島田荘司『御手洗潔の追憶』

島田荘司_御手洗潔の追憶
島田荘司『御手洗潔の追憶』 (新潮文庫nex)

島田荘司の『御手洗潔の追憶』を読みました。

ちょっとヘルシンキへ行くので留守を頼む―。そんな置き手紙を残し、御手洗潔は日本を去った。石岡和己を横浜・馬車道に残して。その後、彼は何を考え、どこで暮らし、どんな事件に遭遇していたのか。ロスでのインタビュー。スウェーデンで出会った謎。明かされる出生の秘密と、父の物語。活躍の場を世界へと広げた御手洗の足跡を辿り、追憶の中の名探偵に触れる、番外作品集。

小説というより、ミタライ・ワールドへの理解を深める為のファン向けの情報誌的な感じも。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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ウチのブログをある程度の期間読み続けていただいてる方は、「オマエ、シマソウばっかり読んでるな?」って思われるかもしれませんが、まぁ事実です。
元々作品数も多い作家ですし、今現在も執筆ペースは衰えるどころか順調極まりなく、むしろスピードアップしてるんじゃないかって感じですし。私は基本、文庫化されるまでは読まないんですが、その文庫化のペースも(執筆ペースと正比例して)速いですしね。
個人的には、「島田御大の作品なら全部読まなきゃ!」とは思ってはいませんが、御手洗シリーズは全部読んでおきたいってのはありますね。大好きなシリーズだし、世界一好きな探偵っつったら、御手洗潔をおいてほかにはいない。

以前、『島田荘司読本』の感想をアップしましたが(→コチラ)、そこに収められた御手洗パパ=直俊の活躍を描いた一篇「天使の名前」も再掲しております。その感想については重複になるので書きませんが、それ単独での読み応えもさることながら、御手洗への(作者・島田からの)インタビュー形式に則った「御手洗潔、その時代の幻」で語られる父の姿と合わせて読むと、作品世界がより深まり、何だか身につまされるものがありますね。「何かが彼をすっかり駄目にしていたんです」だもんなぁ…。

しかし、事件そのものを通して御手洗潔という人物を描くのではなく、周りの人物の証言(インタビュー)から彼の姿やその生活を掘り下げてゆくのは、多分に同人誌的で、正直言うと退屈な部分もありました。私、石岡や里美、レオナのことを好きなんじゃなくて、彼らの視点を通して描写される御手洗のことが好きなんだな、ってのを再確認しましたね。
しかしインタビューで石岡くんに答えさせる形とはいえ、御手洗モノの事件が「書けといわれればいくらでもあります」と言い切っちゃうのはなかなか凄い。期待しとりますよ。

御手洗が語る“教師と生徒”論、そして、「あとがきに代えて」での天才型の探偵とは何かに関するくだりは、めちゃくちゃ面白かったです。こういうところが島田荘司に魅かれる理由でもある。

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