ダニエル・フリードマン『もう年はとれない』

ダニエルフリードマン_もう年はとれない
ダニエル・フリードマン『もう年はとれない』 (野口百合子 訳、創元推理文庫)

87歳の元刑事が主人公という“爺さんハードボイルド”的な話題作(だった)、ダニエル・フリードマンの『もう年はとれない』を読みました。因みに、同シリーズの2作目の『もう過去はいらない』も、このミス2016年版の6位にランクインしてます。

捕虜収容所でユダヤ人のあんたに親切とはいえなかったナチスの将校が生きているかもしれない ―― 臨終の床にある戦友からそう告白された、87歳の元殺人課刑事バック・シャッツ。その将校が金の延べ棒を山ほど持っていたことが知られ、周囲がそれを狙ってどんどん騒がしくなっていき…。武器は357マグナムと痛烈な皮肉。最高に格好いい主人公を生み出した、鮮烈なデビュー作!

なかなか面白い。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓

この作品(シリーズ)の肝となるのは、主人公バック・シャッツの人物造形なんでしょうけど、それが
爺さんだけど驚異的な身体能力!
…じゃないところが良いんでしょうね。
自身の体調や病状、そして進行しつつある認知症の症状を冷静に受け入れながらも、場所を問わずにどこでも煙草プカプカ、誰彼問わず憎まれ口を叩く、という。
小説で読む分にはなかなか爽快な主人公像だったりしますが、現実にこんなジジイが自分の近くにいたら迷惑極まりないわけで。つーか、私の最も嫌いなタイプだわこういう奴(笑)

バックの一人称語り、それと呆け防止にと医者から書くよう勧められた「記憶帳」の手記によって進行する物語。その語り口が上手いからか、すんなりと読むことができます。訳者の丁寧な仕事のおかげでもあるはず。
事件に関係する人物がそれほど多くない上、読者に謎をちらつかせてグイグイ引っ張ってゆく力には少々乏しい為、ミステリ的にはそれほど面白みはないです。ただ、息子を亡くしたバック、そして父親を亡くした孫のビリーという2人登場人物による冒険譚として読むと、各シーンで互いへの敬意と軽視が微妙な距離感を以って行きつ戻りつ&つかず離れずする様子の機微が上手く捉えられており、読ませますね。また、年齢差によるギャップの妙にニヤリとさせられる場面もあるし。

お気に入りの作家、までは行かないけど、続編は読んでみたいです。

スポンサーサイト

COMMENT 0