BEGGARS OPERA「ACT ONE」


BEGGARS OPERA「ACT ONE」 (1970)

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの1st。
再結成・再々結成を経て2000年代にも作品をリリースしているバンドですが、一般的には70年代の初期3枚が有名でしょうか。

粒子荒めの奇妙かつ不気味なアートワークは、一発でMarcus Keefによるものと分かります。使われている番傘が、同じVertigoレーベルのAFFINITYの1stのものと同じなんじゃないかって話もあるようで。Keefモノの中でもトップクラスの秀逸ジャケだと思いますね。
そしてそれをひっくり返してみると、裏ジャケにはにこやかなメンバーの写真が。絶対コイツらいいひとだろ!と言わざるを得ないなこりゃあ。

クラシック音楽のテーマ・メロを大胆にパクってアレンジし、ハードロック/プログレに仕上げた、力技の勝利的な一枚です。クラシックの引用部分は、名前は浮かんでこずとも知ってる曲・聞いたことある曲のオンパレードなんですが、優美さよりもヘンな熱さと勢いの方が勝っていて、その感触は実にHR的。ドタバタしてるリズム・セクション(下手なわけじゃない)、引き倒すオルガン、目まぐるしいギター・ワークの上に、妙に熱っぽいヴォーカルが乗るというスタイルです。
1曲目の①Poet And Pesant(パクり元はスッペ)が正にその典型で、押しの強いハイテンションで7分強を駆け抜けます。Vo氏、「うぉうぉうぉうぉうぉうぉ、イェー~~イ!」ってゼノン石川和尚か!?っていう(笑)

イェ~イのおじさんかと思わせといて、②Passacagliaでは意外にも思慮を感じさせる叙情的でフォーキッシュな歌メロを歌ったりするんだから、馬鹿にはできない。クラシック・フレーズのインパクトが大きいですが、その下地からは実に英国的な匂いが嗅ぎ取れます。それがいい。

ヘヴィな切り返しが印象的な、でも隙間曲っぽい(苦笑)③Memoryを経て、アルバムのハイライトへ。
④Raymonds Roadはクラシックの美味しいところをコラージュしまくったインストで、恥ずかし過ぎてこんな露骨なパクり誰もやんねーよ的フレーズを12分弱に渡って畳み掛ける様がサイコーです。ドタバタ&力技っぷりにニヤニヤせざるを得ないわけですが、毎回「山の魔王の宮殿にて」のフレーズが出て来るところで吹き出しちゃうんだよなぁ。
これまた12分に及ばんとする⑤Light Cavalry。大作を飽きさせずに聞かせるアレンジ・センスにも光るところのあるバンドだったりします。スピード感ある展開がスリリングな佳曲で、歌い上げるようなVoに違和感を覚え、逆に滑稽に感じたりもしますが(笑)、同時に本作一の勇壮なナンバーでもあったりして、お気に入りです。

⑥Sarabande⑦ThinkはCD化されたときに追加収録されたボーナス・トラックで、当時のシングル曲。尺も短めで勢い重視ではなく、やや薄味ですが、コミカルな色はドタバタ感は堅持。ではサイケっぽさを感じるところも面白い。


洗練とは無縁でクソダセぇんですが、この勢いやひたむきさは全くもって嫌いになれないし、パクッてるだけで(だけ!?笑)それを活かすテクや音楽センスは相当ありますわよ。
名盤だろ。
ヘンテコ名盤。

【お気に入り】
④Raymonds Road
⑤Light Cavalry
①Poet And Pesant
②Passacaglia

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COMMENT 2

kazz_asai  2016, 04. 07 [Thu] 20:07

三文オペラに愛をこめて

発売当時(より少し遅れてですが…)以来「Pathfinder」が終世の愛聴盤なのですが、1st,2ndを聴いたのはCD化された80年代以降でした。
2ndは彼らの作風として妥当と思いましたが、この1stを聴いた時は80年代に流行していたメドレー企画もののⅠ枚かと思って唖然としてしまいました。
でもこの強引な企画も、彼らならではの特質は充分にあらわれていますし、何よりこのセンスの良さが「The Witch」「Pathfinder」といった名曲に、アレンジ力の巧みさが「Macarthur Park」につながったことは疑いがありません。
やはり、3rdに劣らぬ程好きな作品です!

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 04. 09 [Sat] 09:22

kazz_asaiさん、

初めに聴いたというインパクトの大きさもあり、より分かり易く熱い作風の本作を推しますが、私も3rdは好きですね。

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