがどうでもよくなるくらいのインパクトを誇る、このヘンテコ・ジャケは何じゃぁぁああーーッ!?
すんごいセンス。
唯一無二。
さすがロザリー。

バンドという形はとっていても、EP「IN THE MEANTIME」(2014)の時と同様、音源制作においてはマルチ・ミュージシャンRosalieの独擅場で、そこにゲスト的に各楽器が色を添える形態です。彼女のソロ・プロジェクトが、イコールPURSONなのである、と言っても大きく外してはいないと思いますね。

SPINEFARMに移籍したといっても、途端にメタリックになるわけもなく、①Desire's Magic Theatreから怪しく妖しい、馴染みのある音が溢れ出てきます。
このバンドの場合、正直何に魅かれているのか自分でもよく分からないまま聴いてたりするんですが、一番の魅力って何ですかね、咀嚼力の高さでしょうか。アングラ/メインストリーム分け隔てなく(と言ってもアングラ臭は濃厚だが)、70年代ロックとその周辺音楽の様々な要素を自然に織り込んだ楽曲。雑多な材料がドロドロと溶け込んだスープのような音楽は、ヘンな中毒性ととっつきやすさがあります。聴いていて「あぁこういう音も通過してきてるのね」という“気づき”があって面白いんですよね。
また、にはステージの空気をそのまんま持ち込んだような雰囲気があって、その臭いからは単なる懐古趣味ではなく、現代に生きるバンドらしいライブ感や生々しさが伝わってきます。続く②Electric Landlady(なんだこの曲名その1)もそう。

オルガンとギターの暴れ回りっぷりがなかなか爽快な⑧Mr. Howardこそハードロック的ですが、全体的にはHR色はさらに後退しているような気がします。その分サイケ、フォーク成分は増し増し。④Pedigree Chums(なんだこの曲名その2)や⑨I Knowにおける酩酊感は、サイケっぽさが前面に出た分かり易いところです。

タイムスリップしてきたかのようなリアリティを以って、70年代風の音を現代に甦らせている点は見事なんですけど、個人的にはもうちょっと叙情が欲しかったかなぁ。その点、⑤The Sky Paradeはなかなか強力。幻覚を見ているような、そんな景色の向こう側に、ドラマ性と哀メロが確かに息衝いてる。
聴き応えという点でいえば、三部構成の⑩The Bitter Suiteは、ヘヴィなオケ、オルガンが攻め立てフルートが舞い踊る様、途中のスパニッシュなギター…etc…と、油断のならないプログレ趣味を見せ付けます。そういうマニアックな音楽に、フォークシンガーのようでもありポップスシンガーのようでもあるRosalieの癒しのVoが乗る。その組み合わせの妙こそこのバンドの強みですかね。


だんだん幅が広がってきて、(Rosalieのワンマン・バンドだとはいえ)バンドっぽさも増してきました。ただ、個人的趣味でいえば、1stの持っていた妖しさと美しさと重さには及ばないかな。

【お気に入り】
⑤The Sky Parade
⑩The Bitter Suite
⑧Mr. Howard

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