今野敏、誉田哲也、福田和代、貫井徳郎 『警官の貌』

警官の貌
今野敏、誉田哲也、福田和代、貫井徳郎 『警官の貌』 (双葉文庫)

警察小説の短~中編を集めたアンソロジー、『警官の貌』を読みました。

警視庁捜査三課のベテラン刑事・萩尾秀一はなぜ真犯人は別にいると思ったのか?浅草署留置係の小西逸男が最後の最後に見た光景とは?警視庁通訳捜査官の城正臣と保安課の上月が切り込む犯罪の全貌とは?そして、残酷な犯人への怒りを自制する所轄刑事課の吉川圭一。個人の尊厳と社会の秩序のために、世間は何を求めたのか?警察小説の第一線を走る著者による、新鮮な驚きに満ちた珠玉の短編集。待望の文庫化。

今野敏、誉田哲也、福田和代、貫井徳郎という、いずれも読んだことのある作家4人です。だから買ったんですけど。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓

今野敏の『常習犯』、誉田哲也の『三十九番』、福田和代の『シザーズ』、貫井徳郎の『見ざる、書かざる、言わざる』の四編。

誉田哲也の一人勝ちじゃないですかね。次いで、貫井かな。別に勝負じゃないですけど。この2人の作品はタイトルからして興味を魅かれましたね。
『三十九番』は作品を覆うほの暗く淡々とした空気が、終盤に向けて一気に濃度を増してどす黒く変貌していく様子が圧巻。その雰囲気作りは素晴らしいですね。とても「武士道」シリーズを書いた人と同一人物とは思えん。留置場という一風変わった舞台設定も秀逸。
『見ざる、書かざる、言わざる』は近未来を舞台にした小説ですが、死刑の是非と裁判員制度という切り口の描写がなかなか尖がっており、それをスピード感のあるミステリとして纏め上げたところが攻めてるな、という印象。

今野作品はいつも通りですね。良くも悪くも。何を書いても、誰を書いても、今野敏は今野敏。新鮮味はありません。

で、福田作品ですが、『TOKYO BLACKOUT』の時も思いましたが(というかそれしか読んでない)、どうもこの作家の文章は合わないなぁ。文章のリズム感の無さ、もしくは私の感性との相性の悪さは驚くほど(苦笑)。「ここで畳み掛けてほしい!」って場面でどうでもいい風景描写を細かくし始めたり、相変わらず名前なんて出さなくていい瑣末な登場人物まで紹介する始末だし。固有名詞を出せばその人物が血肉を備えると思ってるのかな? そもそも心情を書くのがヘタクソ。「これこれこういう立場の人間はこういうシチュエーションでこうは考えないだろ」って感じるツッコミどころが満載で、ストーリーにのめりこめましぇん。

四編とも共通しているのは、警察組織の中でもちょっと変わったポジションにスポットを当てたりして、短編ならではの実験性を感じるところ。同時にそれは警察小説の幅広さや可能性が現れてるところでもあります。
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