夢幻レジーナ「女王失格」

夢幻レジーナ_女王失格
夢幻レジーナ「女王失格」 (2015)

アイドルちゃんユニットの1stアルバム。「女王失格」といえば、英国プログレッシヴ/クラシカル・ロック・バンドのGRYPHONですわね。

ジャケが最高にイカす。構図も、伸びる人影も、3人の衣装の色使いも、ちょっとだけふてぶてしさが漂う表情もク-ル! 右上にタイトルの「女王失格」って文字がうっすらと浮かんでるんですが、それがもう少し重厚なフォントだったら完璧だったな。
表はこんな感じだけど、裏ジャケは海辺でキャハキャハ的なやつなんだけど(笑)

さて、Amazonのページに載ってるアーティスト紹介文章によると…、、

2013年10月より活動開始。
Gカップグラビアアイドル春野恵を中心に、幾度かのメンバーチェンジを経て現在4人編成で活動中。
変拍子が複雑に絡み合う楽曲にもかかわらず、ライブでは激しいダンスをピタリと合わせる。
また、所謂「コール」「ミックス」「オタ芸」等、一般的なアイドル現場の盛り上がり方は当たり前のように存在。複雑な変拍子なのに!


ふむふむ…なるほど…、、

…ッて、何ィ!? 「Gカップ」だとォ!

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エロい。(確信)

「現在4人編成で」となっていますが、9月に成瀬ゆりが脱退して、このアルバムのリリース時は、春野恵/刻田麻亜子/鈴木あやめ、の3人編成のようです。
因みに作品制作陣は、「ビジュアル/コンセプト監修(作詞含む):若原麻希」、「作曲:篠田唯臣」。
調べてみると、
プロデューサーの若原麻希も(元)グラビアアイドル、しかもGカップ(Hカップ説もアリ)だとォ!

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エロい。(確信)


「プログレアイドル」とのことですが、楽曲のあちこちにプログレ的要素は散りばめられており、“その名に違わず”といった感じです。ただ、オフィシャルHPに「“進化し続けるアイドル”=“プログレッシブアイドル”を理念に掲げ、ストレートなポップからモダンなプログレッシブメタルまでの幅広い楽曲を~」ともある通り、それほどプログレ方面にのみ振り切った作品ではありません。
ポップス色ありの、耽美なV系音楽色ありの、歌謡曲っぽさありの、HR/HMっぽさありの、…という。

そもそも一口に「プログレ」と言っても、プログレッシヴ・ロックとプログレメタルってのは感触的/感覚的に違うものでして、(主に)60年代末~70年代をル-ツとする混沌としたごちゃ混ぜで実験的で何でもありーのな姿勢のプログレッシヴ・ロックのバンド群と、DREAM THEATER登場以降の技巧的なバンド群(現在のDjentと括られるバンドにも繋がってくるのか?)とは、重なる部分もあるんですけど、一緒にはしがたいものがあるんですよね。少なくとも私にとっては。
で、この夢幻レジーナの「プログレ」ってどっちなのって考えると、「まぁどっちも」という歯切れの悪い口調になる(笑)。両者の折衷という感じですかね。演奏面では変拍子っちゃあ変拍子だし、プログレメタルっぽさを感じるキメや楽器間の拮抗があったりしますが、それは陰陽座の大作曲で聴ける程度のもので、そんなにビビるほどのもんじゃないし聴き手を選ぶものでもない。対して、雰囲気作りでは往年のプログレッシヴ・ロックからの影響があるのかな、という感じ。

そう、夢幻レジーナの場合、「プログレ」うんぬんよりかは、その雰囲気作りの巧さに注目したいところなんですね。それは、若原麻希が手掛ける歌詞、篠田唯臣が作る楽曲、そして脱退した元メンバーやゲストをも含むヴォーカル陣による歌唱、それら全てが織り成すものです。
キーワードは、「昭和」「レトロ」「文学」「根暗」「陰鬱」「耽美」…etc…というものだったりしますが、中でも文学的香りは濃厚で、音楽なのに文学を強烈に感じるという、この不思議。
私の飛躍し過ぎた想像力(≒妄想力)がどんな匂いを嗅ぎ取ったかと言えば、

 推理小説的な、
 猟奇的な、
 横溝正史的な、
 江戸川乱歩的な
 クローズドサークル的な閉鎖空間を思わせる、
 女学館的な、
 文学少女的な、
 交換日記でもしそうな、
 どこか百合っぽくて、
 後ろ暗くて、
 淫靡な。


そんな、「聴くミステリ」とでも言えそうな感覚。

上でちらっと触れた通り、各曲、3名のメンバー以外にもメインVoとして参加するゲスト陣がいます。その計6名のVo、どれが誰の声か私はさっぱり分かりません。ただ、総じてそこから感じる印象は、ちょっと無機質で突き放したような冷めた響き。明るく歌ってはいても(そういうパートも多いのに)、どこか厭世的。因みに各曲のVoは、メンバー3名+ゲスト1名の4名で担当しているのがほとんどです。
また、歌唱力・表現力については物足りないものを感じますが、その拙さがこのユニットならではの“味”に変わっているところもあるから不思議なのよね。暗くマニアックで猟奇的な歌詞に、暗くマニアックで激しい楽曲。そこにこれらの歌声が乗ると醸し出される歪さやアンバランスさ。それこそが魅力か。


①少女は来たりて
キラキラしたポップス。…なんだけど、ネガティヴな歌詞を淡々と歌っていていて、いきなり奇妙なミスマッチをみせます。サビのメロディが複雑なリズムから段々ズレていくように感じるのがツボ。間奏部にはGtソロをバックにした語りがアリ(春野かな?)

②暗い太陽
力強いロック・サウンドに昭和のアイドルポップスっぽい歌メロが乗る曲。ゲストの神崎瞬によるGtソロがメロディックでいい感じ。

③デジャヴの残響
鮮烈なピアノの旋律が印象的なスピード・チューン。良曲ですわ。これも昭和っぽい匂いがするね。かつ強烈に歌謡曲っぽい。誰がメインVoを担当しているか定かではありませんが、サビのハイトーンの響きが素晴らしいですね。最初と最後の時計の音も◎。

④桜狂い、咲くは迷いし
現時点で音源未収録の死神という新曲が、なんとオリジナル日本語詞によるBreadfanBUDGIE)のカヴァーらしいんですが、この曲のメイン・リフも(音がピコピコいってるけど)Breadfanっぽいじゃないか!(笑) そこから日本情緒をぶっ込んだヘヴィロックになり、スピード感あるサビへ。サビ裏のBaがちょっと野蛮な音でメロディックなラインを弾いてるのがスパイスになっています。間奏セクションはプログレメタル風のキメキメで、そこからピコピコBreadfanに戻るという、聴き易さとは裏腹に目まぐるしい展開の曲。

⑤MUGEN
BLACK SABBATH的というか人間椅子的というか陰陽座的というか、ドゥーミィで暗い冒頭から明るくポップに弾けるサビへとダイナミックに展開する曲。しかしVoラインがいくら明るくなろうとも、演奏はどこか翳りと叙情を引き摺っているのがこのユニットならではか。スコスコと軽めの音色ながら楽曲のムードを決定づけているDr、それとGtソロも聴き処。

⑥麗しき凶暴な世界
Gtのクリーン・トーンの使い方がヴィジュアル系っぽいですね。LUNA SEAとかROUAGEとかを思わせるアップテンポの耽美チューン。サビは多重コーラスによってアイドル・ポップスちっくなんですけどね。ザラザラしたトーンで歌い上げるようなフレーズを弾くGtソロが◎。

⑦地獄より
冒頭と末尾に朗読調の語りを配した11分の大作。上記「文学的香り」を濃厚に振り撒く、春野によるであろうこの語りがとても良い。
この曲が最もプログレ・メタル的でしょうかね。Gt・Ba・Drが一体となってヘヴィな切り返しを重ねます。緊張感を高めた果てに登場する、サビのあっけらかんとして素っ頓狂な響きが逆に怖い。ピアノの滑らかなタッチが偏執的な響きを帯び、それに弦楽器が絡みつく中間部。天から降りそそぐようなVoが一瞬の安らぎをもたらした後は再びヘヴィ・リフの反復パートへ。目まぐるしい。ただ不自然さや間延びした感じは無い。ラストで倍速になるサビは、「走らなきゃ走らなきゃ」「飛ばなくちゃ飛ばなくちゃ」と切迫感を感じさせる歌詞であるにも関わらず、歌唱はノホホンとしているというね(笑)
断絶するような終わり方も救いが無くって最高ですね ←


基本、インストゥルメンタルは篠田がプレイしてるのかな?
Drは打ち込み?
ユニットが醸し出すムードが、プログレッシブヤンデレバンド・イチヂクを思わせるところもあるなぁとか感じました(って比較対象として挙げるバンドがマイナー過ぎだが/笑)。

かっこいいというより面白い。
その暗さに、アンバランスな危うさに、そして独特の“香り”に魅かれました。(あとGカップにも)
パフォーマンスするメンバーだけじゃなくて、その向こうにバックの制作陣の「顔」が透けて見えるグループは面白いね。

【お気に入り】
③デジャヴの残響
⑦地獄より
⑤MUGEN
④桜狂い、咲くは迷いし
⑥麗しき凶暴な世界

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