ピエール・ルメートル『その女アレックス』

ピエールルメートル_その女アレックス
ピエール・ルメートル『その女アレックス』 (橘明美 訳、文春文庫)

ピエール・ルメートルの『その女アレックス』を読みました。
各ランキングを総なめにした、海外ミステリとしては間違いなく2014年最大の話題作だったでしょう。日本では刊行順序が逆になりましたが、実際は「カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ」物の2作目にあたる作品のようです。

おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。

これは面白いね。
ネタバレするという前提でもあまり詳しく述べるとイカンような作品なので、簡単に。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓

全三部構成に分かれていますが、その構成がきちんと活きているのが素晴らしいですね。その構成こそが肝。それぞれの「部」によってストーリー/事件の見え方が全く異なりますから。
その「部」毎にどんでん返しをキメるわけですが、決してトリック物という印象のみに陥らないのは、この小説が徹底的に語り口で魅せる作品だからでしょうね。私にとっては、トリックがキマった後に“してやったり”という作者の顔が思い浮かぶ、そういう類の小説じゃなかったんですよ。あくまで登場人物の描写と会話の妙によってストーリーを進めてゆく作品。
「○○賞受賞!」や「ランキング制覇!」みたいな派手なイメージとは裏腹に、しっかりとした小説らしい小説だろうと感じました。

シリーズ物としての魅力をしっかりと備えていることも強みで、捜査陣の人間模様を丁寧に描いているのがとても好印象でした。特に三部のスリリングなやりとりは白眉。

訳文にヘンな癖がなく、読みやすいことも特筆すべき点ですね。
超良作。
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