BAND-MAID「Brand New MAID」


BAND-MAID「Brand New MAID」 (2016)

お帰りなさいませ、ご主人様&お嬢様!!

家庭内労働型女性使用人的ロックバンド・BAND-MAIDによるメジャー・デビュー盤にして、通算3rdミニアルバムですっぽ。
同じ事務所に所属しているprediaPASSPO☆と同様、日本クラウンへの移籍ですね。因みに、メジャー・デビューに際して、バンド名の後ろにあった「®」マーク(Rマーク)が無くなりましたっぽ。
この3rd、2種類のCDがあって、私が買ったのは、前作「New Beginning」(2015)の収録曲であるREAL EXISTENCEのライブVer.が入った、“Type B”。“Type A”はMVが収録されてるDVD付きですもえ。

前作は、作詞作曲を始めとして制作環境にいたるまで、ビーイングのバックアップがあった作品でしたが、クレジットを見る限り、本作でもそれは変わらないようです。ライター陣はちょっとずつ入れ替わってますけどね。
音楽的な方向性もほぼ同じで、ちょっとモダンなヘヴィ・ロックをも視野に入れた、アメリカンHR路線ですね。ですので、「おいしくな~れ、萌え萌えキュン♡」的な“スイ~ツ”は、引き続きメニューにはございませんのであしからず、ご主人様お嬢様。

MVになった(→コチラ)スピード・チューン、①the non-fiction daysで幕を開ける本作。こいつがいきなりグワシッとこちらの心臓を鷲掴みにしてきます(中村彼方作詞、大西俊也作曲)。Voは彩姫がメイン(←この曲に限りませんが)ですが、小鳩ミク(Vo&Gt)を派手にフィーチャーしないで、所々でうっすらと重ねてツインにしている使い方が上手いし、演奏陣の躍動感は爆発してる。特に、「みなぎるゴリラ」こと廣瀬茜(Dr)が凄いですね。サビ後半の連続スネアなんて、シャバーニもビックリのかっこよさですよ。遠乃歌波(Gt)のソロも気持ち良くキマってるし。

しかしの即効性の高さってのは、このアルバムの中ではむしろ異質な方でして、2曲目以降はどっしりとしたミドル・チューンが続きます。
聞かせどころが疾走曲だけに偏っていないのは、引き出しが多いという意味では好印象であり、バンドの武器なのでしょう。外部ライターが曲を書いているとはいえ。ま、本格的なアメリカンHRに接近してゆくと、それほど曲のスピードは過度に上がらないような気もしますし。
大陸的なスケールの大きさと適度なドライヴ感、そして爽快感のあるカラッとしたロックというのも、そっち系の音楽の傾向ではありますが、そういうタイプの曲は本作にはありません。爽快感を感じるのはのみで、あとは色調としては暗めの曲が多いです。
暗く、重い。正に、萌え萌えキュン♡ではないのです。

②LOOK AT ME④Brand-New Roadという、後藤康二(REAL EXISTENCEを書いた人)の曲がつまらないですね。取り付く島もない感想でスマンことですが。重く暗く、そして無骨という特徴を備えたモダンなHR~ヘヴィ・ロック調の曲で、こうした“地に足ついてます”系の曲をやることによって、本気で骨太な方向性を目指してますってのは伝わってくるし、MISA(Ba)と廣瀬のリズム隊はそういう曲も十分こなせる力量はあるんだけど、そこだけにどっぷり浸かってしまうとメロディ的にはどうも面白くない。「面白くない」ってのは、勿論ウチのブログ基準で言ってるわけで、私の嗜好と相容れない部分があるってだけなんですけどね。
徳永暁人作曲のリフ物・③ORDERも同系統の曲ですが、サビでメロディックさが増すのは“らしい”ところですし、リズム隊のソロ・プレイをフィーチャーしたパートからGtソロへと繋げる流れの鮮やかさは◎。

先述の通り、ライター陣の入れ替えはあって、前作との比較するとそれがアルバムのカラーの違いとして反映されてる気はします。
(ビーイングじゃないけど)「プラチナム・パスポートと言えばこの人」的なイメージのある阿久津健太郎機長は、今回参加していないようです。また、ビーイング陣営ではFEEL SO BAD組や小澤正澄がいない。
ということで、ビーイングらしいメロディアスさやJ-POPっぽさは幾分後退しているような感じはありますね。あと、川島だりあの作詞によるヒネくれたポップ感が無くなったのは残念な点。
前作の方が幅の広さはあったと思います。反面、本作の方が焦点が絞れていて、このバンドの標榜しているサウンドは伝わりやすいのかも。


アルバム後半の楽曲はメンバーが関わっているものが多いんですけど、実はその後半の充実が素晴らしいです。

小鳩&彩姫作詞・(前作でも活躍した)山口篤作曲の⑤YURAGUは、適度な音の隙間がバンドの地力を伝えてくるロック・チューンで、立体的なツインVoの絡みが大きな聴き処です。秀逸なGtソロ後、激しさと音数を増しながらガンガン盛り上がってくるのがいいね。

小鳩作詞・井口イチロウ作曲の⑥FREEDOMは、ライブお給仕で初めて聴いた時から一発で「こいつはキラーチューンに決まってるっぽ!」ってなって、音源化されたのを聴いてみたらやっぱりキラーチューンだったという、ダークで性急&シリアスなスピード・チューン。ライブお給仕での熱気よりは、音源なりの冷たさや緊張感を前面に出した音に仕上げてるように思いましたが、どっちにしろ私にとっては、本作を、そして今年を代表する曲になるであろうことは必定。
しかし、このサビのピタリとハマった言葉の乗せ方がメンバー(小鳩ミク)によるものだったとはビックリだなぁ。因みに井口氏は、BiSBiSHつばさFly等の楽曲制作に関わっている人のようです。

ここでようやくビーイングらしい哀愁メロが登場する、⑦Before Yesterday。なんせ書いたのはGARNET CROWの岡本仁志だからな。MISAの存在感が光るボトムと小気味良いテンポのヴァース~ブリッジ、そしてメロディが聴き手に染み入る時間を考慮したかのようにスッとテンポが落ちるサビ。そのサビメロの愁いとバンド演奏による力強いロック感との対比が効いてる佳曲ですね。

小鳩&彩姫作詞・バンド自身の作曲による⑧alone。初めてお給仕で聴いて、その後すぐMV(→コチラ)を見た当時よりも、この記事を書いた今の方がずっと気に入ってる曲。「ふ~ん、ま、悪くないんじゃない?」「むむむ…これ、イイかも」になって、いつの間にかお気に入りの曲になっているという中毒性ですわ。
サビとの落差を演出するためか、ワザと暗く平坦に綴るヴァースは言葉の置くリズムの妙によって聴き手の意識を引っ張り、飽きの来なさそうな絶妙なメロディラインを辿るサビでズッポリハメる。なんだろな、このクセになる感じは。気づくと口ずさんでいるような気がしますね。気怠さを感じる曲調に、覚悟を決めた者ゆえの静かな力強さや諦念みたいなものが漂っているのが良いっすね。そして歌波のソロがYAVAI!!


“Type B”に収録されているボーナス・トラックである、REAL EXISTENCEのライブVer.は、お給仕の様子がストレートに伝わってくる出来栄えです。甘くない放置プレイです。歌唱はラフ気味だけど、ツインVoの絡みが効果的なのはよく分かるし、臨場感も的確な演奏も伝わってくる。終盤の「わかんない!」のパートで必要以上にキバリ過ぎてるミク嬢に萌えるっぽw


アルバム全編を通して感じたのは、彩姫って切迫感を感じるようなパートでの歌唱が特に光ってるな、ということ。なので、このシリアス路線は彼女の良さを活かしていると思いますね。もうちょっとポップな曲でも上手く歌いこなせるのは分かってますし、そういった曲では小鳩との配分や役割分担を変えるという方法もあるわけで、ツインVo体制ならではの可能性は色々あると思います。このメイドさん達には、超絶歌唱で圧倒するという方向性ではなく(それはなかなか厳しいと思うし)、コンビネーションの妙を追求していただきたいところですねぇ。
演奏面では、今後、「リード=歌波 + リズム=ミク」という構図だけじゃなくて、ツインリードだったり2本のGtの絡み方だったりと、幅広い活用の仕方ができるようになるといいね。ま、リズム隊は既に強力だから、(物足りないってわけじゃないけど)ウワモノ頑張れってことで。


の強力さ、それと、楽曲粒揃いの後半で一気に取り戻すので、前作に続き、本作もお気に入りの一枚になりました。
個人的には双方甲乙付けがたいかな。

【お気に入り】
⑥FREEDOM
①the non-fiction days
⑧alone
⑦Before Yesterday
⑤YURAGU


いってらっしゃいませ、ご主人様&お嬢様!!


はい、逝ってきます。

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COMMENT 2

Metal88  2016, 07. 27 [Wed] 16:48

レンタルで1st,2ndと聴きました。
いやいや、フツーにかっこいいです。
HRであるとかないとかカンケーなく、純粋にロックとして。

ツインボーカルも、ダブルギター(あえてツインギターとはいわず)も、多彩なドラムも、と、聴きどころが多くて楽しまんです。

でも彼女たちのオリジナルじゃなかったのですね~。
アレンジもギターソロも他の人なのかな。
10/1のライブが当たりますように。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 07. 28 [Thu] 20:45

Metal88さん、

このバンド、小鳩のスキルのせいもあって、ツインGtの絡みはほとんどありませんからね。個人的には今後強化してほしい要素ではあります。

「Brand New MAID」ではメンバーが書いた/関わった曲が出てきましたが、基本制作陣がバックにいますね。曲毎に委託という形で。個人的にはメンバー自身の作曲には拘っていません。良質のメロディを提供してくれるなら、誰でも。
演奏は全て彼女達自身です。嘘吐いてなければ(笑)。まぁライブでの演奏力はあるので、間違いではないでしょうけど。

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