KING CRIMSON@Bunkamuraオーチャードホール(12/9)

KING CRIMSON 『THE ELEMENTS OF KING CRIMSON TOUR IN JAPAN 2015』 Bunkamuraオーチャードホール (2015/12/9)

深紅の王、KING CRIMSONのライブを観てきました。
追加公演2つを含めた、全6公演のBunkamuraオーチャードホールでの東京公演、その3日目です。私が行くのは1日のみ。セレブ系・ガチ・プログレッシヴ・オジサマは“(東京)全通”とかしちゃう人もいるのかもしれませんが、私にとってチケット代15,000円で複数公演に行くのはとても無理ッス。しかも、Robert Fripp翁(Gt)を擁するクリムゾン「本隊」としては、これが最後の来日公演になりそうな気もするので、Diving from the stage of KIYOMIZU-TempleなfeelingでTicketをGetしたんだZE!
因みに、一般発売日にチケット・ガイド分は瞬殺。私はその翌々日くらいにBunkamuraのチケット・カウンターで直接買ったんですが、席の位置を確認しながら購入できたので良かったです。まぁ結局は追加公演が決まりましたけどね。

RODRIGO Y GABRIELAの時以来のオーチャードホールかな。何故かRYGの時よりホールが狭く感じられますね。私の席は1階席後方ド真ん中で、ステージまで距離はあるもののかなり観やすい位置です。席に着いて周りと見回すと、バンドのキャリア/ファン層/チケット代等々からも類推できるように、年配の方が多く私が最年少くらいの客層。女性客は赤い服をお召しの方が多いですね。

事前にcreativemanからも「注意事項」の発表があった通り、観覧や写真撮影のマナー/ルールについて会場側の周知徹底っぷりはかなり厳格な感じ。非常にセンシティヴな雰囲気で、演奏始まる前から緊張するというね。勿論自分の行動についてではなく、こういう諸注意に耳を傾けない愚か者がいたらどうしようというヒヤヒヤ感なんですけど。なんせFripp翁がヘソ曲げたら大変だからな。


クリムゾン関連のライブで言うと、私は「本隊」を観るのはこれが初めてです。21st CENTURY SCHIZOID BANDは1回、THE CRIMSON PROJEKCTは2回観にいきました
クリムゾン初期メンによる前者の、2002年に新宿の厚生年金会館ホールで観た初来日公演は、私が今までに観たライブの中でも最も感激したものの一つです。あのバンド(プロジェクト?)は所謂「懐メロ・バンド」であり、それはGiles兄弟やMel Collinsがいたというのもありますけど、Ian McDonaldの存在がデカかったように思います。彼がいたからこその初期クリムゾンの再現/再提示だったように感じたものです。で、そのメンバーの中からは、Jakko Jakszyk(Vo&Gt)とMel Collins(Sax)が合流(Jakkoの奥さんってMichael Gilesの娘なんだってね)。
後者の「PROJEKCT」からは、Tony Levin(Ba,Stick&Vo)とPat Mastelotto(Dr)が参加。
そして今回の「本隊」には勿論、Robert Frippがいる。それゆえの「本隊」、KING CRIMSON名義なんでしょうし。かつ、現行ラインナップの最大の特徴として挙げられるのは、トリプルDr編成であること、でしょうね。

来日メンバー、というか現行クリムゾンのメンバーをおさらいしておくと、
 Robert Fripp (Gt)
 Jakko Jakszyk (Vo&Gt)
 Mel Collins (Sax)
 Tony Levin (Ba,Stick&Vo)
 Pat Mastelotto (Dr)
 Gavin Harrison (Dr)
 Bill Rieflin (Dr)

…と、なります。

ステージ上の配置は、前方にドラムセットが3台並び、後方に弦楽器陣が位置取るという特異なもの。見た目からしてトリプルDr推しであります。Drはステージ下手側から、Pat → Bill → Gavinの並びです。セットの大きさ・機材点数の多さはPatが一番、Billが最もこじんまりしていますね。
後方の壇上は下手側より、Mel → Tony → Jakko → Robert、の並び。

定刻19:00を10分ほど過ぎたところで諸注意事項が日本語と英語によって放送され、大歓声と共にメンバー入場。私、それほど熱心なファンでもないのに、Fripp翁の深々とした丁寧なお辞儀だけで感極まりそうになりましたね。挨拶が終わると、さて一仕事だと言わんばかりにジャケットを脱いで掛ける(つまり、最初の挨拶の為だけの正装)んですが、その一連の動きだけでなんだか英国紳士っぽい気品が溢れ出ていて、もう嬉しくなってしまいます。

Melのフルートの手遊び的フレーズから幽玄なPeace - An Endへ。そして21st Century Schizoid Manの弟的なPictures Of A Cityが爆発する。私としてはほとんど理想のオープニングです。
予習がてら、日本に来る前のツアーのセットリストをザッと眺めてみましたが、主軸となる楽曲はあれどちょくちょく曲を入れ替えていました。東京公演の1日目と2日目にしてもそうで、初日はLarks' Tongues in Aspic, Part Oneで始まったし(これが基本パターンかな)、2日目のオープニングはPeace - An Endからなんと21st Century Schizoid Manへ繋げるというサプライズでした。この必殺曲をこの位置で使ってしまうのは勿体ないような気もする(美味しいものは最後派)ので、Pictures Of A Cityで良かったです(笑)。

この開始2曲の時点で、既に驚愕モノのステージが繰り広げられました。
まず、音響がとてつもなく素晴らしい。私の観ていた位置が音響的に優位な場所だったこともありますが、ステージ上に7人いて、しかも3人は打楽器だっつーのに、それぞれの音が綺麗に分離してる。メンバー全員の貢献が手に取るように分かり、かつ刺々しさの無い耳に心地よい音。それでいて緊張感は漲っている。そして音量は適度にコントロールされて全くうるさくない。
豪快な音で繊細に楽曲を練り上げてゆくというか、なんつーか、冷静にクライマックスを作り上げてゆくバンドのアンサンブルがとにかく凄い。力技ではない凄さと言いましょうか。もうね、感激して「うぉーーッ」とか声が漏れちゃいそうになるんだけど必死でそれを我慢してるワタクシですよ。徐々に熱を帯びるインスト・パートのラストの方では、これはとてつもない体験をしてるんだな、との実感が押し寄せてきて、鳥肌が立ちましたね。

そしてこの序盤にして、悲哀の悶絶シンフォニック・キラーチューン、Epitaphが続くんだから深紅の王は卑怯極まりない。メロトロンを中心にした諦念渦巻く演奏をバックに、Jakkoの悲痛な叫びが突き抜けて、もう昇天
感涙こそ我が墓碑銘。


ステージまで距離があったのと管理人の視力の悪さ&観察眼の無さから不確かな部分も多いですが、メンバー毎の印象を書いておきます。
★Robert Fripp (Gt)
・ヘッドフォンをしてストゥールに座ってプレイ。
・主にリフと、ホワンホワンしたムード演出的プレイを担当。
・こんなに正確無比に弾けるんだ!と驚愕。
・時々目の前のサンプラー?を操作。
・喋ったりはしないものの、ご機嫌麗しゅう。
・物腰がマジで紳士。もしくは博士。学者紳士。

★Jakko Jakszyk (Vo&Gt)
・声の張り、21stCSBの時から衰えず。絶品。
・Greg LakeやJohn Wettonより気品はないが、“今にも泣き出しそう”度では上(?)。
・彼の存在ありきの初期ナンバー。ありがとう。
・運指がスムーズだからか、指の動きが小さいからか、何弾いてるか分からない場面多し。
・でもフレーズ的にはかなりの活躍。

★Mel Collins (Sax)
・なかなか特徴的な容姿の人だが、物腰は穏やかな紳士。
・Frippに次ぐ英国紳士的気品。
・彼のSaxがバンド全体を柔らかく包み込み、その効果は絶大。
・メロディ的に美味しいところはだいたいMel担当。

★Tony Levin (Ba,Stick&Vo)
・ハゲ&ヒゲ。
・通常のBaとスティックと電子コントラバス?、一部楽曲ではVoも担当。
・足を開いて立ったアピアランス、動きが一番ロック・ミュージシャン然としてカッコイイ!

★Pat Mastelotto (Dr)
・Drだけにとどまらず、様々なサウンド・エフェクトも担当。
・小細工染みた効果音も担当(それがめっちゃ有効なんだ)。
・自由自在っす。すげぇ。叩き方もかっこいいのよね。
・パーカッショニストって感じ。

★Gavin Harrison (Dr)
・PORCUPINE TREEの人。 イケメソ。
・一番ドラマーらしいドラム・プレイだったかも。
・手首の動きがめっちゃ柔らかくて、ビビった。

★Bill Rieflin (Dr)
・白髪。
・マルチミュージシャン。
・NINE INCH NAILSとかMINISTRYとかR.E.M.とか。
・シャープなドラミング。
・シンセも担当、専任Key奏者のいないバンドなので大活躍。特にメロトロン。


各楽器が綺麗に分離した音響については上で触れましたが、特にトリプルDrのそれに関しては、会場の音響のみならず、ドラマー3名の役割分担がきちんと決められている(ように見える)ことも大きいかもしれません。全員が同時に同じようなプレイをする場面はほとんど無く、各セクションがそれこそ一音ずつ誰が叩くか決まっているような緻密さ。三位一体の爆発力ではなく、3名、もしくは2名(Billはシンセをプレイしている時も多かったから)がそれぞれの個性を表出させながら、時に親密に絡まり特によそよそしく並走しながら生み出すノリ、グルーヴこそが生命線。
このトリプルDrのプレイの様子や聞こえ方が、バンド・サウンド全体の印象に直結していたのは不思議でも何でもないです。大体において、この奇異なステージ配置ですから。トリプルDrこそ要。

数学的緻密さとマシーナリーな冷静さを有していながら、かつ、聴き手には一瞬も気を抜けない緊張を要求するようなステージングなんですけど、出音自体はとても人間っぽいんですよね。暖かみも感じる音。これはMelの管楽器類とJakkoのヴォーカルのおかげでしょう。
ポッと浮かんできた言葉は、『人間業じゃない人間業』という謎ワード。

プログレ系のライブに行くと度々感じるのは、「人が凄い」という感覚です。この人の演奏が巧い、この人の歌が巧い、…etc…という。。。まぁプログレなんて技巧的なところが前面に出ることの多い音楽ですから不思議でもなんでもない感覚なんですが、このクリムゾンのステージを観て感じたのは、「曲が凄い」ということ。
勿論個々人の技量にも驚くことしきりだったので「人が凄い」でもあるんですが、それぞれをフィーチャーした長々としたソロがあるわけでもなく、ただ曲を演奏することに注力している(演奏者が曲に奉仕している、と言い換えてもよい)、その姿の美しさから感じたのが「「曲が凄い」ということ。
Fripp翁の言葉だったでしょうか、「ミュージシャンが音楽を演奏するのではなく、音楽がミュージシャンに演奏させるのだ」的なフレーズがあったような気がします(うろ覚え)。正にその言葉通りのことが今、目の前で行われているじゃないか、ということです。「曲が良い」んではなく、「曲が演奏者に奉仕させている構図が凄い」=「曲が凄い」。
こんな感覚、他のライブで覚えたことないよ。


MCは一切ありません。「ロックしようぜ」とか「今夜はパーティーだ」なんて無粋な発言は当然ありません(笑)。曲紹介もありません。
私が熱心なリスナーではないからか、はたまた真っ先にヴォーカルに耳が行く人間だからか、69~70年代の代表曲を除いて、何の曲を演奏してるかさっぱり分からない時間は多かったです。でもそういう時間が微塵も退屈じゃないんですよね。
やはり1974年までのアルバムからの曲が始まると叫びにも似た歓声が起こるんですが、そういう曲はメインテーマ・メロディやヴォーカル・ラインが(KING CRIMSONという文脈の中において)キャッチーなものが多いわけです。それはそれで素晴らしいんですが、スリリングという観点から言うと、90年代以降の楽曲の方が勝っていたかもしれません。
21st CENTURY SCHIZOID BANDのライブでの感動は「あの曲が生で聴ける!」という類のものでしたが、このクリムゾン「本隊」でのそれはちと違います。勿論そういう要素があることは否定しませんが、懐メロ・バンドが音源の再現を目論むのと、真にプログレッシヴなバンドが現行編成における楽曲の再構築・再解釈を提示するのかでは、自ずと印象は異なってきますよね。演奏してるメンバー個々人のことは分かりませんが、クリムゾン「本隊」が出している音楽そのものにノスタルジーは無い。ノスタルジーを感じるとしたらそれは観客の方でしょうし、会場に満ちたムードゆえかもしれません。


日本ツアーでは初めて演奏されたRed、それとLarks' Tongues In Aspic, Part TwoでのトリプルDr全開っぷり。
TonyのスティックとFripp翁のギターのユニゾンのキレ。
Easy Money間奏部での混沌。
ライブが終わりに近づいていることを感じさせるThe Court Of The Crimson Kingのテーマ・メロ。
押し引きを完璧にコントロールさせた21st Century Schizoid Man

本編ラストに演奏されていた、稀代の名曲にして辞世の曲とも言うべきStarlessが、この日はアンコールのラストにプレイされる。背景を濃緑に染めメンバーを暖色のスポットで包んでいた照明、今までのライブ中ずっと変化することのなかった照明が、この曲の終盤で深紅に変わる。ステージは、漆黒と深紅。
なんという神々しさと寂寞感なんだろ。
この時の音と光景の凄みってのは、言葉にすると陳腐になっちゃう類いのものなんだきっと。


「解散」とも「終了」とも表明してはいないけれど、このファンの方を向いた選曲、会場に漂うムード等々を考え合わせると(勿論Fripp翁の年齢のこともある)、バンドの“終わり”を意識してしまうのは致し方ないところです。少なくとも「フリップ・クリムゾン」の旅路ってのは限りなく終わりに近づいてるんじゃないのかと感じます。

こんな凄いライブが繰り広げられ、それを体験できたならば、もう解散・終了しちゃってもしょうがないな、と思う気持ち。
反対に、ここまで独創的で創造的な音楽を奏でることが出来るバンドのキャリアが、ここで終わってしまうのは大いなる損失だ、と思う気持ち。
そんな相反する想いが、KING CRIMSONというバンドを尊く思う気持ちに変わるんだから不思議なもの。このバンドの何者にも似ていない、代わりのきかない「尊さ」に感銘を受けた。
こんな体験は今までに無かったものだし、これからもう一度あるのかも分からん。

<セットリスト>
01.Peace - An End
02.Pictures Of A City
03.Epitaph
04.Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind) I
05.Meltdown
06.Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind) II
07.Level Five
08.A Scarcity Of Miracles (Jakszyk, Fripp and Collins カヴァー)
09.Hell Hounds Of Krim
10.Easy Money
11.Red
12.Interlude
13.The Letters
14.Larks' Tongues In Aspic, Part Two
15.The Court Of The Crimson King
16.21st Century Schizoid Man
ENCORE
17.Devil Dogs Of Tessellation Row
18.Starless


猫の忍び足、鉄の爪、血塗れの拷問台、有刺鉄線、追記。
   ↓


15,000円もするライブなんて複数回行けるわけないじゃないですかー!?

…とか言いつつ、12月17日(木)追加公演のチケットを帰宅途中に買ってしまいました…ww
衝動と勢いに任せて追加公演のチケットを買っちゃうなんて、今までやったことないよ。しかもこんなフェスなみの高額チケット。アァ怖ろしい…。。

ということで、もう一日脳味噌に焼き付けてきます。まぁ99%やらないとは思いますけど、Fractureやったら失神するな。
今度は3階席の1列目なんですけど、大丈夫かしら。オイラ高所恐怖症なのよね。

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