AVANTASIA「GHOSTLIGHTS」

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TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA「GHOSTLIGHTS」 (2016)

EDGUYの頭脳にして親分、Tobias Sammet(Vo, Ba&Key)による、“自分の憧れの人達をフィーチャーしちゃった”スーパーグループ的プロジェクト、AVANTASIAの7thアルバム。ジャケかっこいい。

当初は南瓜的キーパー・サウンド(まぁ、いわゆる陽性メロパワ)を標榜していたこのプロジェクトも、広義のメロディックHR/HMに路線変更/音楽性拡大してから、しばらく経ちます。むしろ3rd「THE SCARECROW」(2008)以降はそういう路線なので、作品数的にも(プロジェクトの)イメージ的にも、もはやメロパワ/メロスピに縛られるものではないでしょうね。

このプロジェクト、Tobiasが歌ってほしい人を念頭に置いた上で曲作りをするのか、(既にある)楽曲に合ったヴォーカリストにオファーするのか定かではありませんが、まぁどっちの手法でも成功しちゃいそうな気はしますね。彼ほどのソングライティング能力があれば前者の方法でもイケるでしょうし、今のAVANTASIAほどの知名度・ステータスがあればたいていのHR/HM畑の人は喜んで仕事受けそうだし。勿論、個々のスケジュールの問題はあるでしょうけど。
まぁそんなわけで(?)、ゲスト・ヴォーカリストの長所を活かしきった楽曲群が最大の武器であり特徴でもあるプロジェクトなので、その顔ぶれを見れば、どんな作風かはある程度予想できます。
今回のゲストVo陣は ↓
 Jorn Lande
 Michael Kiske (UNISONIC)
 Dee Snider (TWISTED SISTER)
 Geoff Tate (ex:QUEENSRYCHE)
 Marco Hietala (NIGHTWISH)
 Sharon den Adel (WITHIN TEMPTATION)
 Bob Catley (MAGNUM)
 Ronnie Atkins (PRETTY MAIDS)
 Robert Mason (WARRANT)
 Herbie Langhans (SINBREED)


うぉ、Jorn Landeがいるッ!
これ、大きなポイントでしょうねぇ。前作「THE MYSTERY OF TIME」(2013)がちょっと薄味だったのは、彼の不在も原因だったと思っているだけに、これは朗報。事実、本作でもJornの歌唱があちらこちらでグッと曲を引き締めているのを感じますし。

で、このゲストVo陣。お馴染みの人もいれば“新顔”の人もいますが、この人選、どう考えても今までの延長線上にある作風でしょ?
まるでMEAT LOAFのような明るさと大仰さとミュージカルっぽさを持ったオープナー①Mystery Of A Blood Red Rose(Tobiasの歌いまわしにMAGNUMっぽいところもあるね)から、これまたミュージカル的な②Let The Storm Descend Upon Youへと続くアルバム冒頭からして、それが如実に現れています。は、次々と歌い手が登場しては物語を紡いでゆくというAVANTASIA流の大作(12分超)で、かなりの聴き応えがあります。必殺パターンといっても良いでしょうね。ここでもJornがええ仕事してまっせ。

前作でちょっと薄めだった「絶妙なキャスティング感」は、かつてのAlice Cooper的役割を担っているようなDee Sniderをフィーチャーした③The Haunting(捻ったメロディが絶妙)、Herbie Langhansのディープな声が良いアクセントになっている⑥Draconian Love、民族音楽風メロディがもろにNIGHTWISHしてる(笑)パワフルな⑦Master Of The Pendulum(VoはMarco Hietala)あたりで炸裂しております。御大Bob Catleyが歌う⑫A Restless Heart And Obsidian Skiesも流石の出来。
挙げた曲はどれも良いですが、個人的にはに特に魅かれましたね。THE 69 EYESのJyrki 69とTHE CULTのIan AstburyをミックスさせたようなHerbieのVoが、TobiasのVoと上手く対比していて最高。あれ、SINBREEDの人ってこんな声だったっけ?こんな色気と熱さを同居させたような歌い方出来るんだ?って驚きました。

AVANTASIAといえばMichael Kiskeということで、メロパワ色の強い2曲でその伸びやかな美声を披露しています。
タイトル・トラック⑤Ghostlightsは最近なかったほどのハイトーンを連発させる曲で、Kiskeファンは悶絶モノでしょうけれど、サビが高音域過ぎるからでしょうか、哀感があまり生まれていないように感じられるのが残念です。その(個人的)マイナス点を大きく上回るほどポジティヴな空気に包まれているし、間奏からラスサビに向かってどんどん盛り上がってくるところはなかなか凄いんですけどね。ここでのJornの歌うパート、ほんとちょっとしか出てこないんだけど、とても効いてますね。

そういえば、この⑤Ghostlightsに限らず、間奏の充実は作品全編に渡っており、Sascha PaethにしろBruce KulickにしろOliver Hartmannにしろ、「ソロイスト」ってイメージの人はいないのに、どの曲も印象的できちんと構築されたメロディ展開を聴くことができます。それほどテクニカルではないものの、うまくスリリングな感じを演出できてるし。歌メロに繰り返しが多いので飽きがくる陽性メロパワの⑨Babylon Vampyres(曲も7分とやや長め)も、役者が入れ代わり立ち代わりの間奏は聴き応え十分。
余談ですが、Bruceが今GRAND FUNK RAILROADに在籍してるってのは驚きましたね。

Kiske曲では、私はちょいメロハー的感触もある⑪Unchain The Lightの方が好きですね。KiskeとRonnie AtkinsのVoが、「清廉 vs ガッツィー」みたいに曲の中で上手く使い分けられており、素晴らしい効果を上げています。2番サビ後のブリッジ(Kiske)~間奏~ラスサビへと至る流れがすんげーワクワクします。良曲。


毎回、このプロジェクトに対する要求水準は高くなりがちですが、まぁTobiasだったらこれくらいは作るよねというレベルでの予定調和な作品であり、安定感があります。ゲストVo陣の個性と曲の相性はいつも通り良好で、そこが強みであると同時に、意外性を感じないゆえの面白くなさでもある。
Geoff Tateがウネウネとスローテンポで歌い上げる奇妙な社会派チューン(←雰囲気のみで判断w)④Seduction Of Decay、Sharon den Adelの美声が曲のレベルを一段上げてはいるものの実はそれほどメロディが響いてこない⑧Isle Of Evermoreは、肩透かし気味に感じた楽曲でした。は無意味に長いし。

まぁあれこれ言いつつも圧倒的に高品質な作品なんですけどね。前作よりはずっと魅かれますし、傑作と言ってよいかと思います。
ゲストVo陣のことにばかり触れましたが、勿論Tobiasはどんなタイプの曲でも、そして“相方”が誰であっても、素晴らしい歌唱を聞かせてくれています。

【お気に入り】
⑪Unchain The Light
⑥Draconian Love
②Let The Storm Descend Upon You
⑤Ghostlights
③The Haunting
⑦Master Of The Pendulum
⑫A Restless Heart And Obsidian Skies

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