GALNERYUS「UNDER THE FORCE OF COURAGE」


GALNERYUS「UNDER THE FORCE OF COURAGE」 (2015)

国産テクニカル・メロディック・メタル・バンド、記念すべき10枚目のオリジナル・アルバムです。
ジャケのことにはなんか触れたほうがいいですか?
あぁそうですか。ではスルーします。

なかなか豪華な装丁のケースに収められたブックレットには、
 なんで世界はこんなに不条理なんだ!?
 家族のためには戦うしかないッ!
 おおッ、友よ!
 ま、まさか…お前が裏切り者だったとはッ!?
 俺の家族を頼む…、、(ガクッ
 今こそ最後の戦いだー!!

(↑適当極まりない要約スマン)
…みたいなストーリーが、ヘタクソな 荒々しいタッチによる劇画調のやたら熱い挿絵と共に載っています。
そうです、所謂コンセプト・アルバムです。満を持して放つ10枚目がコンセプト作ってのは陰陽座と一緒ですね。

そのストーリー/テーマに合わせてか、明るさは抑えめで勇壮さは増し増しの作風になっています。技巧的にはいつも通りか、より激しくなり(DrのJun-ichi大変そう!/笑)、曲調・感情表現の振り幅は広い。人によっては最高作と評するかもしれません。
これは初期ガルネリ≒ヤマネリウスが好きな人(私だ)には堪らない方向性じゃないですかね?
ヒロイックなガルネリが帰ってきてますわ!

相変わらず、言葉選びに安っぽさを、英詞の乗せ方やアクセントに違和感を感じるものの、その頻度は少し減っているように感じます。それより音楽的充実度が異様に高いので、気にならないというのが正直なところかもしれません。
長い曲だらけで、かつ情報量も多いアルバムにも関わらず、全体像が把握しやすく、聴き疲れしない作品です(まぁピロピロギターはてんこ盛りだから、苦手な人は食傷しちゃうかもしれないですけど)。これは曲数が少なめで、かつ異なるタイプの楽曲を揃えていること、また、各曲の役割と位置付けが明確なためでしょうね。


①PREMONITION
イントロSEと英詞による語り。おらぁワクワクすんぞ。

 -Suite First Movement-
②THE TIME BEFORE DAWN
技巧とメロディが交錯するインスト。歌入り曲の登場まで、ゆっくりと興奮を高めてゆくこの手法は好きですね。その後に来る楽曲がつまんなかったら元も子もないんですけど、本作についてそんな心配は無し。
と共に、単なるイントロダクションに留まらず、このアルバム全体のテーマ・メロディとなる重要なトラックなので、心して聴くべし。

③RAISE MY SWORD
LOUD PARKで先行披露された、オノネリウスらしい王道の疾走曲。この曲が登場するまでスタート・ボタンを押してから6分半が経過していますが、強力な掴みのキラーチューンで興奮は急上昇。最近のガルネリらしい爽やかさもありますが、それよりはヒロイックな熱さと濃厚さが勝る感じですね。

④THE VOICE OF GRIEVOUS CRY
前曲から雪崩れ込むようにして始まるテクニカル・ナンバー。スピーディなのは同様ですが、こちらはさらにプログレメタル色が強く、かつ勇壮さは大幅増量。もう、キメッキメ。サビの歌詞を繰り返し過ぎな気もしますが、知らず知らず口ずさんでいる自分に気が付く始末ですから、まぁ中毒性の高い曲なんでしょう(笑)

⑤RAIN OF TEARS
 I. Reminiscence
 II. Rain Of Tears
 III. Nightmare
 IV. Endless Confliction
 V. Rain Of Tears (Reprise)
YUHKI(Key)作による組曲形式の大作。本作中最も音楽的振り幅の大きい曲でしょう。だって複数の曲を無理矢理くっつけたような強引さがあるし。
第二章?第二幕?のRain Of Tearsはバラードなんですけど、ここでのSHO=小野正利のナイーヴな歌唱が絶品! そうなのよ、ハイトーンばっかり聴きたいわけじゃないのよ。こんなに色気のある歌唱ができるのに、(ガルネリでは)あんまり使わないのは勿体ないと思うんですよね。そこからデスVoの掛け声系コーラスが戦意を発揚するかのような第四章(幕)を経て、再びバラード・パートに戻って厳かに締めくくる8分超。聴き応えたっぷり。

 -Suite Second Movement-
⑥REWARD FOR BETRAYAL
シンフォニックな味付けと、じっくり進軍するようなリズム隊の力強さが映えるミドルテンポの曲。この適度な隙間感がとても心地良いですし、アルバムに起伏を生むための構成上の大きなポイントだと考えます。タイプはちょっと違えども「RESURRECTION」(2010)でいうところのDESTINATIONSにあたる役割かな。
しかし曲は良いんですけど、SHOって「裏切り者め!」とか歌っててもいたって爽やかで、歌詞を反映した主人公の心模様が全く伝わってこないんですよね。これね、小野さんの弱点だと思う。もっと悲壮感を込めてよ。

⑦SOUL OF THE FIELD
YUHKI作。なんとフォークメタルだ。これはクサい。デスVoを絡めながら進行するフォーキッシュな歌メロも悶絶モノながら、間奏がまた凄い。まずViolinが乱舞して驚かされたと思いきや、キメの連続の果てに超メロディックで泣きまくりなGtソロへと突入。この狂おしいまでのチョーキングこそSyuだと、膝を打ちます。打ちまくりです。首位打者です。打撃王です。
クサメタラー嗚咽必至のキラーチューン。

 -Suite Third Movement-
⑧CHAIN OF DISTRESS
全編日本語詞による、ど・バラード。美しいピアノをバックに歌い上げるSHOは、これぞ本領発揮という表現力と歌唱力の高さでもって聴かせます(これまでの楽曲でも十二分発揮してたけど)。Gtソロの歌いっぷりも素晴らしいですね。
大団円に向けて深呼吸をするような、そんな感じ。

⑨THE FORCE OF COURAGE
 I. The Sense Of My Life
 II. Dream And Reality
 III. Just For The Faith
 IV. Pray To The Sky
14分超のランニング・タイムになる、物語のクライマックス。がもろに「組曲です!」という構成で“章”毎にガラリと印象が変わっていたのに対して、こちらも四つに分かれてはいるものの、ごく自然に流れるように展開してゆくのが特徴でしょうか。
ほぼ同じ長さの大作であるAngel Of Salvation(前々作に収録)は、個人的には無駄にクソ長ぇなぁと思ってますが、この曲は長さに必然性が感じられます。まったく無駄なパートが無い。ストーリーに沿った歌詞の存在や、ここに辿り着くまでの曲が醸造してきた感情の高まりがあってこそですけど、それを差し引いてもこの構成力と情景描写の巧みさは物凄いですね。
戦場に吹く風を感じさせる疾走感と決意に満ちた必殺級のサビメロを持つ第一章と、戦いの熾烈さを表現するかのようなインスト陣の拮抗が味わえる第二章を経て、感動は第三章で頂点に達する。

11:20。
ラスサビ後、さらに速度を増しながら突入する大サビ。

Now we are completely invincible
We are united, power, (and) force of courage
We'll fight just for reality of this world
We never give up and surely raise our swords
Force of courage...

護るべき者たちを 信じるべき夢に乗せて
散りゆく希望纏い 立ち上がれ未来に向かって
We believe our strength We're one

アァァァアアアアアアアーーーーッ!!

ここで泣いたな。もしかしてガルネリを聴いて泣いたのって初めてかもしれん。
自分にとって熱くなるバンドではあった(特に初期)けど、涙を流させるバンドではなかったので。
1回目が英詞で、繰り返す2回目は日本語詞ってのがまた熱い。
激熱。

そして、分厚いクワイアに彩られた最終章=第四章にて再びテーマ・メロディへと回帰する…。
諸君達に問ウ!円環構造は好きか!?
はい!好きです!!

またラストの歌詞が、「we'll raise our swords, and raise our flag...」だなんて、泣かせるじゃあないですか…、、 ゚・。(。/□\。)。・゚


必要以上に複雑なストーリーとアルバム構成にしなかったことは、本作が傑作たりえる前提条件だったんじゃないですかね? とまれ難解になりがちなコンセプト・アルバムにおいて、この明快さと分かり易さは実に貴重。「分かり易さ」というのはガルネリの大きな特徴であり強みなんじゃないのか。そういう再認識をしました。
めっちゃ技巧的であることが分かる技巧に、ツボを得た曲展開に、呼び起こしたい感情にぴったり合致したメロディ。バンドのイメージ創出についてもしかり。本作のストーリーにしても陳腐さと表裏一体のものだし。テーマは安っぽくないのに、語り口が俗っぽい。
でも、それがいいのよ。いや、ほんと。これでも褒めてるんです。凄いってことがちゃんと聴き手に伝わるってのは大切なことだと思いますよ。

バンドの歴史を総浚いするかのような素晴らしい作品を届けてくれましたね。
感激しました。
紛うことなき傑作。

【お気に入り】
強いて挙げると、
⑨THE FORCE OF COURAGE
⑦SOUL OF THE FIELD


主人公の家族が「労働奴隷」から解放されて一般市民の称号を得られたのかどうか、気になって気になって、眠れません(笑)

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COMMENT 8

ピッペン  2016, 01. 12 [Tue] 21:19

おおおおおっっ!!

先生、気に入って頂いてありがとうございます!
GALNERYUSイチオシ歴がながい私の中でも、これは傑作でございます!

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かつ丼  2016, 01. 12 [Tue] 22:20

 ヤマネリウスもオノネリウスも好きなのでこの方向性は大歓迎です(次作で作風が変わるとは思いますが...)
全体で5回ぐらいしか聞いてないですが現時点で傑作かもしれません(思い入れなどを除けば)
M3,M7,M9がお気に入りです‼


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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 01. 13 [Wed] 20:08

ピッペン先輩、

お礼を言われる立場にはありませんが、どういたしまして(笑)
本作は、歴代オノネリウスの作品の中でもかなりの手応えを感じましたね。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 01. 13 [Wed] 20:11

かつ丼さん、

そうなんです!次作でまた変わりそうな匂いはプンプンしますよね(笑)
まぁそれまではこの傑作を楽しみたいと思います。

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DD  2016, 01. 14 [Thu] 19:35

 前の感想での取り上げた作品はATRのについてです、ここに記します。(ちょこっと~でのです。)

 これはかなりすごい作品ですね、このスケールはなかなか出ないので、次作でこれの流れみたいなのが出ても、責められないのではないでしょうか、と気になるのですが。

 聴きやすさは歌メロをできるだけシンプルにしたものですかね、インストはかなり緻密に練ってる印象を受けたので(下手すればQueensrycheの「Operation:~」ぐらいの練り方をしてるかも)。

 しかし、これを完全再現するらしく、それ以外のliveの選曲はかなりもめそうな感じもするのですが。何せやるべきだろう曲がかなりの数になってるでしょうし。

 その後でも、ここからはやってほしいとは思いますが。

 全体が強力なので、今回はお気に入りは簡略します。 

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 01. 18 [Mon] 22:06

DDさん、

補足コメントありがとうございます。

いやー、個人的には久々にガッツポーズもののガルネリ作品でした。次作もこの作風を踏襲してくれても一向にかまいません(笑)

確かにインストは凝ってますね。ただその配置の仕方と、(仰るように)歌メロとのバランスが奏功したのでしょうか、決して敷居の高いものにはなっていないのは素晴らしい点だと思います。

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matrock  2016, 01. 23 [Sat] 17:30

9曲目

ストラグルに繋がっていく空気がありますよね。次作はどういう風になっていくのかなと気になるところですね。なんか小野ネリウスとしてはやりつくしてしまった感がなくもないところが気になるところでもあります

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 01. 24 [Sun] 15:20

matrockさん、

確かに。仰る通り、1st、もしくは2ndの空気ですね。

やりきった感のあるコンセプト作の後ってのは作り手としても大変でしょうね。YUHKIの得意そうなプログレ/アナログ色をさらに強めるとか?

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