島田荘司『星籠の海』

島田荘司_星籠の海_1 島田荘司_星籠の海_2
島田荘司『星籠の海』 (講談社文庫、上・下)

島田荘司の御手洗潔シリーズ、『星籠の海(せいろのうみ)』を読みました。装丁カッチョイイ。
作者によると、「御手洗潔が国内の事件を解決する最後の作品」とのことです。また、同シリーズでは初めての映画化される原作でもあり、玉木宏主演で今年の6月に公開されるようです。

瀬戸内の小島に、死体が次々と流れ着く。奇怪な相談を受けた御手洗潔は石岡和己とともに現地へ赴き、事件の鍵が古から栄えた港町・鞆にあることを見抜く。その鞆では、運命の糸に操られるように、一見無関係の複数の事件が同時進行で発生していた―。伝説の名探偵が複雑に絡み合った難事件に挑む!

織田信長の鉄甲船が忽然と消えたのはなぜか。幕末の老中、阿部正弘が記したと思われる「星籠」とは?数々の謎を秘めた瀬戸内で怪事件が連続する。変死体の漂着、カルト団体と死体遺棄事件、不可解な乳児誘拐とその両親を襲う惨禍。数百年の時を越え、すべてが繋がる驚愕の真相を、御手洗潔が炙り出す!


今までの同シリーズとは、良くも悪くも、違うね。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓



・いつになく使命感を持って「敵」を叩きに行く御手洗。
・本格ミステリというより、冒険小説的趣き。
・いつも以上に不整合やツッコミどころの有無を無視して面白さを追求。

…といった点に違和感を感じる作品かもしれません。
その理由は解説で明らかになるんですけど、当初から映画化を想定して書かれた作品であるとのことです
ですので、起こった不可解な事件の謎に対して終盤でどんでん返しをカマして読者ビックリ!という展開ではなく、登場人物達をアクティヴに動かして現在進行形のスリリングさを前面に出す、という感じが強めですね。
「国内最後の事件」ということですので、御手洗&石岡君のコンビも既に全国的に有名になっているようで、もう最初っから地元警察も2人をVIP待遇ですし。

作者の故郷である福山市、そして瀬戸内海を舞台にしたということが、作品の大きな骨子であり、そこに歴史ロマンを絡めてストーリーを進めるところが、異様に面白いです。おまけに、このシリーズの読者としては、御手洗&石岡君が生き生きと動き回っている様子を目の当たりにして嬉しくなる(それが彼ららしい描写かどうかは置いといて)と共に、(シリーズの時間軸上では)今後こういうシーンは描かれなくなるんだよなぁ…という寂しさも感じたりして、何だか感慨深いのです。
はっきり言うと、本書における殺人を含めたあれこれの事件の真相なんてものは、シマソウ作品の中では大したことのない部類ですから、本格推理モノとして捉えるとイマイチなんですが、シリーズの中の異色の一作として、そして同時に、分水嶺として評価すると、途端に愛おしくなってくる。

いつも通り無理矢理捻じ込んだような諸々のエピソ-ドも御大らしく、忽那とヒロ少年の交流は涙腺にクるし、エピローグで2人が福山を去るシーンは何故か異様に切なくなる。
あぁ、ロマンティック♡


行ってみたいなー、瀬戸内海。鞆。
中国・四国地方は、広島の駅周辺しか行った事ないのよね。

スポンサーサイト

COMMENT 0