MEGADETH「DYSTOPIA」


MEGADETH「DYSTOPIA」 (2016)

ANGRAのKiko Loureiro(Gt)とLAMB OF GODのChris Adler(Dr)を迎えた、15枚目のスタジオ・アルバム。2人共、正式メンバーではあるものの掛け持ちのようですので、「元」の冠詞は付かないんですな。今後どうなるか分からないですけど。特にKikoな。
ジャケがMEGADETHらしからぬ 今までにないほどのクールさですな。インパクトでは5th6thに譲りますが、映画のワンシーンのようにスタイリッシュかつストイックで、なかなかカッチョいい。

『LOUD PARK 15』のレポでも書いた通り、私はDave Mustaine(Gt&Vo)の相方、というか手下のギタリストとしては、Chris Broderickが好きなんですな(マーティさんの復帰は望むべくもないし、手下感が無いので無視)。彼の凄みが爆発した「ENDGAME」(2009)は緊張感漲る力作で、2000年以降の作品の中ではダントツの出来だと思いますが、次の「TH1RT3EN」(2011)で急激に失速(と感じた)、前作「SUPER COLLIDER」(2013)に至っては前評判の悪さから購入していないという現状です。Broderick期の作品が好きというより、正確無比に弾きまくる彼のギタリストとしての資質が好き、という意味合いですかね。

で、本作。
新メンバー2人の加入がMustaineに刺激を与えたのか、それとも彼自身の踏ん張りなのか、それともたまたまなのか(笑)、新鮮な空気を感じますね。特別なプラス・アルファ要素は無く(強いて言うと、Kikoの音楽的背景を生かしたインストの⑧Conquer Or Die !くらいか?)、今までの作風を総浚いしたようなところがあり、スラッシュ・メタルたる攻撃性と緊張感、それとメジャー・バンドたる安定感・威厳みたいなものを上手くバランスさせたよう。そのやり方が上手いのか、「こういうのやっとけばお前たち喜ぶんだろ」的なあざとさは感じませんでしたね。Mustaineの持ち味、そして新メンバーの持ち味が自然と、かつ嫌味無く表出している印象。

冒頭の3曲がなかなか強力です。
Gtが小気味良いほどに駆け巡る①The Threat Is Real、イントロ・リフを筆頭にメロディックな印象の強い良曲②DystopiaHangar 18を思わせる終盤の掛け合いGtはあんまり面白くないけど)、矢継ぎ早に吐き出す早口Voとリズムの妙がクセになる③Fatal Illusionと、ツカミはばっちり。

④Death From Withinあたりから歌メロが弛緩してきて、⑩The Emperorでそのヌルさは頂点に達するんですけど、各曲、急に切り込んでくるGtソロがあるから油断できないし、ソロだけに限らず、アイデア豊富なギター・パートが大きなハイライトになっています。個人的にはほとんどギターを聴くためのアルバムという認識ですね。

「きちんと統制されているんだけどスリリング」というのは、本作の特徴かなーと思います。あんまり勢い任せではなくって、クレバーな意識の下にコントロールされているのを感じます。ギターも弾きまくってはいますが、暴走気味ってわけじゃないし、AdlerのDrはエクストリーム・メタル的視点ですんげーっ!て感じるプレイは無い代わりに、実に気持良く鳴っている。
あえて呼吸できるような隙間というか、余裕を感じさせる音像からは90年代後半の作品群に通じる空気があるような気もしますね。神秘的なムードを放ち、妖艶にうねる⑦Poisonous Shadowsはその代表的な曲でしょうか。この曲、歌メロもアレンジも好き。
反面、奇妙奇天烈な展開や破天荒さはありません。なので、おとなしい作風と捉える人もいるでしょうね。

ボーナス・トラックが入っているヴァ-ジョンが色々とあるようですが、私が買ったのは一番シンプルな、⑪Foreign Policyで終わるもの。この曲は米国産パンク・バンド、FEARのカヴァーですが、ここのVo&GtのLee Vingは、Mustaineのサイド・プロジェクトだったMD.45で一緒だった人ですね。METALLICA「GARAGE INC.」に入ってても違和感の無いような、キャッチーでラフな勢いのある曲で、このアルバムに入っているとなかなか新鮮。


「ENDGAME」以来の力作だと思います。相変わらずMustaineの声は好きじゃない私ですが、ギター耳としては大いに楽しめますので。Chrisもいいけど、Kikoもね。
インタビューを読む限りでは、今後はKikoのインプットが増えそうな感じもします(バンドにとってプラスかどうか分からんが)し、Mustaineもなんか手下じゃなくて相棒として扱ってくれそうな感じ(これまたバンドにとってプラスかどうか分からんが)。

【お気に入り】
②Dystopia
①The Threat Is Real
⑦Poisonous Shadows
③Fatal Illusion

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COMMENT 3

ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 03. 03 [Thu] 19:08

非公開でコメントいただいた方へ、

こちらこそ、いつもありがとうございます。
温かいお言葉に勇気をいただきました。
これからも宜しくお願いいたしますm(__)m

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DD  2016, 03. 04 [Fri] 19:03

Kikoってどこまで持ちますかね?ずっといる(場合によってはそれもありかも。ただし、最長で持ったalbum数が、G.で4~5枚、Dr.で4枚となるだけに、どうなるか)可能性もあり得ますが、相手が気分で(そこまで短気でないですが)変わりうる、かつ1人でほとんどやれる人だけに、気になります。

 これは久方にいい作品ですね、作風としては、「System Has~」・「Rust~」に「Countdown~」等のメロディセンスをまぶしてる感じがしたのですが。

 声はもう聞きなれました、かなり作品を聞いてること等で。(いいかどうかわかりませんが)

  来日時、このline-upで来るか1つの焦点になりそうですね。(もし来るならついでにLamb Of Godもつれてきてほしいもの)。

 お気に入り・・1、2、6、9

追伸  DTってM.Portnoyを切ったのは大きな損失だったのでしょうか?この2作品は一部を除いてかなりクオリティが下がってる気がするのですが。
 もしPortnoyがいたら、最新作は1枚に収まり、かつきちんとまとまったものになったはず(今のDr.も悪くないですが、かなり前に一緒に仕事してたNuno(EXTREME)が言うには「こういうのはやりなれてないのでは?」という見解でしたが。)

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 03. 06 [Sun] 21:02

DDさん、

そうなんですよね。ANGRAを知ってる人からすれば「あのKikoが!」ってなりますけど、Mustaineは彼のキャリアをしっかり把握してリスペクトしているわけじゃないでしょうし。個人的にはこのバンドにはKikoでもKikoじゃないくていい、って感じでしょうか。

マーティ期のメロディと似た雰囲気は感じます。

次回の来日こそは正式のメンバーで来ないと、なんか間に合わせのバンドっぽくなっちゃいますね。Mustaineが居れば成り立つとはいえ。

今のDTはちょっとはっちゃけた所が無いというか、こじんまりまとまり過ぎなきらいはあるように思います。質は高いけど、あんまり面白くないというか。
マンジーニはめちゃくちゃ巧いと思います。ただ、正確過ぎるというか、これまた破天荒さに欠けますね。DTをロックミュージックとして捉えると。

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