SERENITY「Codex Atlanticus」


SERENITY「Codex Atlanticus」 (2016)

オーストリア産シンフォニック・メタル・バンドの5thアルバム。
前作「WAR OF AGES」(2013)で男女ツインVo体制のバンドになりましたが、その女性Vo・Clémentine Delauneyが脱退しちゃいまして、本作ではGeorg Neuhauser(2/22、にゃんにゃんにゃんの日生まれの34歳)1人がメインで歌っております。

…ってそれはほとんど前と変わらんか。ツインVoとはいえ、そもそもこのバンドの場合、例えば陰陽座とかNIGHTWISHとかAMARANTHE(これはトリプルだが)とは男女Voの配分や使い方は異なるわけで(ついでに言うと音楽性も違うが)、ヴォーカル・パートをClémentineに頼っている感じはしませんでしたし。じゃあ何と似てるかって言えば、これはもうKAMELOTだ。音楽性も、女性Voの導入の仕方や配分もKAMELOTだ。
本作でもClémentineの代わりに(?)女性Voのゲストが参加している(著名なところではAmanda Somerville姐さん)ので、なおさら「変わってない」という印象は強いです。ただ、さらにGeorgが歌う割合は増えており、女性Voはほんの色付け程度になっていますね。

ということで、変わらぬキャメロティカルな(?)シンフォニック・メタル路線です。KAMELOTほどにはミステリアスでダークではないところも同様。ここらへんの感触は、Georgのマイルドで明朗な声質に依るところも大きいですけどね。
初期は「メロハー+プログメタル」っぽく、3rd「DEATH & LEGACY」(2011)からは現在の路線と、方向性(というか感触)が異なってはいても一貫してハズレ作の無い、信頼できるバンドです。今回もまた期待を裏切らない素晴らしい作品に仕上がっていますね。

レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯をテーマにしたコンセプト作になっている本作ですが、どの曲もコンパクトにまとまっており、歌詞の内容が分からずとも(←輸入盤を買ったはいいけど英語をさっぱり理解しないオイラのことだ)、「優れた曲の集合体としてのアルバム」と捉えて楽しむことができます。めっちゃ聴きやすい。
ただ、コンセプトを意識させないで聞かせることができる反面、聴き手をストーリーにグイグイと引き込んでゆくような問答無用のパワーに乏しいような気もします。自分で楽しむ分には個人的にはマイナスには感じない部分ですが、ここらへんの感覚はこのバンドの立ち位置や人気に少なからず反映されているかもなぁ…とも思ったり。

イントロに続く実質1曲目の②Follow Meはパワフルかつキャッチーなメロパワ曲、続く③Sprouts Of Terrorがメタル部分の激しさとシンフォ装飾の優美さ&劇的さを行き来する振り幅広い曲ということで、アルバム冒頭のツカミはなかなか強力です。ただ、④Iniquity以降は、もっと柔和な空気が支配的ですね。ちと初期を思わせるメロハー・テイストが戻ってきているようにも感じます。
アグレッションこそ物足りないものの、Voの声質に合っている方向性ではあるし、なによりメロディとそれを彩るシンフォの過不足無いアレンジが充実しており、個人的にはKAMELOT最新作「HAVEN」(2015)より好きですね。

優れた演奏者集団でもあるこのバンドですが、本作はそれよりもフック満載の歌メロに魅かれます。演奏が疎かになっているわけじゃないし、むしろあちこちに聴き応えのある器楽パートが散りばめられているんだけど、Georgの魅力を際立たせるかのようなヴォーカル・ラインに自然と耳が行くような作風ですね。
⑤Reason⑧Fate Of Light⑩Spirit In The Fleshあたりのメロディは強力だと思いますが、白眉は⑪The Order。1st収録の名曲Engraved Withinに似た哀感を、丁寧にシンフォニーで包んでめちゃくちゃ美味しく仕上げました的な逸品で、現時点でのこのバンドの最強楽曲ではないかと感じますね。

Georg Neuhauser、ほんと良いヴォーカリストだなぁー。
ツヤのある中音域と、高音域の気持ち良い伸び。耳に優しいジェントルな声質。バラードでの情感も申し分なけりゃ、の感情が高まっちゃう歌い上げ部分ではTobias Sammet(EDGUYAVANTASIA)を彷彿とさせるパワフルさも見せるというアピールっぷり。やるな。

ボーナストラックはどれもバラードですが、出来は本編と遜色無く、特に、ピースフルな空気に満たされる⑫Forgive Meは、これこそがアルバムの締めであるかのような広がりのあるメロディが素晴らしいです。
女性Voとのデュエット・バラードの⑬Sailも◎。


決して派手ではないんだけど、聴く度にジワジワと良さが深まってゆく、そんなアルバム。こういう作品が高い評価を得て欲しいなと思いますねぇ。繰り返し聴きたくなるという点では最高作かも。

【お気に入り】
⑪The Order
②Follow Me
⑧Fate Of Light
⑤Reason
⑫Forgive Me
⑩Spirit In The Flesh
③Sprouts Of Terror

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