矢作俊彦『引擎/ENGINE』

矢作俊彦_引擎
矢作俊彦『引擎/ENGINE』 (新潮文庫)

矢作俊彦の、一見警察小説かと思わせて実はハードボイルドな、『引擎/ENGINE』を読みました。

高級外車窃盗団を追う築地署の刑事游二の眼前に、その女は立ちはだかった。美しい肢体を晒しながら、銀座ティファニーのショウウインドーに銃弾をぶちかましたのだ。少女のような微笑をたたえながら。そしてダイヤのピアスを盗むと、獣じみた哄笑を残して、消えた。同僚の死、ビル爆破、高級車炎上―。次々と凶事に巻き込まれる游二が辿り着いた女の正体とは。渾身の傑作長編。

すげぇつまんないなコレ。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓

最初の数ページを読んで感じたのは、「矢作俊彦ってこんな気障だったっけかな?」。

いや、今まで読んできたこの人の作品はハードボイルド物ばっかりだったから頭ン中では分かっているつもりだったし、『マイク・ハマーへ伝言』とか『真夜中へもう一歩』は割りと好きだったんですけど、なんだこりゃ、冒頭からカッコつけ(過ぎ)た表現の文章が鼻につくし、やたら具体的なカタカナ固有名詞(車用語に多し)を並べ立てて作者が悦に入っている様子がビンビン伝わってくるもんで…(苦笑)。う~~ん、私の嗜好が変わったのかしら?
刑事が一般市民に質問する時に「ランチア・テーマ8.32」なんて言葉使わないだろうし、伊勢丹の紙袋を描写するのに「マクミランクラン・タータンチェック」とか書かなくていいから。東京タワーの周りを運転してるだけなのに「ヒール・アンド・トゥ」とかww
私の知識不足ゆえか、耳にしたことも無い固有名詞が頻出(主にカタカナ)して、そういう“一見さんお断り”的な雰囲気が馴染めなかったですね。ズボン、スラックスのことをわざわざトラウザースとか言うのかよ?
散文的で読みにくい、のめりこめない。まずはそんな文体に拒否反応が出かけましたが、情景描写がヘッタクソで何が起きてるかよく分からない場面が多いし、人物の書き分けもイマイチなので、ページをめくるのが輪を掛けて苦行。

ただ、そんなこんなでも、(キャラ萌え派としては)主役級の登場人物に魅力があれば許せるんでしょうけど、そこが最大のガンなんだからもうお手上げッス。
主人公・游二(なんかこの名前も腹立つw)も、凶手の女も、魅力に乏し過ぎる。というか、行動原理が分からず無軌道に暴れまわってるだけ(特に游二)なので、カッコ良さを感じないんですよね。いきなりエッチし始める箇所がやたら多いし。


私にとっては、「作者(もしくは登場人物)の美学に(読者が)酔う」という形の小説ではなく、「自分の美学に酔ってる作者に引く」作品でしたね。
というか最後の最後に思ったのは、「結局コレは車と銃のことについて書きたいだけの小説だったのでは?」

スポンサーサイト

COMMENT 0