BLAZE「DREAM CHASER」


BLAZE「DREAM CHASER」 (2015)

国産様式美HRバンド、BLAZEの2ndアルバム。
以前記事にした通り、前作から11年ぶりのアルバムになります。バンドロゴやブックレットに載ってる歌詞のフォントに1st「DANGER ZONE」(2004)と同じものが使われており、その連続性に嬉しくなりますね。ジャケ写のトーンもシングル「BORN TO BE LONELY」(2006)のそれを引き継いでいるようですし。
というか、「11年ぶりのアルバム」ってのにも驚くけど、もっと驚くのは「11年前は2004年」ってことですよ。え、ミレニアムがどうたらこうたらとか言ってたの、つい先日じゃね!?、みたいな…笑(オッサン)

上で「連続性」という言葉を使いましたが、それは“夢追い人”と題されたタイトルもしかり。新たな音源を作ってバンドの歴史を積み重ねるという行為が、音楽面でも精神的な面でも明確な連続性を以って為された、という風に感じますね。
ゆえに、音楽性も変わっていない。
当然のように。
正に、RAINBOWDEEP PURPLE、そして自身の1stアルバムからの「継承」。

1stがほぼ70年代に作られたマテリアルを基に完成させた作品だったのに対して、本作がそれ(1stリリース)以降にまとめられたものであるならば、マテリアル的にはもしかしたら30年くらい(それ以上?)の開きがある。なのに、まったく雰囲気が変わってない。つまり、今作も古臭い(笑)。
曲によってはより古臭く、ブルージーになってるんじゃないか、という感じがします。全体的にDEEP PURPLE色が強くなってますかね今回は。紫の炎。

このブルージーでパープルっぽい感じはNOBU=増田隆宣(Key)の貢献に依るところが大きく、誤解を恐れずに言えばこれは増田ちゃんのアルバムだ、と。
このBLAZE、メンバーがとんでもない実力者揃いであるためか、全員の貢献がしっかりと感じられるバンドです。強いて言えば、JACK=大石征裕(Ba)はRoger Glover的な立ち位置で、それほど前には出てこないかもしれませんけど。で、にも関わらず、そして多くの曲をSHIGE=池田繁久(Gt)が作ってるにも関わらず、増田ちゃんのオルガンが大活躍することによって、全体的に彼の色が非ッ常ォォオオに濃くなってることは、本作の大きな特徴でしょうね。

冒頭の①DREAM CHASER②ANGEL'S EYE③MARIAからして、実に渋い。本作で最もブルージーでジャジー、地味な流れで始まる冒頭は、豪快かつ味わい深いものの即効性には欠けるかもしれません。私はこのメンバーの演奏と歌唱を聴けるだけで、(曲はどうあれ)ある程度満足できますし、②③のKeyソロなんて絶品なんですけど。

ようやく登場するアップテンポ曲が④MOON RIDER。もうね、オルガンっすよオルガン。この曲だけじゃないですが、ソロが、オブリが、もうキレッキレですよ増田ちゃん!最高! 聴いてると、「それどこで売ってんだ!?」っていうド派手なシャツを着て激しくヘドバンしながら弾きまくってる増田ちゃんの姿が思い浮かびますもん。
演奏の凄みだけじゃなくて、IKE=生沢佑一(Vo)が歌うメロディに絶妙に哀愁が塗してあるところが日本人らしいところで、それゆえにこのバンドはやっぱ信頼できるし、それに見事に応えてくれた新譜だと思いますね。サビの歌詞が異様にマヌケですが、それでいいんです。70年代(志向)ロックなんてそんなもんだ(怒られるか?)。

このアルバム、本編10曲とADDITIONAL TRACKと題された3曲とで構成されているんですが、この本編にアップテンポの曲が少ないです。実質2曲。
ひとつはで、もう1曲が⑨BREAK IT DOWN。前者が明るめのアップテンポだとしたら、聴いたことあるようなリフを持つこちらは、暗い叙情を纏って疾走する曲。本作一の攻撃力を誇り、笑っちゃうほどの興奮を覚えるこの曲が正にキラー。SAMUEL=岡本サミュエル(Dr)のドコドコ・ドラミングも、アグレッシヴな生沢のVoも、ヘドバン必至のかっこよさです。そして長尺曲の中を縦横無尽に駆け巡るGtとオルガンに血沸き肉躍りまくりング。

上記激しめの曲がある一方、叙情的でも抜かりはなく、歌モノ・バラードの⑤MOTHER、インスト・バラードの⑩MISS YOUと取り揃えておりますお客様(どこの店主か)。前者は生沢の歌唱力の凄みと歌メロ&バックのオケの美しさが、後者はギタリスト池田の巧みな表現力がめいっぱい味わえる名演です。

9分越えの大作、⑥THE HALF OF MINEがどっしりとした聴き応えを提供しているのも、構成上のポイント。幻惑するイントロ、ノリが良くキャッチーなリフ、ダイナミックな演奏、メリハリのある構成美、効果的な女性コーラス。様々な要素を無理なく纏め上げた作曲術の勝利でしょう。


<ADDITIONAL TRACK>は「BORN TO BE LONELY」のシングルから2曲に新曲が1曲の計3曲で、所謂ボーナストラックのような収まり方をしていますが、これがあるのと無いのでは大違い。「ADDITIONAL TRACKを聴いてビビりやがれ!」と言いたくなるクオリティの曲が揃っているんですが、この3曲が収録されたことでバンドのエネルギッシュな面が強調されてアルバムが幕を閉じるのでめちゃめちゃ聴後感が良いのです。

⑪BORN TO BE LONELY⑫SARAHは、名曲だって知ってたけどやっぱ名曲。シングルを買った当時の興奮が甦ると共に、改めてここに収められて“再発見”されることを喜ばしく思います。の気品のある曲調と名リフ、ライブDVD「LIVE IN JAPAN 2004」の冒頭で初めて聴いて「何だこの曲は!?」と衝撃を受けた、共にキラーっす。の間奏のKeyとGtの鬩ぎ合いは必聴級&悶絶モノですよ。
そして、「これも名曲かよ!!」とシャウトせざるを得ない終曲⑬HERO ~Justice of my love~。なんでしょうこの哀愁のメロディとHRの旨みを詰め込んだ作曲センス。は増田ちゃんが書いた曲なんですが、演奏家としてだけでなく、作曲家としても一流だと証明するような名曲っぷりですわ。(B'zの曲も増田ちゃんが書いちゃえよw)

からADDITIONAL TRACKに掛けての、このアルバム後半の尻上がりっぷりは至高。本作こそ、2015年最高の尻軽アルバムですよ。(え?)

このアルバムを聴いて思い浮かぶヴィジョンは、ステージでバンドがプレイしてる光景に直結するんですよね。そういう生々しさと躍動感、ロック・ミュージックならではの熱さが封じ込められた音だと思います。そして同時に、(上にもちょっと書きましたが)日本人らしい哀メロと緻密な作曲術を感じさせる楽曲が揃ってます。この“日本人らしさ”ってのはこのバンドの大きな特徴だと思ってまして、RAINBOWDEEP PURPLEのパク…いや、、、オマージュ・バンドだとしても、だいたいにおいて一部楽曲を除いてパープルではこんなメロディックな歌メロは聴けませんしね(問題発言?/笑)。


日本最強のHRバンドによる、繊細な構築性と豪快なエネルギーを併せ持つ稀有な傑作。
名盤、再び。
1stも凄かったけど、それを軽く超えてるわ。

【お気に入り】
⑬HERO ~Justice of my love~
⑫SARAH
⑨BREAK IT DOWN
⑪BORN TO BE LONELY
⑤MOTHER
⑩MISS YOU
④MOON RIDER
⑥THE HALF OF MINE

ほとんどが良いのだよ。

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COMMENT 11

ベイリー  2016, 01. 06 [Wed] 21:03

しっかし、何故このアルバム、値段が高いんですかね。
ただの一枚モノなのに、3780円て…。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 01. 07 [Thu] 20:14

ベイリーさん、

そうなんですよ!高いんですよね!何故か!

予約する時にムムム…とは思いましたが、まぁ躊躇はしませんでした(笑)

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ベイリー  2016, 01. 07 [Thu] 20:36

自分は、絶対に新品では買ってやらん!…と思って、中古で3000円で買いましたよ。中古でも高いし。

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かつ丼  2016, 01. 07 [Thu] 21:03

明けましておめでとうございます。

70年代HRに興味があるわけでは
ないですが
前作のFireや今作のBorn to be lonelyをネットで聴いて気に入ったのですが
値段が高くて手が出せません(笑)
前作も欲しいので尚更高い
これに限らず日本のCDって結構高い気がしますが(笑)

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ランデブ  2016, 01. 08 [Fri] 00:07

いやいや、DVDが付いているわけでもないただの一枚組のCDが税込4000円近くもするって有り得んだろ 笑

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通りたがり  2016, 01. 08 [Fri] 16:26

これ、僕は全体的にはWHITESNAKEって感じがしました。
勿論声とオルガンが大きな要因ですが、曲調も、ブルージーだったりR&Rだったり。
DEEP PURPLEよりWHITESNAKE。
期待していたRAINBOWっぽい曲は殆どなくて。

変な言い方だけど、リッチーがギターのWHITESNAKE。

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通りたがり  2016, 01. 08 [Fri] 17:05

RAINBOWっぽいのが殆どないは言い過ぎでした。
とくに前半がWHITESNAKEっぽいと感じたもので。

というわけで、前半はリッチーが加入した初期WHITESNAKE!
後半は、ジョン・ロードとカヴァーデルが加入したRAINBOWって感じです!

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 01. 09 [Sat] 04:18

ベイリーさん、

この発売日からそれほど経ってない、しかも国内盤で3000円で購入できたのならなかなかすごいですね。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 01. 09 [Sat] 04:22

かつ丼さん、

おめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。
国内のそれほど売れているわけではないアーティストのCDは、ほんと中古でも安くならないですよね。発売して買わないでいると、いつのまにか廃盤、みたいな(笑)

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 01. 09 [Sat] 04:24

ランデブさん、

いやー、有り得ちゃったんですよねこれが(笑)。本作も「ファンなら買うだろ!」って意図が透けて見える価格設定のような気もしますね。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2016, 01. 09 [Sat] 04:30

通りたがりさん、

Voはとてもデビカバっぽいですよね。記事中に「紫の炎」とも記したように、私はパープルはパープルでも第3期の音をぼんやり頭に描いていました。グレン由来の“黒っぽさ”やファンキーなところはそれほどありませんけど。

「前半はリッチーが加入した初期WHITESNAKE。後半は、ジョン・ロードとカヴァーデルが加入したRAINBOW」という表現は、なるほどと感じます。

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