UROBOROS@渋谷TSUTAYA O-EAST

『 UROBOROS 1st oneman live “THE ARK OF ZODIAC” 』 渋谷TSUTAYA O-EAST (2016/4/29)

 ←kowai!!

UROBOROSの初ワンマン・ライブに行ってきました。
今までバンドとして敢行したライブはシークレットが1本のみなので、実質的には初ワンマン&初ライブってことになります。また、上木彩矢(Vo)にとっては、(メジャー・)デビュー10周年にして、初めてのソロライブを行った会場という巡り合わせもあります。因みに、その2006年のソロ・ファーストライブはDVD化されており、「ソロシンガー+バックバンド」的な感じはあるものの、とても良い内容です。というか、燃え&萌え死にます。


この初ワンマン、結果から言うと、自分の好みとの相性という点では、完璧なライブだったな、と。
今までに出た2枚のミニアルバム、「ANOTHER ARK」(2015)と「ZODIAC」(2016)が、既に音楽的にはほぼ私の理想型でした。ダークでシンフォニックでテクニカルで、でもヴォーカル中心で、しかもそのヴォーカル・メロディにJ-POPに通じる大衆性があって…etc…となりゃ、私の音楽変遷を辿ったようなもんなので、そりゃキラー!!だろうと。単純な話、好みの方向性を持つ音楽の上に好きなヴォーカリストの歌が乗ってて、それが絶妙なバランスを保ってるんだからサイキョーでしょうとも。
で、生で体験してみたところ、やってる音楽も最高なら、音作りも理想型だった。


ソールドアウトせず、フロアは7割くらいの入りだったかな。まぁ観る側からすれば、ちょうどよい混み具合ではあります。バンドの全体像を把握したかったので、私はフロア最後方の中央辺りにスタンバイ。ま、整理番号的に「むをおおおおお彩矢たぁぁああん!!」な位置に突撃することは叶わなかったってのもありますけど。
BGMとしてピアノのインストゥルメンタルが延々と流されるという、完全に黒瀬圭亮(Composer,Manipulate)チョイスな客入れの環境。天井から吊られた照明機構が覆いかぶさるように下ろされたステージ上、セットはごくシンプルです。というか、ほぼ機材しかない。メンバーの立ち位置は、後方下手側から【中村泰造 (Ba) → 笹渕啓史(Dr) → 黒瀬】、前方下手側から【Leda(サポGt) → 上木→ 大村孝佳(Gt)】。

ピアノインストいつ終わるんだよッ!?という中、ライブは15分超押してスタート。
黒主体の衣装で固めた演奏陣に対し、鮮やかな真紅のヒラヒラドレスを纏った上木がZODIACを歌い出した途端、音の住み分けがめちゃめちゃしっかりしていると感じました。私の観ていた位置は音響的に最も有利な場所ではあるけれど、それにしてもVoと各楽器がクリアに分かれて聞こえる。上木は特別声を張り上げて歌っているわけじゃないんだけど、Voはしっかりした存在感と抜けがあり、そして歌い回しの細かなニュアンスが伝わってきます。楽器陣とも音域が全くぶつかってないし。

…という、Voがフワッと浮き上がってくる出音でしたが、この猛者揃いのメンバーが上木のバックバンドに収まることなんぞ、勿論ありませんわね。
身体の動きだけ見ると一番地味な(というと語弊があるが/笑)バンマス、黒瀬は何をどう操っているのか全く不明なんですが、音源と寸分違わない空気を再現しています。事前に仕込んだ音と実際に手で弾いてる音の区別がつかないくらい、自身の機材を的確に操っている感じ。あんまり忙しそうに見えないんだけどね。不安感ゼロ、聴き手が楽曲の世界観に没入するのを邪魔しない手腕が見事でした。彼のプレイがあまりに磐石なので、他のプレイヤーが演奏している姿が余計生き生きと映えるのかもしれないなぁ…。

中村&笹渕のリズム隊は、予備知識があまり無かったこともあって、一番驚かされた存在でした。このバンド、ボトムがめちゃめちゃ強靭ですよ。暴れまわっているわけじゃないんだけど、締まりに締まっていて、同時に量感がある。そして、メロディック。やっぱりリズム隊って生で観ると、新たな点に気づかされたり印象が変わったりすることが多いものですが、この2人もそう。細かなリズムチェンジやキメが意外にも沢山あって、観ていてすっげぇ面白いの。あと、金髪の中村は、ほとんど定位置から動かずに俯き気味に黙々と弾いてるだけなんだけど、異様に目を引いてカッチョイイですね。なんだろうな、これ。ちょっとした身体のヒネリやBaの構え方、運指等々に依るんだろうなー。

神バンド・Gtコンビ、大村&Leda。もうね、技巧派ギタリスト愛好家(なんだそれ?)的には贅沢の極みですね。大村のプレイは(LIV MOONで)何回か観たことあるので、「やっぱ巧いなー」とは思ったものの改めて驚きはしませんが、Ledaを観るのは初めてだったので、結構下手側に視線を吸い寄せられることが多かったです。そのLeda、STRANDBERGのヘッドレス7弦ギターを使ってるっていう見た目のインパクトもデカく、さらにはこのギター、音もやたら特徴的ですから、とてもサポートとは思えない存在感でした。おまけにあの通りのイケメソですからムカつく
このSTRANDBERGの、ある意味ギターっぽくない、生っぽさが無くて思いっきりブーストされているような音自体もなかなかビックリするものですが、生Ledaのプレイはもっとビビった。滑らか過ぎだよこれ。特にスウィープがすげぇ。この御方は、スウィープ魔神に違いない。
UROBOROSの音の現代的な感触は大村のGtの依るところが大きいと思っていたんですけど、Ladaのプレイはもっとモダンできっちりカッチリでしたね。揺らぎが無いというか、タメもモタりも無くってひたすらジャストな印象。凄まじい精度でした。驚いたわ。彼と比べると、大村は随分と古い気質の“ロックしてる”ギタリストに聞こえてくるから不思議。


こんな凄腕のメンバーによって支えられたバンド演奏は、完全にHR/HMでしたね。

「ZODIAC」のアー写は怖いけど、ライブの空気は怖くなかったです。プレイ中はただならぬ緊迫感が覆っていたりもするんですけど、それは曲がそういうムードを求めているわけで、個々のプレイヤー自体に他を寄せつけない殺伐とした感じはありません。場数を踏んできた者に特有の、緊張の中にもその場を楽しんでいる、どこか余裕のある雰囲気。
やはりね、音源から感じた通り、やってるのはダークなシンフォHMなんだけど、このバンドには華やかなオーラがありますよ。特にギタリスト2人は、単なる一楽器奏者というよりソロで活動したり自分のリーダー・バンドを率いるような人なので、魅せ方も心得てるし。神バンドGt2人と上木という、フロント3人が並んだ豪華さ・かっこよさは異常事態でしたね。

そして、上木はUROBOROSでも上木だったな。
揺らぐことのない天性のロックさ。それはこのメンバーの中でも全く埋もれることなく、光り輝いて。
「みんな会いたかったよぉー」というまるで作っていない素の喋りから、曲に入った途端にズボッとその世界の中に没入して、まるで別人のような声で歌い始める…。女子・上木彩矢から、歌手・上木彩矢へ。

そう、上木は女子なのよ。
当たり前だが。
一人の女性であることを、無理に前面に出そうとも、逆に隠そうともしていない。前にも書きましたが、彼女、男勝り的なノリのヴォーカリスト/ロック・ミュージシャンじゃないから。「オマエら盛り上がってんのかー!?」等という、分かり易いステレオタイプなロック・ディーヴァ的煽りはしないし、ファンへの呼び掛けは「みなさん」とか「みんな」とか、そういう何のてらいもない、親しみやすいものだし。
黒瀬が曲について説明する場面がありましたが(好青年というか温厚な先生みたいでしたね)、上木がアシスタントのようにそれに相槌や補助を入れる様子を見ていると、芸能人みたいだとも思いましたね。そう、上木は圧倒的にミュージシャンでヴォーカリストなんだけど、同時に女優というか、人前に立つ人独特のオーラや華やかさがあって、それが歌っている時の仕草や表情に自然と表出してくる。綺麗とか可愛いとかそういうことじゃないのよね。説明できなんだけど、ただただ、ロックなの。
彼女の、ヘンにカッコつけていないんだけどカッコイイっていう有様は、私にとって、ロック・ミュージシャンとしてこれ以上望みようもないくらいの理想的なフロントマンの姿ですよ。


ミニアルバム2枚しかリリースしておらず、歌入りの曲は11しかないバンドなので、セトリ的にはほとんど意外性は無いです。大きな流れとしては、前半に2ndの曲を固めて、後半は1stからというものでした。
ショウ冒頭からガシッと聴き手の意識を掴んできましたが、バンド始動の曲と捉えてもおかしくはないBlack Swallowtailは特に盛り上がり、以降はフロアの熱量が一段階上がったように感じましたね。それに続いたRed Moonのドラマティズムと楽器隊の拮抗には鳥肌が立ちまくり。Infectionも凄かったけどね。

曲数の関係もあったんでしょう、この日初披露の新曲が2つありました。reincarnationという従来タイプの重いシンフォ曲と、ドイツ語で子守唄を意味するWiegenliedというロックチューン。後者は、「これのどこが子守唄だよッ!?」と突っ込まざるを得ないノリノリ&アッパーな曲で、彼らの(まだ少ない)レパートリーの中では最もオーセンティックなロックっぽさを感じる曲でした。事実、分かりやすく即効性のある曲調だったので、初めて聴くにも関わらずフロアは大きく盛り上がっていました。勿論、ノリノリだとはいっても、黒瀬曲なのでUROBOROSらしさは堅持していたと思いますけどね。
2曲共に、かなり好感触でした。
新曲2連発で湧かせた後に、攻めまくりのFROM HELL、コーラスを観客に歌わせる参加型のIGИIS、明るく吹っ切れたようなLuminousで本編を一気に纏め上げる構成も見事でした。


本編で持ち曲は全て使い切ってしまったわけで、アンコールでは何をプレイするんだろ?という状況でしたが、まずは黒瀬と大村の2人だけ登場して、KeyをバックにGtソロ・コーナー。
UROBOROSにおけるギター・プレイは、きちんと構築された曲の中の一瞬一瞬に過不足無くフレーズを封じ込めることが求められそうですが、このソロ・タイムでは自由に伸び伸びと弾いていた様子。で、これを観ていて感じたのは、大村って、「ギターを叫ばせるギタリスト」だな、と。「(ギターを)歌わせるギタリスト」でも「泣かせるギタリスト」でもなかった。そういう風に弾いてなかっただけかもしれないけど。
私はメロディックに弾く人が好みなので特別好きなギタリストではないですけど、UROBOROSでの彼のプレイは、適材適所というか、完璧に合っていると思いましたね。

プレイ・スタイルと音楽性との相性については、サポートGtのLedaについてもしかりで、アンコ-ルでのメンバー紹介のおりには、
れ「たった一回のライブの為にこんな難しい曲を覚えてウンヌン」
れ「コスパ悪いんで」
れ「また呼んでください」
     ↓
あ「みんな聞いた!?Ledaさん、また呼んでくださいって言ったよね?」(←可愛い)
なんていうやりとりもあったんで、ほんともう彼、サポートとかじゃなくて加入しちゃいなよ、って思います(笑)。

っていうか、Tシャツに着替えて出てきた彩矢たぁあん is S-kawaii!!

アンコールは、オンライン配信でリリースされた英詞版の「ANOTHER ARK」からBlack SwallowtailのEnglish Ver.と、この日の為に準備したZODIACのEnglish Ver.の2曲でした。
ライブは1時間半に満たないくらいの尺だったのかな。持ち曲は全てを披露してくれたわけですし、何より濃厚で満足度が異様に高いパフォーマンスだったので、物足りないという気持ちはありませんでした。それよりは、彼らのステージを1回でも多く観たいですね。次回のライブやリリース予定等の告知はありませんでしたが。

しかし新曲を2曲もやるとは思いませんでした。黒瀬の曲作りって相当作り込むタイプのような気がするので、音源化されている以上のストックがあり、それがワンマンに間に合うもんだとは到底思ってもいなかったという…。
上木のソロを1,2曲やるかと思ってたら、それも無かった。このワンマンが決まった頃には、それを匂わせるような発言も確かあったんですけど、黒瀬曲の準備が間に合ったからか、セトリに入れるのを止めたのかもしれませんね。上木のソロ曲やAsrielcunePlastic Treeの曲をやれば、今までのファンに対してのプレゼントにはなるでしょうけど、UROBOROSのライブとしてのトータリティは崩れますから。


「初めてのステージだから…」とかいう枕詞や留保のいらない、この時点で完成されたステージでした。音源で聴くことのできるレベルにまで持ち上げてくるってのは前提条件みたいなもので、そこにライブならではのプラス・アルファを添加してくるのが当然というようなバンドの意識と錬成。上木の英詞歌唱についてもしかりで、もう何度も歌い慣れているかのように板に付いていました。
これぞプロですよ。

以前、「上木彩矢様について」というエントリで、「いっそのことバンド組んじゃえばいいのに」と書いたことが、ここまでの理想型で届けられるとは…。ただただ驚き、そして喜びに震えております。
この日、上木が歌ってるところを観ていても泣かなかったけど(カッコ良くて鳥肌立てながらスゲースゲー言ってただけ)、MCで彼女が喋ると涙腺が緩みやがるんだよな。本人、まるで泣かせようとかそういう気持ちは皆無でしょうし、何でもない内容を喋ってるだけだったりするんだけど、なんだろな、なぜか喜びがこみ上げてくるのよ。
こりゃあ、歓喜の涙だ。

既に素晴らしい音源を届けてもらって、「上木彩矢の帰還」を実感していた私ですけど、この日のステージを観て、ほんとうの意味での「ただいま」の場に立ち合えた気がしますし、心の底からこう言いたいのだ。

「おかえり」

<セットリスト>
01.Chokmah~ZODIAC
02.LOST EDEN
03.Zoetrope
04.Infection
05.Lunar Eclipse
06.ARK~Black Swallowtail
07.Red Moon
08.十二夜
09.reincarnation (新曲)
10.Wiegenlied (新曲)
11.FROM HELL
12.IGИIS
13.Luminous
ENCORE
14.大村Gtソロ (with 黒瀬)
15.Black Swallowtail (English Ver.)
16.ZODIAC (English Ver.)

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COMMENT 4

ひゃっほー  2016, 11. 17 [Thu] 05:26

Uroboros、上木さんの声がヘビーミュージックに半端なくマッチしてて最高です。LEDAについての分析全く同感です、彼はマシンのように正確でビビりますね。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 11. 17 [Thu] 21:05

ひゃっほーさん、

コメントありがとうございます。
上木の声がまたメタルメタルしていないところが良いですね。それでいて存在感がバックの演奏に全く負けていない。
上木自身、Ledaのプレイを気に入ったようで、ソロのライブでも弾いてもらっていましたが、やはり数多くのサポートをこなしているだけあって、そこではモダンでエッジーな感じはあまり出さずにプレイしていて、要は何でも弾けるんだな、と。多分、得意でかつ好きなスタイルは、記事中で書いたような技巧的なものだと思いますけど。

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ひゃっほー  2016, 11. 18 [Fri] 07:31

>ヒゲさん

上木さんのダークで太い声が世界観にどハマりです。
LEDAは最近はデジタルのFX2愛用ですが、以前はマーシャル・ケリーキングモデルを多用していました。歪み少なめながらも、音の分離の良いスウィープを決め、正確なピッキングで太い音を出す凄腕ギタリストと感じました。彼はモダン、ロックともに思うがままの音を出せそうですね。
そんな凄腕LEDAや大村を惹きつける上木さんはディーバです。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 11. 19 [Sat] 10:15

ひゃっほーさん、

UROBOROSの場合、黒瀬が揺るぎない世界観を提示して、そこに上木が合わせてゆくという手法が取られることも大きいのか、と思います。舞台もやっている人ですから「演じる」「自ら染まる」というのも得意な人でしょうし。

自分が楽器をたしなまない(つーかできないw)こともあって、機材的にことについてはとんと疎いんですが、最近はフラクタルを使ってる人も多いようですね。(ライブでは)デジタルだから音がステージ上の本人がいる所からじゃなくて、上のスピーカーから直接出てきたり…。

大村にせよLedaにせよ、ギター・ヒーロー的にもセッション・ミュージシャン的にも弾けるとなれば、歌い手としては一緒にやってみたいでしょうね。その分、存在を食われないような個性が自分に無いと負けちゃいますけど。

個性が

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