島田荘司『アルカトラズ幻想』

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島田荘司『アルカトラズ幻想』 (文春文庫、上・下)

島田荘司の『アルカトラズ幻想』を読みました。

1939年、ワシントンDC近郊で娼婦の死体が発見された。時をおかず第二の事件も発生。凄惨な猟奇殺人に世間が沸く中、恐竜の謎について独自の解釈を示した「重力論文」が発見される。思いがけない点と点が結ばれたときに浮かびあがる動機 ― 先端科学の知見と奔放な想像力で、現代ミステリーの最前線を走る著者渾身の一作!

猟奇殺人の犯人が捕まった。陪審員の理解は得られず、男は凶悪犯の巣窟・孤島の牢獄アルカトラズへと送られる。折しも第二次世界大戦の暗雲が垂れ込め始めたその時期、囚人たちの焦燥は募り、やがて脱獄劇に巻き込まれた男は信じられない世界に迷い込む。島田荘司にしか紡げない、天衣無縫のタペストリー。


ハッハッハッハッハ!!
そりゃないですよ、御大。

……みたいな感じww


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓

猟奇殺人と恐竜と脱獄と南瓜。
何を言ってるのか わからねーと思うが(ry

「バカミス作家としての島田荘司」を感じさせる要素が前面に出まくっており、過去最高の強引さで以って読者を呆れ返らせる異形作。読んでいてなんとなく思い出したのは、江戸川乱歩の『孤島の鬼』でしたね。ストーリーやモチーフが似ているわけじゃないんですが、「作者が書きたいことを無理矢理全部盛り込んで、強引な展開で結末まで持ってゆく」という点が似ているな、と。

物語は4つの章と解決編であるエピローグから成り、それぞれが作者の書きたかったことなんでしょうけど、よくもまぁこれだけ強引に各章を関連付けさせるな、と(笑)。
MMR的に言えば、

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みたいな感じですよ(笑)

その発想の突飛さには最大限のリスペクトを払いたいと思いますが(私、島田スキーですし)、さすがに強引過ぎてまとまってないだろう、と言いたくなる作品でしたね。
第二章の『重力論文』なんて単体としてはめっちゃ面白い読み物なのに、それが第一章『意図不明の猟奇』での連続殺人事件の動機と結び付けられちゃうと、「ンな馬鹿な!?」となる。

ミステリとしての完成度は低いでしょうね。でも作者自身、「それがどうした?」と開き直ってるような気もするぶっ飛びっぷりなので、もうそれは(苦笑気味に)笑うしかないのかもしれませんなぁw
あと、トリック、というか発想ありきのストーリーテリングに傾斜し過ぎてしまったせいで、(珍しく)島田作品の中ではかなり人間描写に魅力の無い作品だと思います。一番印象に残る人物(達)が、第三章『アルカトラズ』に登場する囚人というのがなんとも…。本筋には関係のない人達ですし。


良い意味でも悪い意味でも、さすが島田荘司おれたちにできない事を平然とやってのけるからシビ(ry、という感じ。

以下のくだりは実に島田節だな、と。

 「何故謝るのだね?きみのせいではない」
 高木は言った。
 「君は戦後生まれだろう?」
 私はうなずく。
 「はいそうです。」
 「では君に責任はないさ」


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