MYRATH「LEGACY」


MYRATH「LEGACY」 (2016)

チュニジア共和国出身のプログレッシヴ・メタル・バンド、MYRATHの4thアルバム。5人組のバンドで、シングルGtにKey入りという、STRATOVARIUSKAMELOTと同様の編成です。

2ndと3rdは前から買ってはあった(1st手に入らねぇ!)んですが未聴だったんですよね。つまり、積んでた。で、本作の感想記事を書くタイミングで聴いてみました。
2ndはもうほんと笑っちゃうほど「とてつもなく中近東、限りなくドリムシ」でした。この時点では、ヴォーカルよりも器楽的印象の方が強かったです。プログレメタルにアラビア~ンな雰囲気を塗した感じ。それが、歌唱力向上のおかげもあったのでしょう、3rdでヴォーカル・メロディが強力になってきて、まぁ言ってしまえばDREAM THEATERよりKAMELOTに近づいてきた。「とてつもなく中近東」のまんま。

で、本作。
さらに歌メロを中心に据えた音楽性にシフトしていますね。プログレメタリックな器楽拮抗パートは確実に減っていますもん。…というより、無理なく楽曲の中に溶け込んでいると表現したほうがいいのかな? KAMELO度はさらに上昇、楽曲の中でGtプレイがハイライトにならないことも本家(?)と似てる(笑)。MYRATHの場合は、上手いんだけどそれ(=Gtプレイ)を前面に押し出してない、という感じですけどね。

さらに磨きの掛かったZaher Zorgati(Vo)の表現力が素晴らしいです。「この人、こんなに上手かったっけ?」という疑問が驚きと共に浮かんでくるほど、MYRATHの音楽の中での彼の存在は大きくなっています。ガッツィーにもマイルドにも妖艶にも歌える器用さがとっても良いですね。苦手に思う人がそんなに多くなさそうな声。それでいて影は薄くないし。
ドリムシの名前が出てくるくらいなので演奏陣に不安感は皆無ですが、特にElyes Bouchoucha(Key)の貢献は大きいな、と思いました。また、オケも入れてますけど、アレンジが巧いからか、バンドのロック演奏がまったく負けてないし、むしろ楽曲を引き立てて世界観を濃く演出するための道具として完全に機能してるのが好印象ですね。中近東フレーズの冴え渡りっぷりは言わずもがな。全体的には、個性をしっかり保ったまま格段に洗練してます。バンドの最高作でしょう。

メロパワ系のバンドが楽曲に中近東風のフレーズを導入しようとすると、あまりに付け焼刃的で、単にどんよりとして退屈なミドルテンポの曲が生まれがちなんですけど、勿論彼らにそんなことはありません。この自然で絶妙な導入の仕方と、それがしっかりとメロパワ部分と共存、お互いの価値を高めあっている構図は実に美しい。血の為せる業でしょうか? (でも国産バンドが和風のメロディを導入しても付け焼刃的になることはあるよな/笑)
正直、ORPHANED LANDNILEを聴いた時ほどのインパクトは無かったんですが、メロパワというサブ・ジャンルからこういう音が出てきて、しかもそれがヴォーカル中心の音で、かつ一線級のクオリティを備えているってことは喜ばしいですね。

全編に濃厚アラビア~ン・メロパワ砂漠が広がっていますが、個人的にはアルバム序盤と終盤に強力な曲が揃っていると感じました。②Believer③Get Your Freedom Back④Nobody's Livesという流れ。そして⑧I Want To Die以降。
特に⑨Duatのドラマティックな盛り上がりは堪らん。名曲だと思いますね。というか、それ以降、弦を絶妙に絡めながらロマンティシズム増し増しで大団円へ向けて進行する⑩Endure The Silence⑪Storm Of Liesという流れ is YAVAI。

また、私はデジパックの輸入盤を買ったんですけど、国内盤には入ってないボーナス・トラックの⑫Other Sideがとても良いです。サビメロが哀愁全開っす。代わりに(?)輸入盤は、イントロから2曲目の②Believerに以降した瞬間、ブツッと音が途切れる不具合があるけど。


「メロパワ」と表現していますが、疾走曲は無くミドルテンポが中心のバンドなので、ここはやはり「プログレメタル」と表記する方が上手く伝わるのかな、と。どうしても我が国で「メロパワ」というと、スピード感のある曲を思い浮かべる傾向があるようにも感じるので。
まぁ、そんなジャンル分けに関係なく、ドラマティックでメロディックで個性的なHR/HMを聴くことができますのでオススメ。って、もう皆さん既に聴いてるか(笑)
傑作。

【お気に入り】
⑨Duat
⑩Endure The Silence
⑫Other Side
⑪Storm Of Lies
③Get Your Freedom Back
②Believer MVは → コチラ。

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COMMENT 2

DD  2016, 05. 14 [Sat] 12:53

 確かに、全盛期のDream Theater(--をそれというか、人によって分かれるでしょうが、ここでは5thまで)に、民族性を混ぜた音楽ですね。

 ミドルテンポの曲の質の高さは、かなりKAMELOTに近いですね、最近よりでもあり、場合によっては「KARMA」等に近いかも。

 よって、STRATOVARIUS系でなく、先に挙げたような音楽と受け止めて、(来るだろう)liveで聞きこむような姿勢が求められるはず。

 そちらも輸入盤を買った、ということはチュニジア語の歌詞の訳が取れないんですよね、どうすればいいのか?

 こんな感じです。

 お気に入り・・2,5,11

追伸  前UROBOROSのliveの話が出ましたが、今後上木のsolo曲は聞けないんでしょうかね?このころはidentity確立のためやらなかったように感じるのですが。
 かなりの実績を持ってるだけに、きちんと確立されればやれるように見るのですが。

 

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 05. 14 [Sat] 14:44

DDさん、

KAMELOTよりずっと「一緒に歌えるメロディ」という感じはありませんね。ストラトは音楽性でなく単にメンバー構成を説明する為に出してきた例ですが、仰る通り、ライブで一緒に合唱するというよりは聴き入る感じになるかもしれません。多分にムーディですし。
来日してほしいですね。個人的にはラウパが良いですけど。

和訳に関しては諦めてます。(値段的に)背に腹は代えられないというスタンスでw

UROBOROSは実際に現場で観た感じだと、音楽性的にもバンドの指針的にも黒瀬色がかなり濃いので、上木ソロ曲が入り込む余地が無さそうな気もしてます。なので、気分的にも雰囲気的にも切り替えられるアンコールで期待したのですが、それもありませんでしたし……。。
まぁ上木がソロの方も並行してやってくれればいいんですけどね。GIZA時代中心で。

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