BABYMETAL「METAL RESISTANCE」


BABYMETAL「METAL RESISTANCE」 (2016)

「メタルは正義、カワイイも正義」なベビメタちゃん、文字通り“世界待望”の2ndアルバム。

大大出世作たる1st「BABYMETAL」(2014)は、シングルで発売済みの曲が多かったので、アルバム発売に際してあまり新鮮味はありませんでしたが、この2ndに関してはYouTube等の情報をシャットアウトして臨んだ結果、全て純粋な新曲として楽しめました。随分前から披露していた、ドラフォ曲①Road of Resistanceも今回初めて聴きましたしね。

全12曲。作詞作曲編曲クレジットに関しては、誰もが「○○METAL」って名前に変わってるから、誰が誰だか分からんです。調べる気にもならんです。オイラだって仮に「HIGEMETAL」とか表記すれば、一気に関係者っぽくなるし、まぁそういうことですよ(え?)。
ベビメタに関して言えば、誰が作曲したかそれ一点のみで曲を判断するより、その曲をプロジェクト(バンドとかユニットというより、この言い回しが似つかわしい気がする)全体で、もしくは頭脳たるKOBAMETALがどういう方向性に持ってゆくように仕上げたか、という視点で捉えた方が良いような気がしてます。歌詞がもたらす影響もドデカいし。

「ベビメタはメタルなのか?」
禅問答のように繰り返される問いですな。
そもそも私はメタル一辺倒のリスナーじゃないし、個人的にはそんなことはどうでもいいことですし、面白い/かっこいい音楽さえ聞かせてくれれば満足なんです。ただ、HR/HMというジャンルはオマージュの歴史なわけで、その意味でも、というかその点において、ベビメタは、そして本作は“メタル的”ではありますね。
このプロジェクトにとってオマージュというのは、無くてはならないもの/姿勢、というか、「オマージュしないベビメタ」像なんてもはや想像すらできなくなっているわけですけど、ここに来て、さらにその元ネタがHR/HM方面に寄ってきた、絞られてきたのを感じます。

①Road of Resistance
Sam TotmanとHerman Liのギター・チームがレコーディングに参加した、まんまDRAGONFORCEな曲。
ステージとオーディエンスの間に一体感を作り出すタイプのメタル・チューンがありますが、そういう楽曲の勘所を惜しげも無く、恥ずかしげも無く盛り込んだきた印象がありますね。大仰なイントロ、スピードの生み出すスリル感、合唱を誘うパート…etc…。。それが奏功して、事実カッコイイし。ドラフォといえば歌詞に「Forever」使いまくりなバンドで有名(?)ですが、その点もきちんと踏襲。

②KARATE
リフがまるっきりDjentなリードトラック。これはYUI&MOAの曲だなー。HR/HMであることに焦点を絞った路線だと、ヴォーカル面ではどんどんSU-METALに頼らざるを得なくなっちゃうでしょうから、ここでこういうYUI-MOAが目立つkawaii!!曲(ただしリフは鬼畜)をリードトラックに掲げることで、このプロジェクトとしてのバランスを取ってきた感はあるような。ないような。ないか。でもステートメントとして、「メタルは正義、カワイイも正義」というアイデンティティをはっきり示してきた感はある。プロジェクトが世界に進出した今だからこそ、こういうジャポニズム(?)というか日本趣味を(再度)打ちだしたことも大きな意味があると思うし。
ガッガガッガ刻むだけじゃなくて、終盤に多幸感溢れる展開に持ってゆくのはPeriphery的でなかなか新鮮でしたね。

③あわだまフィーバー
これはTHE MAD CAPSULE MARKETSか。「インダストリアル風味 + kawaiiポップさ」の組み合わせが、最も前作の作風を思い出させる曲かも。個人的にはあんまり面白くないですが、やたら気持ち良いDrパートは聴き処。

④ヤバッ!
忙しないラウドロックというか、『LOUD PARK』というよりは『KNOTFEST』って感じ。H.I.P.主催のフェスで追加される国内勢感。お分かりいただけるだろうか、このニュアンス?(笑)。位置づけ的には前曲と同じ。これもリズムを楽しむ曲ですね、私にとっては。

⑤Amore - 蒼星 -
SU-METALのソロ曲ということからして紅月の続編というか、アンサーソングですね。曲名も対になる感じですし、「紅き月に照らされて」という歌詞もあることですし。紅月はエックスジャパニズム溢れる名曲でしたが、それをさらに技巧的にしたメロパワ/メロスピで、X JAPANというより、そのチルドレンというか進化形というか、まぁ要はGALNERYUSに似てますわね。間奏とアウトロなんてかな~りガルネリで、SYU-METALという人が弾いてると言われても驚かないね(驚く)。これまた悲哀に満ちたキラー・チューンに仕上がっていると思います。

⑥META!メタ太郎
本作一の飛び道具というか、異形の曲。これは軍歌なのか、応援歌なのか。ヴァイキング・メタル風の味付けもあるんだけど、その印象を軽く吹っ飛ばすほどノホホンとしてる牧歌的な軍歌(←相反する表現だが)。これは新鮮ですね。別に好きじゃないけど(笑)

⑦シンコペーション
キラーチューンキタ━━━(。A。)━━━!!
海外盤ではこの曲の代わりにFrom Dusk Till Dawnという曲が入っているそうですが、私は未聴。で、この曲が日本盤にのみ収録されてるってのは聴けばすぐに納得するくらい、まぁ日本らしいといえば実に“らしい”タイプの曲です。V系メタルですわね。ヒロイックなメロディ使いはアニソンに通じるところもあるかも。サビがもろにツボで、SU-METALの良さを見事に引き出してます。この曲が彼女の声質や歌い回しに一番合ってるんじゃないかしら。

⑧GJ!
が紅月のアンサーソングならば、これはいいね!のそれなのか。タイトルからしてそんな感じだし、歌詞もミクスチャー要素ぶっ込んだ曲調も踏襲してますかね。
いいね!って、私が初めて聴いたベビメタの曲なんですけど、今やそれが懐かしさすら感じるほど。

⑨Sis. Anger
曲名はMETALLICAだけど曲調はブラックメタル。でもVoパートはしっかりベビメタしてて、さすがだな、と。歌詞の言葉使いがイヤだけど。

⑩NO RAIN, NO RAINBOW
曲名が良い。はい、Xのバラードですね。見事なオマージュというか再現性で、これがなかなか感動的に仕上がっています。オケのアレンジも巧い。

⑪Tales of The Destinies
ドリムシ。ニヤニヤしちゃうほどドリムシ。ドリムシ要素てんこもり。でも、サビではガルネリライクにちょいクサめに走り始めるからまるでドリムシってわけじゃないんですけど。そのサビに関して言えば、感触はもっとヨーロピアン/アニソン的ですね。間奏では再びドリムシ全開になって、最後はピアノで締め。
で、次曲へ繋がる組曲的構成になっております。

⑫THE ONE
終曲。引き続きのプログレメタルですが、こちらはもっと大陸的広がりとスケールの大きさを感じさせます。タイプは違えども、アルバムの最初と最後にメタル・コミュニティとしての一体感を煽る曲を配置することで、アルバム全体のステートメントになっている気もしますね。ベビメタという、言わば“異端”のプロジェクトがHR/HMの最も王道なテーマ(反逆、団結)を扱うというミスマッチ感と、同時にそれをミスマッチに感じさせないステータスを既に得ていることに思いをやると、面白く感じるとともにちと驚きますな。
この曲のメロディ自体は好きなんですけど、静かな歌い上げパートで英詞はやめてくれー、って強く思いますね。今まで日本のアーティストであるこを前面に押し出して活動してきたのに、ここにきて(この曲で)英詞を大胆に導入する意味が分からん。逆にこういうメッセージ性の強い曲だからこそ、伝わりやすい言語を選んだのかもしれないですけど。ともかく、こういう大団円的曲をやるとなると、バックの演奏やアレンジはともかく、SU-METALのVoでは物足りなく感じてきますね。歌唱力というより声のタイプとして、もっと厚みがあって感情の起伏がそのまま乗るような人じゃないと厳しい。英語の発音に関しては言わずもがな。前曲もそうですけど、「日本語英語」がキュートさに変換するタイプの曲ならいいんだけど、これは…キツいなぁ。


しかし、ベビメタの音作り/曲作りは相変わらず凄いな。神バンドの演奏それ自体、その演奏部分の際立たせ方や雑多な要素を共存させるミックスもすげーんですが、どんな曲・どんな演奏でもヴォーカルがスーッと(駄洒落じゃない)抜けてくる(ように作っている)ところがまたすげー。
先日、有線放送を流してるんでしょうか、色んなジャンルのヒット曲(多分)が次々と流れる場にいたんですけど、そこでKARATEが流れてきましてね。知ってる曲だというのもありますけど、他の曲よりくっきりとヴォーカル・ラインが浮かび上がってきていて、大変驚かされました。それまでに流れてたどの曲よりもヘヴィなのに。Voが全く埋もれないんだ。
まぁそこらへんの聞こえ方は、SU-METALの声質にも依るでしょうね。感情を込め過ぎない(ように聞こえる)彼女の声の無機質さ、良い意味での平坦さ(なんだそれ)が、どの曲でも肝になってる感はありますし、この声ありきのベビメタと強く感じます。

異様に締まってる演奏はさらにメタリックでヘヴィに。反面、kawaii要素や遊びを感じる要素は後退/減少しているようです。③④⑧あたりの曲にはまだそれが感じられますが。
ただ、これはしょうがないことなんだけど、kawaii!!と激烈の組み合わせで聞かせるタイプの曲は、残念ながら前作を超えてはいないんですよね。あの快感を知ってしまった我々はもう戻れないというか、インパクトが薄くなってしまうのはやむを得ないところです。「Chiki Chiki ワッショイ!」とか「あたたたたーた、ずっきゅん!」とか「キツネだお」とか「リン♪リン♪リン♪」とか「ヨン!ヨン!」とか「ゲソ!ゲソ!」とか「ヘドバン!ヘドバン!バンバンババン!」といった、クセになるような“キラーフレーズ”は前作の方が多かった。

前作はそのフレーズ自体の面白さや配置の妙に感心したものですけど、今回は萌え要素やkawaii!!要素による面白さの追求より、HR/HM部分の完成度の追求に重きが置かれたような気がします。単なるネタ切れだったり、結果的にそうなっただけかもしれませんけど。やはり、コアでディープなメタル方面に接近するのは、プロジェクトの性格(HR/HMオマージュ)や頭脳(KOBAMETAL)の嗜好を考えると、自然なことかもしれないなぁ…とも思ったり。

自分達のあるべき姿を見出して、それを推し進めたような作風。その「姿」ってのは、国内で異色のアイドルとして活動していた時期(ある意味“下積み”と表現してもいいかも)の姿ではなく、海外のフェスに出て、世界中の様々なHR/HMバンドと同じステージに立った現在のベビメタであり、メンバー3人に加えて常に神バンドが一緒という、「異色のメタル・バンド」としての姿なんでしょうね。海外でウケているのはHR/HMの市場でしょうし、その捉えられ方ってのは、激烈なメタルにアイドル的kawaii要素を合わせたというものでしょう、おそらく。
要は、組み合わせの妙。


傑作だと思いますよ。リスナー各々の期待に応えるかどうかは別にして。
結果的には、前作より好きかな。ちょっとだけね。面白さは後退したけど。HR/HMの流儀に則ったカタルシスの演出に素直だし、それが自分の感性に響いてくるからでしょうね。メロディックでシリアス路線の曲で響くものが多いということもありますかね。
ただ、問答無用のキャッチーさや中毒性では前作に大きく譲るんですよねぇ。あ-、あー、どうしようかな……?
あ-、やっぱり、両者引き分けということでお願いしますm(__)m (?)

【お気に入り】
⑦シンコペーション
⑤Amore - 蒼星 -
①Road of Resistance
⑩NO RAIN, NO RAINBOW
⑪Tales of The Destinies

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COMMENT 4

グラハムボネ太郎  2016, 05. 20 [Fri] 23:26

私は前作の勝ち!

印象的なメロディが多いのがファーストでしたからね。一緒に楽しく歌えるというか(笑)
スーーーメタルは上手いなぁ。

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フレ  2016, 05. 21 [Sat] 08:57

お見事!

EU盤の方が好みなひねくれ者ですが…(笑)。
これまた何度も聴くといろいろとツボにハマってきてですね…、いえ、いいんです。
こんなところでベビメタ愛を公開しません、はい(笑)。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 05. 22 [Sun] 14:33

グラハムボネ太郎さん、

1stほど印象的なフレーズを量産するのは相当ハードルの高いことですからね。

最近のライブは見ていないのでアレですが、SUの(ライブでの)歌唱は初期よりは相当向上しているとの話も聞いてます。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 05. 22 [Sun] 14:42

フレさん、

いや、短いコメントからでも既に(愛が)ダダ漏れになってますから(笑)

聴き込みに値する作り込み具合だと思います。制作陣の執念を感じるというか。そういった真剣さと遊びの要素が今後どうやって両立するか、でしょうかね。

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