TRIVIUM「SILENCE IN THE SNOW」


TRIVIUM「SILENCE IN THE SNOW」 (2015)

米国産HMバンドの7thアルバム。
ドラマーの座だけ落ち着かないような気がするこのバンド、前作「VENGEANCE FALLS」(2013)リリース後に、Mat Madiroに交代しています。Matは、前任者Nick Augustoのドラム・テックだったようです。

前作は、作を重ねるにつれて強化してきた歌モノHMとしての魅力と、以前からの美点であったツインGtを主軸にした伝統的なHR/HM要素を併せ持った、なかなかの力作でした。ちょっと綺麗にまとまり過ぎてるきらいはあったけども。
このバンドはアルバム毎に微妙に色合いの異なる作品を出してきたわけで、それが進化だったのか試行錯誤だったのか暗中模索だったのか定かではありませんが、どのアルバムでも一定の成果は挙げてきたと思います。特に2nd~4thには必殺級の代表曲が収録されていたと思いますし。
そんなキャリアを通して、最もバランスに長けた作品とも言える前作には(全体的な完成度の高さの反面)飛びぬけた曲が無かったわけで(個人的見解)、そこが心配な点でした。

で、本作はどうか?

あー、やっちまったなー。
というのが第一印象ですかね。
プロデューサーをDavid Draiman(Vo/DISTURBED)から、ALTER BRIDGESLASHを手掛けたMichael "Elvis" Basketteにチェンジ、それに合わせてか、音楽性も大胆にチェンジ。その変貌ぶりの大きさはキャリア史上最大でしょうね。

さらばメタルコア。
明朗なハードロックですわ。
メロパワっぽさもある。


Matthew Kiichi Heafy(Vo&Gt)はグロゥルを完全封印、全編彼のクリーンVoを活かした、ごく普通の歌モノHR/HMになっています。「歌モノ志向」だけど、完全に「歌モノ」と言い切れるところまではいってないというか。なぜなら、メロディがそこまで魅力的じゃないから。In Waves(曲のほう)のクリーンVo・パートをアルバム全編に広げたような感じもしますね。歌メロからフックを減じた上で…(苦笑)。

その変貌ぶりに比して、どこか中途半端さを感じるんですよね。疾走曲と呼べるほどのファスト・チューンも無く、どの曲もテンポが似ていますし(ミドル・テンポ)、おまけにヨーロピアンな感性はさらに後退して、楽曲が醸し出す雰囲気はどれも似てる。楽曲の構成要素としては今までの曲とそう変わっていない、Gtの刻みが主導するものもあるんですけど、印象としては歌モノHRって感じなんだよなー。不思議と。
この雰囲気を、威厳と捉えるか、成熟と捉えるか、落ち着きと捉えるか、牙を抜かれたと捉えるか…?

いや、カッコイイし聴きやすくて悪くないんですよ? でも以前はもっとカッコ良かったし、それなら過去作を聴くよ、ってなっちゃう。
私はMattの声が好きですからまぁそれなりに聴けますけど、グロゥル封印によるメリハリの欠如は如何ともしがたいところ。声自体の魅力も安定感もあれど、ぶっちゃけ平坦な歌唱なんですね。例えば、STONE SOURでのCorey Taylor(Vo)の歌唱とかと比べちゃうと圧倒的に物足りないわけで(そもそも比べる相手が悪すぎるか?笑)、この路線で勝負するには周りは強力なライバルばかりな気もしますね。まぁ、勝ち負けの問題じゃないし、どちらかというと住み分けの問題ですけどね。

パワーメタリックな疾走感を持つ(サビは共にゆったりめだが)⑥Pull Me from the Void⑨The Thing That's Killing Meあたりの曲にはオッと身を乗り出しかけたり、⑤The Ghost That's Haunting YouのGtソロが秀逸だったりして、悪くはない。だけど、「悪くない」くらいの出来じゃあ彼らに期待してる身としては困るの。
⑦Until the World Goes Coldでの板に付いた歌唱が、本作の路線での最大の収穫かしら。


曲単位で聴くよりもアルバム一枚流しっぱなしにした方が印象が良いかな。そこまでして聴く必要あるのかって感じもしますけど(苦笑)
この変化を全部プロデューサーのせいにしちゃいたい気もするがそうもいかんか?(笑)
残念無念。過渡期であると捉えたい。

【そこそこお気に入り】
⑦Until the World Goes Cold
⑨The Thing That's Killing Me
⑥Pull Me from the Void
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COMMENT 2

DD  2015, 11. 26 [Thu] 19:45

 ちょっと前作と今作を続けて聞いてみると、これは叫び等を入れることをできたとしても、違和感はあっただろうし、むしろ今作は「Crusade」、「In Waves」的な作品の今年版ととらえてますが。

 進化はしてるし、liveのセットリストを見ると、叫ぶ曲はやっていて、歴史を網羅してることから過去を否定してないことがわかります。

 そういえば、彼らってlive CD(DVD)をリリースしてませんよね?評がいいなら、そろそろ出してもいいんじゃないかという気もします。

 お気に入り・・4,6,7,10(日によって変わるはず、現時点での)

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ヒゲ・スカイウォーカー  2015, 11. 28 [Sat] 09:56

DDさん、

このバンドの歴史は「変容すること」がポイントだったわけで、変わること自体に違和感はないですし過去も否定しないのでしょうが、その「変化」の方向と最終的なアウトプットが私の趣味には合いませんでしたね。悪くないけど次に期待、という感じです。

ライブ作は欲しいですね!選曲次第でそれこそベストアルバム的に機能しそうな気もします。

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